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どうしてこうなった?
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どうしてこうなった?
私は昼休みが終わって執務室に戻ろうとしていたのだ。
それを突然3人の女性が現れて、あれよあれよという間に建物裏手に連れ込まれ、その内のリーダー格的な女性に壁ドンを受けている。
シチュエーションとしては良いが、いかんせん、女の細腕では萌えない。
男になって、3倍くらい筋肉付けてから出直して来い!と思う。
そしたら話は聞こう。
どうせくだらないことなのだから。
「あんた、グラント様とはどういう関係?」
ほらね、意味がわからない。
事務官を何だと思っているのだろう。
「私は副隊長事務官なので、関係はと言われれば、副隊長と事務官です」
「しらばっくれるんじゃ無いわよ!グラント様の事務官になるために親のコネ使ったって聞いてるのよ」
「すみません、仰る意味がわかりません。確かに母は公務員ですが、そんな力などありません。私は試験も面接も皆と同じ様に受けて合格したからここにいます」
はあ?親のコネ?何言ってるんだ!
冗談じゃない、こちとら中等部から騎士団事務官を目指していたのだ。
一生安定の仕事で、趣味に没頭すると心に誓っている。
本気で筋肉を拝みに来てるのである。
あ、間違えた仕事しに来てるのである。
くだらない嫉妬で文句を言われる筋合いなどない。
どこぞの婚活女子と一緒にしないで頂きたい!!
それに、あの団長達の面接の圧にコネなど通用するものか!
こいつら、事務官試験を舐めとるな。
通常勤務が始まってから数週間。
毎日毎日、飽きもせず増える郵便物に、副隊長への嘘の呼出、通りすがりに『生意気』と言われる等々、くだらない事で業務妨害を受け、いい加減イライラしていたのだ。
いまだ、くだらないイチャモンつけてくる彼女らにいい加減腹が立って来た。
すうぅっっと息を吸うと、一気に捲し立てた。
「いいですか!皆さん。私は一生安定して働きたくてて、難関の事務官試験を受けたんです。私がここで興味があるのはき・・・仕事です。そう、やりがいですっ!!」
あっぶなぁ。勢い余って、筋肉って本音を言いそうになった。
「コネで入ったと仰りましたが、それはつまり、騎士団の団長さん達はコネで事務官を採用するような方々だと、事務官試験はやらせ行為だと言いたいのでしょうか?」
「そ、そこまでは・・・」
「いいえ、言ってました。事務官になるために親のコネ使ったって聞いている、と」
「・・・」
「誰が言っていたのですか?」
ズイっと私は一歩前に出た。
そうだ!誰が言ってるんだ!出て来い!泣かしてやる。
「騎士団が言われのない誹謗中傷を受けているのです。キチンとした調査が必要です。さあ、どこの誰が言っていたのですか?お答え下さい」
ガリ勉舐めんな。
私の剣幕に3人はタジタジとなった。
「あなた達!何してるんですか!」
鋭い叱責と共に、新人騎士のアンナ・エメルさんか私を庇うように3人の前に立った。
剣に手をかけながら言う。
「執務中にこの様な行為は、事務官に対する業務妨害と受け取りますが、よろしいですか!」
3人はしまった!という顔をして、ささっと走って逃げてしまった。
「あ、待ちなさい!もう。」
走り去る3人を本気で追いかける気は無いらしい。
くるりとこちらに振り返る。
スラリと背が高い、ダークブロンドに鮮やかなエメラルドグリーンの瞳のキリリとした美女だ。
「大丈夫ですか?デパルさん」
「私の事知ってるんですか?エメルさん」
「知ってますよ。魔術学校も専科も一緒だったじゃ無いですか」
そうなのだ。彼女と私は同級生なのだ。
クラスは小学校と高等部で一度ずつ一緒になった事はある。
あまり話した事は無かったが。
彼女はクラスでも中心的な人で、一部女子に絶大な人気があった。
まさかガリ勉の私の事を覚えているとは思わなかった。
ふふっとアンナさんは笑った。
「3人相手に凄いですね、あの人たち気圧されてましたよ」
「やめてください。助けてくれてありがとうございます」
「デパルさん、いつも勉強してて、魔術専科でも頑張ってて、努力家で偉いなって、密かに尊敬してたの。魔術師になると思ってたのに、まさか事務官で騎士団に入るとは思わなくて、びっくりした。ずっとお話ししてみたいと思ってたんだけどなかなか機会がなくて・・・」
「尊敬なんてそんな。エメルさんこそ、魔術剣士なんて凄いじゃない。強くてカッコイイってずっと思ってた」
「アンナって呼んで。わたしもミランダって呼んでいい?」
「もちろん!!」
さっきの嫌な気分など吹っ飛んでしまった。
アンナは隊長と副隊長に報告しておく、と執務室まで送ってくれた後、第二隊の隊員室へ戻って行った。
ぐはぁぁぁ、カッコイイ。
女性の騎士服もまた男性とは違って良いな。
はっ!行けない。緩んだ顔など見られてないだろうか?
キョロキョロしたが人はいない。
よし、顔をスン、とさせて執務室に入った。
「遅くなって申し訳ありません」
「ミランダちゃん、戻って来ないから心配してたの。副隊長が心配して探しに行ったわよ」
「すみません、少しトラブルがありまして」
「もしかして、呼出されてイチャモンつけられた?」
「はい、まぁ。でも、アンナさんに助けて頂いたので大丈夫です」
「あら、アンナちゃんやるわねー」
「お知り合いですか?」
「旦那の妹よ。義妹なの」
「あ、エメルって、そうですね」
今更ながら、気がついた。
第一隊のロバート・エメルはアンナの兄だ。
彼は今年副隊長になった実力者だ。
ロバート副隊長も伝説級とは行かないまでも、人気の先輩だった。
しかし、うちの副隊長にいらぬ心配をかけてしまった。
申し訳ない。私が悪い訳ではないのだが・・・
バタンと扉が開き、珍しく焦った様子の副隊長が足早に私のところにやって来た。
「ミランダ!!大丈夫か?」
「!!!」
ミランダ!?いきなり名前を呼び捨てされ、びっくりした。
何その破壊力!!!
私の様子に、ハッとした副隊長は、少し赤くなりながら
「すまない、焦ってたのでつい。エメル隊員に聞いた。大丈夫だったか?」
「はい。副隊長にまでご心配おかけしてしまって申し訳ありませんでした」
「いや、無事なら良かった。少し話を聞きたい。ちょっと来てもらって良いだろうか」
「わかりました」
グラント副隊長の後に続く。
私は顔はいつものスン、とさせたまま、先程のやりとりを考えていた。
さっき、私の事、ミランダって呼んだよね?
ついって、心の中ではミランダって呼んでた?
イヤイヤ、まさか。イヤイヤイヤ。
私は昼休みが終わって執務室に戻ろうとしていたのだ。
それを突然3人の女性が現れて、あれよあれよという間に建物裏手に連れ込まれ、その内のリーダー格的な女性に壁ドンを受けている。
シチュエーションとしては良いが、いかんせん、女の細腕では萌えない。
男になって、3倍くらい筋肉付けてから出直して来い!と思う。
そしたら話は聞こう。
どうせくだらないことなのだから。
「あんた、グラント様とはどういう関係?」
ほらね、意味がわからない。
事務官を何だと思っているのだろう。
「私は副隊長事務官なので、関係はと言われれば、副隊長と事務官です」
「しらばっくれるんじゃ無いわよ!グラント様の事務官になるために親のコネ使ったって聞いてるのよ」
「すみません、仰る意味がわかりません。確かに母は公務員ですが、そんな力などありません。私は試験も面接も皆と同じ様に受けて合格したからここにいます」
はあ?親のコネ?何言ってるんだ!
冗談じゃない、こちとら中等部から騎士団事務官を目指していたのだ。
一生安定の仕事で、趣味に没頭すると心に誓っている。
本気で筋肉を拝みに来てるのである。
あ、間違えた仕事しに来てるのである。
くだらない嫉妬で文句を言われる筋合いなどない。
どこぞの婚活女子と一緒にしないで頂きたい!!
それに、あの団長達の面接の圧にコネなど通用するものか!
こいつら、事務官試験を舐めとるな。
通常勤務が始まってから数週間。
毎日毎日、飽きもせず増える郵便物に、副隊長への嘘の呼出、通りすがりに『生意気』と言われる等々、くだらない事で業務妨害を受け、いい加減イライラしていたのだ。
いまだ、くだらないイチャモンつけてくる彼女らにいい加減腹が立って来た。
すうぅっっと息を吸うと、一気に捲し立てた。
「いいですか!皆さん。私は一生安定して働きたくてて、難関の事務官試験を受けたんです。私がここで興味があるのはき・・・仕事です。そう、やりがいですっ!!」
あっぶなぁ。勢い余って、筋肉って本音を言いそうになった。
「コネで入ったと仰りましたが、それはつまり、騎士団の団長さん達はコネで事務官を採用するような方々だと、事務官試験はやらせ行為だと言いたいのでしょうか?」
「そ、そこまでは・・・」
「いいえ、言ってました。事務官になるために親のコネ使ったって聞いている、と」
「・・・」
「誰が言っていたのですか?」
ズイっと私は一歩前に出た。
そうだ!誰が言ってるんだ!出て来い!泣かしてやる。
「騎士団が言われのない誹謗中傷を受けているのです。キチンとした調査が必要です。さあ、どこの誰が言っていたのですか?お答え下さい」
ガリ勉舐めんな。
私の剣幕に3人はタジタジとなった。
「あなた達!何してるんですか!」
鋭い叱責と共に、新人騎士のアンナ・エメルさんか私を庇うように3人の前に立った。
剣に手をかけながら言う。
「執務中にこの様な行為は、事務官に対する業務妨害と受け取りますが、よろしいですか!」
3人はしまった!という顔をして、ささっと走って逃げてしまった。
「あ、待ちなさい!もう。」
走り去る3人を本気で追いかける気は無いらしい。
くるりとこちらに振り返る。
スラリと背が高い、ダークブロンドに鮮やかなエメラルドグリーンの瞳のキリリとした美女だ。
「大丈夫ですか?デパルさん」
「私の事知ってるんですか?エメルさん」
「知ってますよ。魔術学校も専科も一緒だったじゃ無いですか」
そうなのだ。彼女と私は同級生なのだ。
クラスは小学校と高等部で一度ずつ一緒になった事はある。
あまり話した事は無かったが。
彼女はクラスでも中心的な人で、一部女子に絶大な人気があった。
まさかガリ勉の私の事を覚えているとは思わなかった。
ふふっとアンナさんは笑った。
「3人相手に凄いですね、あの人たち気圧されてましたよ」
「やめてください。助けてくれてありがとうございます」
「デパルさん、いつも勉強してて、魔術専科でも頑張ってて、努力家で偉いなって、密かに尊敬してたの。魔術師になると思ってたのに、まさか事務官で騎士団に入るとは思わなくて、びっくりした。ずっとお話ししてみたいと思ってたんだけどなかなか機会がなくて・・・」
「尊敬なんてそんな。エメルさんこそ、魔術剣士なんて凄いじゃない。強くてカッコイイってずっと思ってた」
「アンナって呼んで。わたしもミランダって呼んでいい?」
「もちろん!!」
さっきの嫌な気分など吹っ飛んでしまった。
アンナは隊長と副隊長に報告しておく、と執務室まで送ってくれた後、第二隊の隊員室へ戻って行った。
ぐはぁぁぁ、カッコイイ。
女性の騎士服もまた男性とは違って良いな。
はっ!行けない。緩んだ顔など見られてないだろうか?
キョロキョロしたが人はいない。
よし、顔をスン、とさせて執務室に入った。
「遅くなって申し訳ありません」
「ミランダちゃん、戻って来ないから心配してたの。副隊長が心配して探しに行ったわよ」
「すみません、少しトラブルがありまして」
「もしかして、呼出されてイチャモンつけられた?」
「はい、まぁ。でも、アンナさんに助けて頂いたので大丈夫です」
「あら、アンナちゃんやるわねー」
「お知り合いですか?」
「旦那の妹よ。義妹なの」
「あ、エメルって、そうですね」
今更ながら、気がついた。
第一隊のロバート・エメルはアンナの兄だ。
彼は今年副隊長になった実力者だ。
ロバート副隊長も伝説級とは行かないまでも、人気の先輩だった。
しかし、うちの副隊長にいらぬ心配をかけてしまった。
申し訳ない。私が悪い訳ではないのだが・・・
バタンと扉が開き、珍しく焦った様子の副隊長が足早に私のところにやって来た。
「ミランダ!!大丈夫か?」
「!!!」
ミランダ!?いきなり名前を呼び捨てされ、びっくりした。
何その破壊力!!!
私の様子に、ハッとした副隊長は、少し赤くなりながら
「すまない、焦ってたのでつい。エメル隊員に聞いた。大丈夫だったか?」
「はい。副隊長にまでご心配おかけしてしまって申し訳ありませんでした」
「いや、無事なら良かった。少し話を聞きたい。ちょっと来てもらって良いだろうか」
「わかりました」
グラント副隊長の後に続く。
私は顔はいつものスン、とさせたまま、先程のやりとりを考えていた。
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イヤイヤ、まさか。イヤイヤイヤ。
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