[完結】うちの第二隊副隊長さまはモテ過ぎるのでとっとと結婚してほしい

いかくもハル

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早速問題ありです。

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無事交際スタート、となったものの、はたと気がついてしまった。

私、交際したことないじゃない!っていうか、そもそもするつもりも無かったじゃない?
しかも、私の恋愛の情報ってBL小説しかない。
そしてBLでは全っ然参考にならないことに気がついた。

早速問題ありじゃないか!!
サァァっと青ざめる。
つまり、恋愛経験も情報もゼロ、というとてつもない恋愛オンチであることに。
ヤバイ。普通の恋愛小説くらい読んどくべきだった。

え、どうしよう。みんなどうしてるの?
公務員になるための勉強とBLしか無いって、どんだけ狭い世界にいたの?
それに今気がつくって、どんだけマヌケなんだろう。

そうだ、マニュアル!きっとマニュアル本くらいあるはず。

「すみません!ちょっと本屋さんに寄っても良いですか?」
「本屋?欲しい本があるのか?」
「あります!今、絶対必要ということがわかりました」

ちょっと力入ってしまったが、仕方あるまい。
まずは本屋に行こうと向かった。

王都で一番大きい本屋さんに入った。
即座にHow To本コーナーを探す。キョロキョロとさがしていると、『必読♡恋愛マニュアル』というタイトルが目に飛び込んできた。
これじゃない?これ良いんじゃないかな。
タイトルからしてまさに求めていた感じ。
本を取ろうと手を伸ばすと、パシッと手首を掴まれた。
ん?と見ると、グラント副隊長。何故止める?

「ミランダ、これは必要ない」
「でも、私相当な恋愛オンチなんですよ。読んでた本が全く参考ならないし。恋愛のこと全然わかんないんです。マニュアルとかあれば良いかなと思ったんですが・・・」
「ミランダはそのままでいい。思った通りにしてくれれば良いから」
「そういうものですか?」
「今まで通りで大丈夫だ。仕事だって相手を思って行動するだろ。それと一緒だから」

なるほど。そう言ってもらえればわかるな。
恋愛も結局は人間相手だもんな。

「わかりました。では、今まで通りという事で」

キリッとした顔でグラント副隊長を見る。

「あ、待ってくれ。ちょっと違うな。いや、えーと難しいな。俺も得意分野ではないから何と言えば良いかな・・・」

少し困ったように考えだした。
申し訳ない。私が恋愛方面をサボっていたために困らせてしまった。

「じゃあ、丁度良いところを探して見つけて行く、というのはどうでしょう?要望があれば言ってください、何でもします」

一瞬間が空いた。
ん?変な事言ったかな?

「丁度良いところを探すのは賛成だが・・・男相手に何でもする、は言っちゃダメだぞ。特に他の男には絶対にだ」
「?そうなんですか?わかりました」

ふーん、そういうもんなんだ。一つ利口になったな。
ではここはもう用はない。出ることにしよう。

「じゃあ、ここはもう良いです。グラント副隊長は行きたいところとかありますか?」
「ミランダ。早速だが、改善点を一つ提案しよう。呼び方だ」
「呼び方。この間呼んでくれって言われたのに変えてみましたが」

難しいな、恋愛。早速改善点だ。この間はこれでオッケーだったはず。

「グラント、で良い。あと、敬語もいらない」
「えぇっ!それは少々ハードルが高いです。う~ん・・・グラントさん、でも良いですじゃなくて、良い?」
「第一段階としては、仕方ない。おいおい呼んでもらうとしよう」

私がグラントさんを呼び捨てにする時が来るかな?
だって推しだよ、最推しの人を呼び捨て出来るかな。
いやいやいや、無理だよ。

私があれこれ考えてると、すいっと右手を取られた。
ん?あ、これって、知ってるぞ!恋人繋ぎってやつじゃない?
指が一本ずつ全部触れる!どっひゃー、これは中々の照れ具合だぞ。

「これくらいからまずは慣れて行こうか」

ニッコリとこちらを見下ろす良い笑顔。
はい、がんばります。
コクコクと、頷くことしか出来なかった。


グラントさんに連れられて、やって来たのは西地区の一番大きなバザールだった。
わぁぁぁぁ、小さい頃来て以来かも。
大きいステージもあって、誰かしら音楽を奏でたり、歌を歌ったり、パフォーマンスをしたりしている。

ステージの周りには食べ物の屋台や小物やアクセサリー、その他色んな種類もあって、見て歩くだけでも楽しい。

「懐かしいなあ、小さい頃来て依頼」
「あまり来ない?」
「王都で済ませちゃう事がほとんどだから」
「そうか。たまに来ると楽しいぞ」
「楽しいです・・・だね。」
「ははは、無理しなくていいんだぞ、本当に。少しずつで良いから」
「すみません。慣れない事してると混乱しちゃって。でも楽しいのは本当」

よし、慣れて来たぞ。恋人繋ぎにも慣れて・・・来た事にしよう。
意識しすぎると頭バグるからね。

ぐるぐるお店見たり、お茶したり、ステージみたりしてたら、あっという間に夕暮れになった。
そろそろ夕飯時かな?

「ミランダ、お腹すいたか?今日、花火が打ち上がるから、屋台で飲み物と食べ物の買って、食べながら見ないか?」

何それ、すっごい楽しそう。

「わぁ。それ良い!ビールかなやっぱり」
「昨日飲みすぎたのに、また飲むのか?でも、やっぱり、花火はビール飲みたいよな」
「でしょう」

だよねぇ~。

「さっき美味しそうな串焼き見つけたんだけど、お互い食べたい物買って、テーブル集合っていうのはどう?」
「ははは、ミランダらしいな。わかった。先にテーブル取っておこう」

私とグラントさんは席を取って置いてから買い出しに行った。
やっぱり、しょっぱい物と甘いものはマストだよな。
あ、嫌いな物聞くの忘れた。
まあ、いっか、私が食べれば。
なんか楽しいな、こういうの。恋愛してこなかったの損してたのかな?
でも、グラントさんだから楽しいのかもしれないよね。
比べる対象が無いから、今を全力で楽しむしか無い。
間違ったら教えてもらおう。そうしよう。

結局、美味しそうな物がちょっとかぶったり、色んな種類の食べ物がテーブルに集まった。
聞いたら、嫌いな物は特に無いんだって。

ビール片手にフライドポテト食べたり、串焼き食べたりしていたら、いつのまにか辺りは暗くなっていた。

ドーンっ!ドーン!とお腹に響くような音と共に大空に花火が上がった。

うわぁ~綺麗!!

「休みの日にはたまに花火が上がるんだ」
「知ってたの?」
「昨日調べた。ミランダと見てみたかったんだ」

仕事以外だと、何か年相応の男の人って感じかして可愛い。
いつもの頼れるアニキも良いけど、対等に接してくれているのがやけにうれしかった。

「この花火、ジンクスがあんだよ。上がった瞬間にキスすると、そのカップルは幸せになるんだって」

ちょっとイタズラっぽく笑ってこっちを見て言う。
ひょっっっ!こ、こんな公衆の面前で?正気か?カップルってやつは周りが見えていないらしいな、おい。

言ってる側から花火が連続して上がる。

確かに、そこら中にカップルがいて、チュッチュチュッチュしていた。
げ!本当だ。すっごいな、カップルの威力は。

一際大きな音が鳴った瞬間、肩を引き寄せられ、一瞬唇に柔らかい感触が・・・

ニッコリしているグラントさん。
ちょっとぉ~、イタズラが成功したみたいな顔して。
やりおったな!!もう、うちらも立派なバカップルじゃないか!!






















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