22 / 37
子沢山一家の事情
しおりを挟む
『何でもする』は禁句だ。よく理解した。
動けない。グラントさんよ、こっちは初心者なんだから、手加減して欲しい・・・
たしかに、レオナルドさんの言った通り、大男ぶっ飛ばす体力ないとダメだわ。
「ミランダ、朝食持って来たよ」
ご機嫌な様子でグラントが入って来た。
結婚式から10日間、お互い休暇を取っている。
手にはトレーを持っていて、マグカップと朝食が乗っていた。
ベッドサイドのテーブルにトレーを置くと、ベッドに腰掛け、私を自分にもたれかけさせるようにして座らせる。
「はい、あーん」
あーん、殺し文句をっっ。
悶えていると、ほれほれと催促してくる。くっ楽しそうだな。
あーんと口を開けると、ポタージュスープを食べさせれくれた。
むぐむぐ、美味しい!
疲れも吹っ飛びそうな程の美味しさだ。
「美味しい!料理上手なんだね。グラント」
「野営とかしてるし、結構料理作るの好きだよ。はい、もう一口」
素直に口を開けて食べさせてもらう。
「ちょっと無理させちゃったけど、今日からは大丈夫だよ。魔力混ぜたからね」
「なんかしてると思ったら、それかぁ」
そう、お互いの魔力を混ぜる事によってより相手を感じやすく、お互いの弱点もフォロー出来るようになる。
私の場合はグラントの化け物並みの体力を補ってもらえるのだ。
ん?ちょっと待てよ。体力補ったら夜は底なしにならないか?
それはちょっと困る。仕事だってあるのだ。
「あのさ、その・・・夜はちゃんと寝ないと仕事に支障が出るから控えめにしない?」
「それなら問題ない。俺は回復魔法は得意だ」
ニッコリと笑顔でのたまった。
いやいやそうじゃ無いでしょ。毎晩あの調子では・・・
不意に昨日見たグラントの肉体を思い出す。
神に祝福されたかのような完璧な肉体を。
しかも初朝だからバッチリ見えた。
クラリと眩暈がする。
ダメだ、あれが見られないのはダメだ。既に生きる活力だ。
あの割れた腹筋は癒しだ。
「じゃあさ、避妊魔法かけとかないと、すぐ子供できて仕事に支障きたしちゃうよ」
すると、今度は困ったような顔になった。
「うちは避妊魔法が効きにくい体質なんだ。だから今までしないでいたんだけど」
「え!そんな事あるの?」
「うちが子沢山一家と言われるのはその辺の事情もあるんだよ」
何ですと!避妊魔法が効かないとなると、今のペースでは子供出来放題!?
でも、生グラント見れないのも辛い。
ぐぬぬ。性知識が乏しいと回避方法がわからない。
「結婚してるんだし、子供できたとしても何の問題もないよ」
「それはそうなんだけど・・・」
せっかく受かった仕事を辞めるのは惜しいしな。
周りに迷惑をかけてしまうし。
仕方ない。
「じゃあ、間をとって、休みの前の日だけって事にしては?」
「じゃあ、今は休み中だから、問題はないな」
あ、そうだった。
結局、毎晩生グラントを拝む事になったのだ。
しかも、体力が補強されてので、それ程辛くない。
むしろ、魔力が混ざった分、心地よさも倍増。
ヤバイ!これはまずいぞ。速攻が子供出来てしまう。
仕事、仕事と家庭の両立。それが目標なんだ。
***
結局、子供はバッチリ出来た。
恐ろしい、ロックス遺伝子。
グラントは嬉しそうに、少し体調の悪い私の世話をしてくれる。
やけに世話がうまいとか思ったら、騎士生活もだが、兄弟の面倒も見てたからなんだな。
まあ、この分なら子供育てるのもお手のものだろう。
あたらめて、いい人と結婚したと思う。料理も上手いし。
きっと私より手際が良い筈だ。
つわりも軽かったので、出産ギリギリまで働き、別の部署から産休代理の事務官さんが来てくれた。
ギリアム・マコーレンさん 23歳。男性だ。
葡萄色の髪に深い緑の瞳、スラリとした白皙の美麗なイケメンで、なんと、母が部下の若者を騎士団に回してくれたのだ。
本人も騎士に憧れがあり、志願してくれたのだという。
何て良い人なのだ。
「よろしくお願いします、ギリアムさん」
「こちらこそよろしくぅ。噂の姉御さんの代理なんて光栄ですぅぅ」
くねりながら握手を求められた。
な、なんかクセの強いタイプだが、人は良さそうだ。
母の話では見かけによらず出来るとの事。
確かに彼は物覚えもよく、引き継ぎも楽だった。
ギリアムさんは語尾にクセはあるが中々楽しい人ですぐに仲良くなった。
予定通りに初夏、無事に私は産休に入る事になった。
***
夏になり、男の子が生まれた。
アッシュブロンドに右がブルーグレー、左がピーコックグリーンの瞳のグラントそっくりな男の子だった。
おおっ!我が子ながら、将来、物語の主人公になりそうなポテンシャルがあるぞ。
名前はヴァンサンとつけた。
幸い産後の肥立ちもよく、私は元気いっぱいだった。
グラントは一層私と子供を大事にしてくれる。
たまには息抜きに、と結婚したローザとお茶したりしてる間も、全然余裕で子供の面倒を見てくれているのだ。
なんて良い夫。
ギリアムさんも職場に慣れてみんなと仲良くやってるようだ。
さて、ヴァンサンが1歳になったら、保育園入れて私も復帰するよう準備しないとな。
***
な~んて、思っていたのだよ。
そ・れ・が!!!
冬になってまたもや妊娠発覚。
くっ!致し方あるまい。
ヴァンサンもまだ1歳だし。まだしばらくは育児に専念するか・・・
次は女の子が良いなぁ。なんて呑気に思いながら。
動けない。グラントさんよ、こっちは初心者なんだから、手加減して欲しい・・・
たしかに、レオナルドさんの言った通り、大男ぶっ飛ばす体力ないとダメだわ。
「ミランダ、朝食持って来たよ」
ご機嫌な様子でグラントが入って来た。
結婚式から10日間、お互い休暇を取っている。
手にはトレーを持っていて、マグカップと朝食が乗っていた。
ベッドサイドのテーブルにトレーを置くと、ベッドに腰掛け、私を自分にもたれかけさせるようにして座らせる。
「はい、あーん」
あーん、殺し文句をっっ。
悶えていると、ほれほれと催促してくる。くっ楽しそうだな。
あーんと口を開けると、ポタージュスープを食べさせれくれた。
むぐむぐ、美味しい!
疲れも吹っ飛びそうな程の美味しさだ。
「美味しい!料理上手なんだね。グラント」
「野営とかしてるし、結構料理作るの好きだよ。はい、もう一口」
素直に口を開けて食べさせてもらう。
「ちょっと無理させちゃったけど、今日からは大丈夫だよ。魔力混ぜたからね」
「なんかしてると思ったら、それかぁ」
そう、お互いの魔力を混ぜる事によってより相手を感じやすく、お互いの弱点もフォロー出来るようになる。
私の場合はグラントの化け物並みの体力を補ってもらえるのだ。
ん?ちょっと待てよ。体力補ったら夜は底なしにならないか?
それはちょっと困る。仕事だってあるのだ。
「あのさ、その・・・夜はちゃんと寝ないと仕事に支障が出るから控えめにしない?」
「それなら問題ない。俺は回復魔法は得意だ」
ニッコリと笑顔でのたまった。
いやいやそうじゃ無いでしょ。毎晩あの調子では・・・
不意に昨日見たグラントの肉体を思い出す。
神に祝福されたかのような完璧な肉体を。
しかも初朝だからバッチリ見えた。
クラリと眩暈がする。
ダメだ、あれが見られないのはダメだ。既に生きる活力だ。
あの割れた腹筋は癒しだ。
「じゃあさ、避妊魔法かけとかないと、すぐ子供できて仕事に支障きたしちゃうよ」
すると、今度は困ったような顔になった。
「うちは避妊魔法が効きにくい体質なんだ。だから今までしないでいたんだけど」
「え!そんな事あるの?」
「うちが子沢山一家と言われるのはその辺の事情もあるんだよ」
何ですと!避妊魔法が効かないとなると、今のペースでは子供出来放題!?
でも、生グラント見れないのも辛い。
ぐぬぬ。性知識が乏しいと回避方法がわからない。
「結婚してるんだし、子供できたとしても何の問題もないよ」
「それはそうなんだけど・・・」
せっかく受かった仕事を辞めるのは惜しいしな。
周りに迷惑をかけてしまうし。
仕方ない。
「じゃあ、間をとって、休みの前の日だけって事にしては?」
「じゃあ、今は休み中だから、問題はないな」
あ、そうだった。
結局、毎晩生グラントを拝む事になったのだ。
しかも、体力が補強されてので、それ程辛くない。
むしろ、魔力が混ざった分、心地よさも倍増。
ヤバイ!これはまずいぞ。速攻が子供出来てしまう。
仕事、仕事と家庭の両立。それが目標なんだ。
***
結局、子供はバッチリ出来た。
恐ろしい、ロックス遺伝子。
グラントは嬉しそうに、少し体調の悪い私の世話をしてくれる。
やけに世話がうまいとか思ったら、騎士生活もだが、兄弟の面倒も見てたからなんだな。
まあ、この分なら子供育てるのもお手のものだろう。
あたらめて、いい人と結婚したと思う。料理も上手いし。
きっと私より手際が良い筈だ。
つわりも軽かったので、出産ギリギリまで働き、別の部署から産休代理の事務官さんが来てくれた。
ギリアム・マコーレンさん 23歳。男性だ。
葡萄色の髪に深い緑の瞳、スラリとした白皙の美麗なイケメンで、なんと、母が部下の若者を騎士団に回してくれたのだ。
本人も騎士に憧れがあり、志願してくれたのだという。
何て良い人なのだ。
「よろしくお願いします、ギリアムさん」
「こちらこそよろしくぅ。噂の姉御さんの代理なんて光栄ですぅぅ」
くねりながら握手を求められた。
な、なんかクセの強いタイプだが、人は良さそうだ。
母の話では見かけによらず出来るとの事。
確かに彼は物覚えもよく、引き継ぎも楽だった。
ギリアムさんは語尾にクセはあるが中々楽しい人ですぐに仲良くなった。
予定通りに初夏、無事に私は産休に入る事になった。
***
夏になり、男の子が生まれた。
アッシュブロンドに右がブルーグレー、左がピーコックグリーンの瞳のグラントそっくりな男の子だった。
おおっ!我が子ながら、将来、物語の主人公になりそうなポテンシャルがあるぞ。
名前はヴァンサンとつけた。
幸い産後の肥立ちもよく、私は元気いっぱいだった。
グラントは一層私と子供を大事にしてくれる。
たまには息抜きに、と結婚したローザとお茶したりしてる間も、全然余裕で子供の面倒を見てくれているのだ。
なんて良い夫。
ギリアムさんも職場に慣れてみんなと仲良くやってるようだ。
さて、ヴァンサンが1歳になったら、保育園入れて私も復帰するよう準備しないとな。
***
な~んて、思っていたのだよ。
そ・れ・が!!!
冬になってまたもや妊娠発覚。
くっ!致し方あるまい。
ヴァンサンもまだ1歳だし。まだしばらくは育児に専念するか・・・
次は女の子が良いなぁ。なんて呑気に思いながら。
2
あなたにおすすめの小説
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる