社畜モブの俺、異世界転移したら「Sub」っていわれたんだけど。え、「Sub」って何ですか?

鉾田 ほこ

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4章

8 見せて

 
 その声を無視して、首筋をぬるりとしたものが舐る。
「あっ」
 サイベリアンは健介のあげる声に気をよくしたのか、今度は歯を立てて甘噛みした。
「ん、はっ」
 健介は身体をぶるっと小さく震わせる。
 蕩けていきそうになる思考の片隅で、バーニーの言った「プレイで濃厚な接触は行われない」という言葉が思い浮かんだ。
 サイベリアンはプレイをしに来たん……だよな?
 健介がそんなことを頭の中で考えていることなど露知らず、立てていた歯を離して首元をきゅっと強く吸い上げる。その刺激にぞくりと肌が粟立つ。くすぐったさから逃げるように、腕の中で身じろいだ。 
「さ、リアン……さ、ま」
「じっとして、ケン。『動かないで』」
 新たな命令が健介を縛る。
 首筋にかかる熱い息ですら、健介の劣情を刺激する。体が動きそうになるのを必死に堪えた。サイベリアンに動くなと命じられている。サイベリアンに命令されるだけで、なぜこんなにも高揚するのだろう。
 時折挟まれるサイベリアンの命令が、「これはプレイなのだ」と健介に思い出させる。というより、プレイでないのなら、この行為はなんだというのか──。
(プレイ……だよな?)
 じゃれつく犬のように噛んだり舐めたりしているサイベリアンに、されるがまま動かずに耐える。時折、堪えきれない声が健介の鼻の奥から漏れた。
 こんな少しの刺激で前が反応する。自分は前からこんなにも性欲が旺盛だったのだろうか、いやむしろ淡泊だと思っていた。
 直接そこに触れられているわけでもない。それなのに、首に唇が落とされるたび、むくりむくりと起き上がってくる。のしかかるサイベリアンの下半身は健介の下半身と密着しており、動きを封じられて萌しを隠しきれない。
 健介は恥ずかしさに身悶えそうになる衝動を無い腹筋に力を込めてぐっと堪えた。
 気づいているはずのサイベリアンは頭をだんだんと下に動かしていき、ガウンのあわせから覗く鎖骨に歯をたてる。
 いつもはあることすら忘れている乳首も、芯を持ち始めて存在を主張する。ガウンの布が触れるささやかな刺激がもどかしい。 
 揺れそうになる腰、突き出しそうになる胸。
 動きを止められた健介はただ喘ぎをもらして、眼下の美しい銀髪を眺めることしかできない。そのまま下へとおりていくサイベリアンに直接刺激を与えてもらえるのを今か今かと待ちわびる。
 ふいにサイベリアンの太ももが健介の股間を擦りあげた。
「あっ、んん!」
 びくっと反射的に身体が動く。
「も、申し訳、あ、あ」
 止まらない動きに、口にした謝罪の言葉は喘ぎに遮られて最後まで言えなかった。
 完全に勃起したペニスが下着の薄い布を押し上げる。先端からにじみ出る先走りが布越しにサイベリアンのズボンにも水気を広げるのを感じる。
 与えられるゆるやかな刺激に、健介は無意識で腰を擦り付けていた。
 しかし、サイベリアンは抱きしめていた腕を離し、健介の上から身を起こす。
(あ……)
 温かく心地よい重さが体から離れたことに切なさを覚える自分に驚いた。縋るように腕をあげようとしたが、命令を思い出してとどまる。
 気づかぬうちに閉じていた目を開いて、サイベリアンを探す。
 ソファから立ち上がり、自分を見下みおろすサイベリアンと目が合う。

 片やガウンをはだけさせ、下着一枚であられもない姿で横たわる自分と片やシャツのボタン一つすらも外していないサイベリアン。
 自分一人だけ盛り上がっていたことに気が付き、健介は猛烈な羞恥に襲われた。股間に集まっていた血の気は一気に顔へと登って、耳まで熱くなる。
 動くなと命じられたことも忘れて、両腕で顔を隠した。
「はぁ……」
 サイベリアンのため息が耳に入り、冷や水を浴びせられる。なぜかわからないが胸がぎゅっと締め付けられた。
「ご、ごめ……」
「あんまり可愛いことしないで、抑えられなくなる」
 サイベリアンは健介を横抱きに抱え上げ、そのまま歩いていく。ふかっとした上にろされ、それがベッドの上だと気づいた。
(え、えぇ?)
 戸惑う健介をよそに、サイベリアンは上着を雑に脱ぎ捨てシャツのボタンを外す。
 見上げたサイベリアンの瞳は獲物を狙う捕食者のような獰猛なきらめきをたたえていた。

「ケン、『見せて』」
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