社畜モブの俺、異世界転移したら「Sub」っていわれたんだけど。え、「Sub」って何ですか?

鉾田 ほこ

文字の大きさ
154 / 202
4章

10 動かないで

「はい……」
 健介はベッドの上で上半身を起こし、命じられる通りにガウンを肩から落とす。振り返ってマットレスに両手をつくと、マットレスが沈み小さく軋む音を立てた。
 両手のひらに感じる冷たい綿のシーツは昼間に自分でベッドメイクをした際にかけたものだと思い出す。これからは部屋を掃除するたびに、プレイルームで晒す痴態を思い出すことになるのか──と考えるだけで、羞恥に背筋がぞくぞくした。

 こんなふうに感じるのは前からだっただろうか。
 それとも、この世界にきてSubになってしまったからだろうか。
 健介にはどちらかはわからなかったが、そんなことはもうどうでもよかった。
 獣の姿勢をとって、恥ずかしげもなくサイベリアンの美しい顔の前に覆うものが何もない自分のみすぼらしい尻を晒している。よく考えなくても、この下着の目的は明らかだった。
 意識しないように意識しないようにとすればするほどに、自分の尻の穴はひくひくと浅ましく蠢く。腹の奥がせつなくきゅんとして、熱がたまっていくようだ。
 立ち上がった股間が布を押し上げて、窮屈だと主張する。
「いい子だ」
 サイベリアンの厚みのある大きな手のひらが、肉の薄い健介の尻を円を描くように撫でさする。尻肉を左右に動かされるたび、後孔がくぱくぱと音を立てるように開閉を繰り返す。
 部屋は空調が入っているわけでもないのに、少しだけひんやりしていたが、健介の身体はすでに悦楽に熱いほどに火照っていた。
 円を描く仕草で親指は尻穴を掠める。
「ふ、んっん」
 もどかしい。
 健介は知らず知らずのうちに腕を突っ張り、尻を突き出し淫蕩に揺らしていた。

「ふふ、『動かないで』ケン」
 指摘されて初めて自分が動いていたことに気がつき、はっとする。健介は腕と膝に力を入れて背筋を伸ばし、そして止まった。
「いい子、よくできてる」
 そう言う間もサイベリアンの手は休むことなく動き続け、尻を揉みしだいていた片手は布越しに健介のペニスに伸びた。
「ひっ、あ」
 股間を握られた驚きは次のサイベリアンの動きでかき消された。
「あ、ダメ、です。汚いっ」
「『しー』」
 サイベリアンは制止の声を上げた健介に命令コマンドをくだしつつ片方の手で健介の股間を擦り、もう片方の親指で尻穴をくにっと広げるとおもむろにそこへと舌を伸ばした。
 尖らせた舌先が穴を探るように突く。ぬるりとした感触が襞を伸ばしながら入り込む。
「んぅ、んん」
 ぬっこぬっこと舌が出し入れされる動きにあわせ、前を握る手が前後に動く。二つの刺激が同時に健介を襲った。
「んーー、んーー!」
 汚い。恥ずかしい。
 それなのに気持ちがいい。

 サイベリアンと出会う前は確かにそこはただの排泄器官だった。
 いまはどうだろう──。
 きゅぅ、きゅうぅとすぼんではサイベリアンの舌を奥へと誘いこむように怪しい動きを繰り返す。この悦楽は前を擦られている直截的な刺激ゆえか、穴にほどこされるゆるやかな愛撫のせいか。
 どうでもいいが気持ちがいい。
 時計の音すらしない静かな部屋でじゅるじゅると穴を舐める卑猥な音が健介の耳に響く。
 ついていた両手はいつの間にか崩れ、両肘をついて顔を突っ伏す。両掌でシーツを握り締めて、既に達しそうになる快感を逃がすように耐え忍ぶ。
「ふぅー、う、くっ……。ふんっぁ」
 ふいに尾てい骨から甘い痺れが全身に走った。
「んあぁあああ」
 前を擦っていたはずの手が舌が入っていたはずの穴に突きたてられていた。
 いっぺんに入れられた中指と薬指のひらが適格にしこりを擦りあげる。下腹部のあたりを中からぎゅぎゅーっと押されて、先走りというには無理があるほどに、下着の中をぐっちゃりと濡らしていた。

 蕩けていく思考の端で、バーニーの言った「プレイで濃厚な接触は行われない」という言葉が思い浮かんで消えた。
感想 18

あなたにおすすめの小説

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 約九万字、全三十話+αの物語です。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

【書籍化決定/完結】カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!

野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ 平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、 どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。 数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。 きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、 生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。 「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」 それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて―― ★リブレ様にて紙書籍・電子書籍化が決定しました! 応援してくださった皆様のおかげです! 本当にありがとうございます! 発売日などの詳細は、決まり次第、作者のXや近況ボードなどでご報告させていただきますのでお待ちいただければ幸いです。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!