社畜モブの俺、異世界転移したら「Sub」っていわれたんだけど。え、「Sub」って何ですか?

鉾田 ほこ

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4章

32 何をしに来たのか……

 サイベリアンは健介をまっすぐに見つめたまま語り始めた。
 そうして聞いたサイベリアンの話は既に知っていることと初めて聞くことがあり、健介は少しだけ彼の人となりがわかった気がする。
 
 サイベリアンはこの国の第二皇子殿下であることは既に最初にプレイの相手をするときにゾイから聞いていたので知っていたが、上には姉と兄、下に弟がいることは初めて知ることだった。
 皇女殿下は現皇帝の初めての子供であるが、サイベリアンとは母親が違うらしい。サイベリアンとその上の兄、第一皇子殿下は母親が同じ、その方が公爵家出身、ゾイの姉君とのことだ。
 皇女殿下と第三皇子殿下は母親が同じで、サイベリアンの母君より先に結婚していた、ダイナミクスのパートナーらしい。
 あともう一人、他国から輿入れをした女性がいるそうだ。
 さすが皇帝陛下、普通に政略結婚で、複数人の奥方がいらっしゃった。
 そういえば、シュナも兄弟と母親が違うと言っていた。この世界では一夫多妻制が普通なのだろう。それが貴族や皇族に限られているのか一般的な平民でもそうなのかはわからない。
 健介はサイベリアンも将来は……というか、今現時点でも婚約者的な人がいるのではないかと思いいたる。 
 サイベリアン本人からいまのところそのような話はでていないが、彼は皇族なのだ。恋愛結婚ではなく皇族の責務として、国のためになる婚姻を結ぶに決まっているし、それはおそらく一人ではない。
 そう考えて健介は胸が少し痛んだ後、はっとして動悸が早くなる。
 このようにハウスにきて、自分と性行為をしているのは不貞にあたったりしないのだろうか……と。
 自分は何かの罪に問われたりしないのだろうか。
 ハウスでは接触は一般的には行われないと学んだ。いくらサイベリアンからだとしても、健介自身もその行為を甘んじて受け入れているのだから、同罪……では?
 健介の顔色がどんどん悪くなっていく。
 
「ケン、どうかした?」
「い、いえ……」
 聞くべきなのだろうか、悩ましい。自分から、「この行為は問題ないですか?」と聞けるほどの勇気は健介にはなかった。
 何かを察したサイベリアンが、「私に婚約者はいない。兄にはいるけどね」と軽い口調で話す。
 健介はその言葉にあからさまにほっとした。
 そんな安堵の様子にサイベリアンは何を思ったのか、喜色満面の表情で「安心して」と笑いかけ、健介を片手で抱き寄せると、そのままつむじにキスをする。
「あ、あ、」
 いきなりのことに健介は落ち着いた心地から一転して慌てた。
 もっと激しいキスをしているというのに、いまさら頭にキスされたくらいで驚くのは自分でもどうかと思うが、なにせ慣れていないのだから大目に見てほしいところだ。

 そんな他愛もない話をして、小一時間ほどでサイベリアンはプレイもせず、パートナーの話も口にせずに帰っていった。
 本当に何をしに来たのか、健介にはその意図が一切掴めなかった。


 その翌日、健介は他のプレイヤーたちと一緒に集まるように言われて、朝の仕事を中断させて食堂へときている。
 健介にはここで働くプレイヤーの全員が集まっているのかはわからなかったが、その場にはそれなりの人数が集まっているようだった。それぞれが仲のいい相手なのだろう、雑談をしながら何があるのかと待っているようだった。
 呼びに来たバーニーの姿は見えないが、シュナを見つけて健介は近づいた。
「シュナさん、お、おはようございます」
「あ、ケン。おはよー。ケンも呼ばれたの?」
「あ、はい。バーニーさんが洗濯場までわざわざ呼びに来てくださって」
「そうなんだ。ケンも呼ばれてるってことは、プレイに関する話じゃないのかな……」
「どうなんでしょう。何の話か見当もつきません」
「集まってるのは……、半分くらいかな」
 これで半分の人数ということは、健介が考えているよりはプレイヤーとして在籍している人は多いのかもしれない。
「なんか辞めた顔もいる気がする……」
 辞めた人まで集めているということは、何か重要なことでもあったのだろうか──。
「いままでこんなことなかったけど」
「え?」
 今までにもなにか全員に伝える必要があるような重大な事柄があった際にはこのように集められているのかと思ったら、これが初めてということらしい。
 一体何があったというのか──。
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