社畜モブの俺、異世界転移したら「Sub」っていわれたんだけど。え、「Sub」って何ですか?

鉾田 ほこ

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2章

7 エッチすぎる

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 これは本当に──。
 エッチ過ぎる。
 誰の調教も受けていないというのに、こちらの期待以上の大胆な行動を返してくる。それでいて、恥じらいに顔を赤く染めているのだからそのギャップにやられない方がおかしい。
 サイベリアンの股間に熱が集まる。自分のものもすでに固さを持ち始めていることを自覚した。

 今すぐにでも、この欲望をケンにぶつけたい──。
 そんなことを考えるが、そもそもセックスはあくまでプレイの延長で、お互いの信頼関係が出来上がってから行うものだ。いま、このままなし崩しで始めるのは信頼もへったくれもない。
 そもそも、ハウスで挿入は厳禁である。この施設はあくまでも、ダイナミクスのストレスを解消するために、プレイを提供する場所だ。
 娼館ではない。

 そればかりは身分をかさに着てどうこうするものではないと、自分でもわかっている。
 自分の股間を宥めるように、プレイに集中しようとする。だが、結局は邪な感情を大いに含んだプレイになる。
 あくまで、プレイ──。
 ケンが望むなら。
 ぎりぎりケンの性器に触れないように、太ももや足の付け根、皮膚の薄い腰骨を手を滑らせるように軽く撫でる。ケンは鳥肌を立てて、ぴくぴくと身体を震わせた。足の付け根から太ももの内側、膝裏と繰り返し繰り返し撫でれば、ケンは物足りなさに腰つきをいやらしく動かし始めていた。
「『言って』」
「……撫でてください……」
「どこを?」
 そんなのはわかりきっているが、言わせたい。というかケンがどのようにねだるのか知りたい。とろけきった表情で、前から悦びの泪を流しながら、この人はどうやって懇い願うのか。
「おちんちんを……してほしいです……」
 
 最高──。
 大正解の答えである。
 あまりの可愛さに危うく股間が暴発しそうになるのをサイベリアンは「ぐぅっ」と一瞬変な声を上げて堪える。幸いにも、触れられる期待で胸をいっぱいにしているケンには聞こえなかったようだ。
 表情を取り繕って、「『いいこ』だ」と余裕を見せる。
 これはプレイ、ケンがプレイの最中に望んだことに答えているだけ、と誰に対してのものかわからない言い訳を頭の中で繰り返し、にじみ出る下心を隠して喜び勇んでケンのペニスに触れた。
 それは小ぶりながらも形がよく、亀頭はピンク色で艶々としていてあまり使われてこなかったことをうかがわせる。先端口からは堪えきれない先走りがひっきりなしにとろとろと溢れだしてすべすべの竿を濡らしていて、新鮮な果物のようだった。先走りのぬめりを借りて上下に手を動かすと、ちゅ、くちゅとやらしい水音を立てる。
 それに合わせて、ケンは「ん、んっふ、ん」と気持ちよさそうに声を漏らすが、本人はそのことに気づいていない。喘ぎとも言えない、子犬のような可愛らしい呻きを上げながら刺激に感じ入っていた。
 ゆるゆると優しく……あえて弱く擦っていれば、物足りなさにケンの腰が前後に淫らに動き始める。それを「『動かないで』」とコマンドで止めると、黒曜石の瞳を潤ませて、非難の視線を向けていた。

 焦らして、焦らして、最高の快感を──。
 安直な快楽など与えない。
 プレイと性的刺激を意識と潜在意識の境界領域より下に刻みつける。

 象牙色をした滑らかな肌は薄暗い部屋の照明の下で桜色に染まっている。
 あばらの浮いた薄い胸の上に手を置くと、壊れてしまうのではないかと心配になるほどに、心臓が早鐘を打っていた。
 手触りを確かめるように胸を撫でていると、指先が慎ましやかな乳首をかすめた。その瞬間、ケンの身体が大きくびくりと跳ねる。

(これは……)
 確かめずにはいられない。
「どうかしたか?」
「い、いぇ……」
 尋ねるもケンは何が起こったのか自分でもわかっていないのか、困惑の表情を浮かべながら簡単な否定の言葉を口にするだけだった。
 なら、わからせてやればいい。
 わざと中心を避けて、乳輪を執拗に撫でる。そうすると、直接触れられていないにもかかわらず、乳首はぷっくりと立ち上がって存在を主張し始める。
 サイベリアンはおもむろに今までとは打って変わった強い刺激を乳首に与えた。
「ん、あ!」
 ケンは声と同時に身体とペニスをびくんと跳ねさせた。
 こりこりとつま先でひっかくように刺激を与えると、もっともっとというように赤く固さを増していく。すこぶる刺激に素直な反応を返すケンにサイベリアンは楽しくて仕方がない。
 ケン本人は何が起きているのかと困惑の表情を浮かべるが、頭が理解せずとも身体は理解してサイベリアンの愛撫に適格に答えてくる。
「あぁ……可愛い」
 この人はどこまで自分を虜にすれば気が済むのだろう。
 サイベリアンはケンの敏感な身体、快感に従順な態度、それでいて純粋な反応を返す表情の全てが自分の理想だと思った。
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