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2章
6 プレイがしたい
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コマンドを聞いたケンは驚きに目を見開いてから、落ち着かなそうにウロウロと左右へ視線を彷徨わせる。サイベリアンにはケンが困惑している様子が手に取るようにわかった。それがなんとも初々しくて微笑ましい。
思わず笑みが溢れる。
本人は気づいていないが、「え……うぅん?……」と悩んでいる声が漏れていた。
視線を戻してサイベリアンを伺い、断ることは無理そうだと察したのか、意を決した顔をして目を瞑る。
その一つ一つが愛らしい。
全てが表情に出てしまっている。腹芸など出来なさそうな素直な人柄が透けて見えた。
足りない背丈を背伸びして、きつく結んだ唇をぐいっと押し付けてきた。
(可愛い……)
「キスして」などと言うコマンドはパートナーになったか、恋人であるSubにしか言わない。それを知ってかしらずか、素直に応じるケンに「この人は大丈夫か?」と少し不安になりつつも、キスすることを受け入れられた喜びが勝る。
唇の感触を確かめるより先に離れそうになったケンの腰に腕を回して阻止して、驚きに開かれた隙間にすかさず舌を差し込む。そのままケンの舌に自分の舌を絡みつけ強く吸い上げ、口内を余すことなく貪った。
くぐもった呻きをもらすケンを無視して、甘い唾液を味わい尽くすように、息継ぎも出来ないような容赦ないキスを続ける。されるがままに口内を蹂躙されていたケンがサイベリアンの胸を握り締めたこぶしで必死に叩く。そうしてやっとサイベリアンは唇を離す。二人の間を細く銀の糸が繋いで、ぷつりと切れた。
ケンを見下ろせば、濃厚なキスに翻弄されてすっかり上がった息を整えるように、肩で息をしている。口の端から唾液をたらしながら見上げる様はなんとも言えない淫靡さで、サイベリアンの庇護欲と嗜虐欲を同時に刺激した。
「可愛いキスだったね」
揶揄うように言うと、いささか頬をふくれさせる。その様子がまるで小動物のように愛らしい。髪をすくように頭を撫でてやれば、きょとりとした顔でこちらを見つめてくる。言葉もなく見つめ合っていると、次第にケンの表情がうっとりと変化してきた。
キス一つでこんなに無垢な反応をされるとは……。
成人男性にしては、かなり小柄でがりがりといえるほどの細身の体。目の下に刻まれた深いくまは以前ほどは濃くないが、相変わらず消えさってはいない。ぼんやりとした黒い瞳とさらさらの黒髪は豊かで、一体いくつなのか年齢が不詳だった。
自分と同じくらいの歳にも、もっと歳上にも見える。
だが、今まで過ごしたほんの短い時間の間で見せる、性と第二性に対する疎さと純真な反応は、まるで思春期のそれのようだった。
プレイをしたい──。
溜まっている自身のストレスの解消だけが理由ではない。他のDomの手の跡を全く感じさせないこのSubに自分のプレイを教え込みたかった。
自分以外のDomとケンがプレイをすると考えただけで冷静ではいられない。他のDomに染められる前に自分の色に染めて、自分以外とプレイをする気が起きないほどにケンの心をつかみたかった。
それがどんなに利己的なことかは自分でもよくわかっていたが、そんな理由からサイベリアンはどうしても二度目のプレイをしたかった。
見計らって「続きをしたい?」と耳元で尋ねれば、一も二もなく「……はい」と答える。
元より断られるとは思っていなかったが、ケンの色よい返事にサイベリアンは心が躍る。このプレイで、心も体も篭絡させようと意気込んだ。
ケンから身体を離して、一人ベッドに行って腰かける。
内心の喜びを隠して余裕を見せるように足を組み、「『おいで』」と、コマンドを放てば、ふらふらとサイベリアンのもとに近づいてきた。すでに何も身に着けていないにもかかわらず隠すことも忘れられた前は歩いてくる間にすこしずつ兆しを見せ始めている。
あぁ、なんと欲望に忠実なんだろう……。
ベッドにあがってあおむけになるように命令すると、横になったケンの中で中心だけがぴょこりと立ち上がったままだ。
ケンを見下ろせば、それにようやく気付いたのか肩まで真っ赤にして、天井を直視している。額にかかる前髪をよけて、瞳をのぞこうとすると、ぷいっと顔を逸らした。
「こっちを『見て』」
素直に従って情欲にうるんだ瞳を向けてくる。
演技ではないその素の表情や行動が好ましい。サイベリアンは「『いいこ』」と褒めて、それが正しいことであるとケンに教え込む。額や頬にキスを落とし、焦らすように唇に軽いキスを何度も繰りかえすと、もっともっとねだるようにケンの唇が追いすがる。
「まだ、これからだ」
夜は長い。
そんなに焦らなくても、もっともっと気持ちよくさせる。そんな気持ちを込めて、呟くと、期待をしたケンが身体をモゾつかせる。どうやら、完全に立ち上がってしまった前を今更隠したいと思ったらしい……。
いじらしいことこの上ない。
「『見せて』」
一度目のコマンドでは、ケンは視線をさまよわせて考えている。もう一度「『見せて』」と命令すると、恍惚とした表情でサイベリアンに見せつけるように大きく膝を割った。
思わず笑みが溢れる。
本人は気づいていないが、「え……うぅん?……」と悩んでいる声が漏れていた。
視線を戻してサイベリアンを伺い、断ることは無理そうだと察したのか、意を決した顔をして目を瞑る。
その一つ一つが愛らしい。
全てが表情に出てしまっている。腹芸など出来なさそうな素直な人柄が透けて見えた。
足りない背丈を背伸びして、きつく結んだ唇をぐいっと押し付けてきた。
(可愛い……)
「キスして」などと言うコマンドはパートナーになったか、恋人であるSubにしか言わない。それを知ってかしらずか、素直に応じるケンに「この人は大丈夫か?」と少し不安になりつつも、キスすることを受け入れられた喜びが勝る。
唇の感触を確かめるより先に離れそうになったケンの腰に腕を回して阻止して、驚きに開かれた隙間にすかさず舌を差し込む。そのままケンの舌に自分の舌を絡みつけ強く吸い上げ、口内を余すことなく貪った。
くぐもった呻きをもらすケンを無視して、甘い唾液を味わい尽くすように、息継ぎも出来ないような容赦ないキスを続ける。されるがままに口内を蹂躙されていたケンがサイベリアンの胸を握り締めたこぶしで必死に叩く。そうしてやっとサイベリアンは唇を離す。二人の間を細く銀の糸が繋いで、ぷつりと切れた。
ケンを見下ろせば、濃厚なキスに翻弄されてすっかり上がった息を整えるように、肩で息をしている。口の端から唾液をたらしながら見上げる様はなんとも言えない淫靡さで、サイベリアンの庇護欲と嗜虐欲を同時に刺激した。
「可愛いキスだったね」
揶揄うように言うと、いささか頬をふくれさせる。その様子がまるで小動物のように愛らしい。髪をすくように頭を撫でてやれば、きょとりとした顔でこちらを見つめてくる。言葉もなく見つめ合っていると、次第にケンの表情がうっとりと変化してきた。
キス一つでこんなに無垢な反応をされるとは……。
成人男性にしては、かなり小柄でがりがりといえるほどの細身の体。目の下に刻まれた深いくまは以前ほどは濃くないが、相変わらず消えさってはいない。ぼんやりとした黒い瞳とさらさらの黒髪は豊かで、一体いくつなのか年齢が不詳だった。
自分と同じくらいの歳にも、もっと歳上にも見える。
だが、今まで過ごしたほんの短い時間の間で見せる、性と第二性に対する疎さと純真な反応は、まるで思春期のそれのようだった。
プレイをしたい──。
溜まっている自身のストレスの解消だけが理由ではない。他のDomの手の跡を全く感じさせないこのSubに自分のプレイを教え込みたかった。
自分以外のDomとケンがプレイをすると考えただけで冷静ではいられない。他のDomに染められる前に自分の色に染めて、自分以外とプレイをする気が起きないほどにケンの心をつかみたかった。
それがどんなに利己的なことかは自分でもよくわかっていたが、そんな理由からサイベリアンはどうしても二度目のプレイをしたかった。
見計らって「続きをしたい?」と耳元で尋ねれば、一も二もなく「……はい」と答える。
元より断られるとは思っていなかったが、ケンの色よい返事にサイベリアンは心が躍る。このプレイで、心も体も篭絡させようと意気込んだ。
ケンから身体を離して、一人ベッドに行って腰かける。
内心の喜びを隠して余裕を見せるように足を組み、「『おいで』」と、コマンドを放てば、ふらふらとサイベリアンのもとに近づいてきた。すでに何も身に着けていないにもかかわらず隠すことも忘れられた前は歩いてくる間にすこしずつ兆しを見せ始めている。
あぁ、なんと欲望に忠実なんだろう……。
ベッドにあがってあおむけになるように命令すると、横になったケンの中で中心だけがぴょこりと立ち上がったままだ。
ケンを見下ろせば、それにようやく気付いたのか肩まで真っ赤にして、天井を直視している。額にかかる前髪をよけて、瞳をのぞこうとすると、ぷいっと顔を逸らした。
「こっちを『見て』」
素直に従って情欲にうるんだ瞳を向けてくる。
演技ではないその素の表情や行動が好ましい。サイベリアンは「『いいこ』」と褒めて、それが正しいことであるとケンに教え込む。額や頬にキスを落とし、焦らすように唇に軽いキスを何度も繰りかえすと、もっともっとねだるようにケンの唇が追いすがる。
「まだ、これからだ」
夜は長い。
そんなに焦らなくても、もっともっと気持ちよくさせる。そんな気持ちを込めて、呟くと、期待をしたケンが身体をモゾつかせる。どうやら、完全に立ち上がってしまった前を今更隠したいと思ったらしい……。
いじらしいことこの上ない。
「『見せて』」
一度目のコマンドでは、ケンは視線をさまよわせて考えている。もう一度「『見せて』」と命令すると、恍惚とした表情でサイベリアンに見せつけるように大きく膝を割った。
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