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3章
11 出張プレイは存在しない
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(目の前に座るマッチョなオネェのゾイが、リアンの叔父?!)
健介は改めてゾイをマジマジと見つめる。その顔に、体に、目にサイベリアンとの類似点がないか──。
全く似ていない。
目の色も髪の色も、顔つきも。
(ゾイさ……さま? がリアン様の……おじ??)
叔父って、血がつながっているはずで……。ゾイは何者なのか。
「わたしはサイベリアンの母親の弟にあたるんだ」
「!?」
え?
え??
どうやら、健介が頭の中で考えていると思っていたことは、ゾイの顔をガン見しながら口に出てしまっていたらしい。
「あ、あ、あの……、も、も」
「そして、ケン。わたしに「様」は不要だよ」
そう言って、とびきりの笑顔で健介を見返した。
(うわっまぶしい!)
普段は特徴的な喋り方と、女性のような仕草に隠されていて、気づいていなかったが、サイベリアンとは別の種類の美丈夫であったことに健介は気づいた。
そうでなくともこの世界の人々は彫が深く、目鼻立ちがはっきりしていて、のっぺり一重のモブ顔日本人である自分と比べたら顔がいい。だが、サイベリアンにしても、ゾイにしても、ウンシアにしても、そのほかの人と比べるとずば抜けて美形だ。
(自分の平凡さが際立つ……)
ゾイの眩しい笑顔から避けるように健介は俯く。
「ケン、耳まで真っ赤だけど……」
「あ、あの、だ、だいじょぶ、です」
「そうかい?」
相変わらず、普段の喋り方とは違う丁寧な口調で、低く響くような声で話しかける。ギャップに少し知らない人と話している様な気分になって、健介は落ち着かなかった。
「は、はい……」
健介は自分がここで何をしているのか、ゾイがここに何をしに来たのかなど、頭からすっぽり抜けていた。目を泳がせながら、手持ち無沙汰に目の前のカップに手を伸ばす。
ガチャガチャと音を立てながら、掴んだカップに視線を落とし、ごくりと飲み干した。
この屋敷に過ごしている間、メイドさんがよく入れてくれる香りの良いお茶だった。たぶん、紅茶だと思う。
少し冷めたそれを一口飲むと、少しだけ心を落ち着かせることが出来た気がして、カップをがちゃがちゃと音をさせてソーサーに戻し、再びゾイを見上げる。
「あの、サイベリアン様が……、あの、迷惑をって、ど、どういう……」
「リアンがケンを無理やりハウスから連れだしたからだよ」
「無理……矢理……では」
「では、ケンは一緒にハウスから出ることを承知したかい?」
「いえ……、でも」
「ケンはここに居たいのかい?」
「居たいというか……、俺は、あの、仕事だと……。違うんですか」
「先ほども言ったが、プレイヤーはハウス以外でプレイをすることはない」
ゾイが説明するところによると、プレイヤーが客の元に出張してプレイを行うことはない。特にSubはハウス以外の場所でプレイを行って、何か客のDomから酷い行為をさせられたとして、命令を使われてしまったら、いくらセーフワードを使ったところで逃げられない。連れ去られてしまったりしてしまった場合、最悪見つけることすらかなわなくなる可能性もある。
今回、健介が連れ去られても見つけられたのは、本来だったら大変に幸運なこというくらいの出来事だった。
プレイをしていた相手が連れ去り、自分の屋敷に軟禁しており、それを正直に認めたのだから。意図的に隠すつもりでDomがSubを連れ去ったとしたら、すぐ見つかる場所に留めて置いたりはせず、見つからない場所に監禁するというのだ。
その話を聞いて、健介はゾッとした。
サイベリアンにはそのつもりがなかったのかもしれないが、もしそれが全く知らない相手だとしたら、恐怖でしかない。
「これは犯罪なんだよ、ケン」
「でも……、りあ……サイベリアン様はそんな、つもりで俺を、つ、連れて来たわけ……じゃ……」
ゾイは沈痛な面持ちで健介を見つめる。
「ケン……、ケンちゃん。リアンとパートナーになりたい?」
健介は改めてゾイをマジマジと見つめる。その顔に、体に、目にサイベリアンとの類似点がないか──。
全く似ていない。
目の色も髪の色も、顔つきも。
(ゾイさ……さま? がリアン様の……おじ??)
叔父って、血がつながっているはずで……。ゾイは何者なのか。
「わたしはサイベリアンの母親の弟にあたるんだ」
「!?」
え?
え??
どうやら、健介が頭の中で考えていると思っていたことは、ゾイの顔をガン見しながら口に出てしまっていたらしい。
「あ、あ、あの……、も、も」
「そして、ケン。わたしに「様」は不要だよ」
そう言って、とびきりの笑顔で健介を見返した。
(うわっまぶしい!)
普段は特徴的な喋り方と、女性のような仕草に隠されていて、気づいていなかったが、サイベリアンとは別の種類の美丈夫であったことに健介は気づいた。
そうでなくともこの世界の人々は彫が深く、目鼻立ちがはっきりしていて、のっぺり一重のモブ顔日本人である自分と比べたら顔がいい。だが、サイベリアンにしても、ゾイにしても、ウンシアにしても、そのほかの人と比べるとずば抜けて美形だ。
(自分の平凡さが際立つ……)
ゾイの眩しい笑顔から避けるように健介は俯く。
「ケン、耳まで真っ赤だけど……」
「あ、あの、だ、だいじょぶ、です」
「そうかい?」
相変わらず、普段の喋り方とは違う丁寧な口調で、低く響くような声で話しかける。ギャップに少し知らない人と話している様な気分になって、健介は落ち着かなかった。
「は、はい……」
健介は自分がここで何をしているのか、ゾイがここに何をしに来たのかなど、頭からすっぽり抜けていた。目を泳がせながら、手持ち無沙汰に目の前のカップに手を伸ばす。
ガチャガチャと音を立てながら、掴んだカップに視線を落とし、ごくりと飲み干した。
この屋敷に過ごしている間、メイドさんがよく入れてくれる香りの良いお茶だった。たぶん、紅茶だと思う。
少し冷めたそれを一口飲むと、少しだけ心を落ち着かせることが出来た気がして、カップをがちゃがちゃと音をさせてソーサーに戻し、再びゾイを見上げる。
「あの、サイベリアン様が……、あの、迷惑をって、ど、どういう……」
「リアンがケンを無理やりハウスから連れだしたからだよ」
「無理……矢理……では」
「では、ケンは一緒にハウスから出ることを承知したかい?」
「いえ……、でも」
「ケンはここに居たいのかい?」
「居たいというか……、俺は、あの、仕事だと……。違うんですか」
「先ほども言ったが、プレイヤーはハウス以外でプレイをすることはない」
ゾイが説明するところによると、プレイヤーが客の元に出張してプレイを行うことはない。特にSubはハウス以外の場所でプレイを行って、何か客のDomから酷い行為をさせられたとして、命令を使われてしまったら、いくらセーフワードを使ったところで逃げられない。連れ去られてしまったりしてしまった場合、最悪見つけることすらかなわなくなる可能性もある。
今回、健介が連れ去られても見つけられたのは、本来だったら大変に幸運なこというくらいの出来事だった。
プレイをしていた相手が連れ去り、自分の屋敷に軟禁しており、それを正直に認めたのだから。意図的に隠すつもりでDomがSubを連れ去ったとしたら、すぐ見つかる場所に留めて置いたりはせず、見つからない場所に監禁するというのだ。
その話を聞いて、健介はゾッとした。
サイベリアンにはそのつもりがなかったのかもしれないが、もしそれが全く知らない相手だとしたら、恐怖でしかない。
「これは犯罪なんだよ、ケン」
「でも……、りあ……サイベリアン様はそんな、つもりで俺を、つ、連れて来たわけ……じゃ……」
ゾイは沈痛な面持ちで健介を見つめる。
「ケン……、ケンちゃん。リアンとパートナーになりたい?」
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