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スキル無双
宿屋での一悶着
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キングコングを無事に倒した俺達は、王都へ向けて移動を開始した。
カノンとターンが、俺のことをチラチラと見てくる。
どうしたのか聞いてみると、さっき死んだ筈だよな? と言われた。
「もしかして、クレシェンドって不老不死なのか?」
当たらずしも遠からずってところだな。
ターンによると、★5スキル不老不死を持っていた者が過去にいたらしい。
大昔のことで、正確な情報かどうかは定かではないが、精霊族の英雄が不老不死のスキルを持っていたと文献に残っているそうだ。
不老不死なら生きているのかと、ターンに聞いてみると、魔王を封印した際にスキルの力を全て使ったそうで、現在はいないらしい。
「いや、詮索は良くないな。」
ターンによると、冒険者として生きていく上で、スキルの公表は控えた方がいいと言われた。
カノンはこれから一緒に冒険して行く仲間だから、後でこっそり教えておこう。
「先程はありがとう御座います。」
シーミラさんは荷台に隠れて戦闘を見ていたのだが、クレシェンドが居なければ命は無かったと理解している。
護衛依頼を受けているのだから当然のことだと答えた。
その後の道中で問題が起きることもなく、空が暗くなる前に街に辿り着くことが出来た。
宿は、男と女で2部屋取り、別々に寝ることになった。
あれ? 護衛依頼中なんだけど、別々で大丈夫なのだろうか?
「まぁ、宿屋だから大丈夫だろ。」
ターンにそう言われたので、俺も納得する。
宿屋の食堂に4人で向かい、遅い夕飯を食べる。
夕飯として出されたのは、シチューとパンだった。
まぁまぁ美味いんだけど、シチューに濃くが足りないし、やっぱりパンが固い。
カノンは美味しそうに食べているが、前の世界で美味いものを食べていた俺からすると物足りない。
腹が膨れれば一緒なのかも知れないが、やっぱり食べるなら美味しい物を食べたいよな。
俺は店主に声を掛け、調理場に入れてもらう。
まず、固くなっているパンは、水分が抜けてしまっているので、水を吹き掛けて再び焼き上げる。
これにより、パンを柔らかくすることが出来る。
そして、シチューの方は牛乳とバターを入れる。
牛乳とバターを入れる際に、店主にテメェ何してやがる! とどやされたが、俺が作り上げたシチューを試食すると目を見開き、震え上がる。
「う、うめぇ!? お、おめぇさん、料理の神様か?」
店主に何故か神様扱いされてしまった。
店主がどうしてもこれを店の看板メニューにしたいと言うので了承した。
そんな大層なことをした訳でもないしな。
俺が何気無く作った、シチューとパンがこの後大反響となるのだった。
「お、美味しい!? クレド何したの?」
カノン達に、俺が手を加えた料理を出すと、目を輝かせながら、カノンは尻尾を振り振りさせる。
ターンとシーミラさんも俺の料理に喜んでくれたようだ。
その日は、宿に居た他の客達にも料理が振る舞われ、皆、クレシェンドに拍手を送る。
やっぱり料理はこうじゃないとね。
みんなが幸せそうな顔をしている。
食事を終えた俺達は、宿の部屋へと戻り眠りに着く。
俺は布団に入って直ぐに寝てしまったのだが、夜中に目を覚ました。
俺は決しておじいちゃんでは無いぞ。
ただちょっと、お手洗いに行きたくなっただけだ。
俺は物音を立てないように静かにベッドから降り、部屋のドアノブに手を掛けた。
「おい。物音を立てるなよ。」
「分かっている。一気に拘束するぞ。」
何やら廊下で人の声がするな。
拘束? なにやら不穏な会話をしているな。
俺はドアに耳を付けて、廊下の会話を盗み聞く。
「犬の獣人女は高値で売れるからな。」
「ああ。羊や兎の方が高いが。あの犬女なら相当な値段になるだろう。」
おいおい。
カノンを攫うつもりかよ。
俺は直ぐ扉を開けて廊下に出る。
俺が扉を開けると、男二人と目が合う。
男二人は、手に短剣を握っていた。
コイツら、俺の料理を美味そうに食ってた中にいたな。
男2人も俺がカノンの仲間だと気が付いたようだ。
「一応聞くけど、そんな物騒な物持って何しようとしてんのかな?」
今の俺は剣を抜いていない。
何で剣を抜かないかと言うと、こんな狭いところでは剣が邪魔になってしまうからだ。
男2人は俺の質問に答えず、目配せしている。
出来れば正当防衛にしたいから、先に手を出してもらいたいんだけどな。
「ああ、これか。」
男達は話しながら、俺へと近付いて来る。
「死ね!」
男は距離を詰めたところで、一気に加速して俺へと短剣を振るう。
動きおっそ! 俺は短剣を持つ男の腕を掴む。
「な、なに!?」
腕を掴まれた男は、腕を掴まれたことに驚愕するが、もう1人の男も俺に短剣を振るう。
コイツら大して強く無いな。
俺はその男の短剣も掴む。
「チッ!?」
そのまま腕を握り潰してやろうかと思っていたのだが、男達が蹴りを繰り出して来たので俺は掴んでいた腕を手離す。
「先に攻撃したのはお前らだぜ。」
間合いを取った男達に、俺は身構える。
その時、丁度カノン達の部屋の扉が開き、カノンが出て来てしまった。
「な!?」
男達は、チャンスとばかりにカノンの首をホールドして短剣を突き付ける。
「動くんじゃねぇぞ。」
男達は人質が出来たことで、強気となる。
ダメだな。
油断してばかりだな俺は。
俺は頭を掻きながら反省する。
「く、クレド!?」
カノンは状況が読み込めず困惑している。
コイツら、人質を取ったからって、この距離で油断しちゃダメだろ。
俺が言えたことじゃ無いけどね。
「ふっ!」
俺は一瞬で男へ近付き、カノンの向けている短剣を持つ手を掴み、壁に押し当てる。
「な!? がはっ!?」
反対の手を握りしめ、男の腹にボディーブローをお見舞いする。
男は白目を剥いて、そのまま床に倒れた。
「く、クソが! 【フーガ】!」
男の掌から突風が放たれるが、俺は腕を横に振り、男の突風を搔き消す。
あっ!? 宿屋が壊れた。
お、俺の所為じゃないぞ!?
あ、アイツが悪いんだ!
「魔法を腕で防いだだと!? ば、化け物か!?」
失礼な奴だな。
俺は人間だ。
男の懐に潜り込んだ俺は、掌底で男の顎を下から上に突き上げる。
男の頭が天井にめり込んでしまった。
「あ!? 天井、壊しちゃった。」
ふ、不可抗力だ。
「クレド。これってどう言う状況?」
カノンに状況を説明していると、騒ぎに気が付いてターンも起きて来た。
ターンにも事情を説明すると、憲兵に引き渡さないとだなと言い、憲兵を呼びに言ってくれた。
その後、到着した憲兵に男達を引き渡した。
店主に謝罪すると、店主は君の所為じゃないよと言ってくれた。
な、なんていい人なんだ!?
騒ぎが片付いたのは、朝日が昇った頃だった。
アイツらの所為で全然寝れなかった。
これだけ騒いでいたのに、シーミラさんはベッドでぐっすり眠ったままだったのに驚いた。
う、羨ましい。
目の下にクマを作ったまま、俺は宿屋を後にしたのだった。
カノンとターンが、俺のことをチラチラと見てくる。
どうしたのか聞いてみると、さっき死んだ筈だよな? と言われた。
「もしかして、クレシェンドって不老不死なのか?」
当たらずしも遠からずってところだな。
ターンによると、★5スキル不老不死を持っていた者が過去にいたらしい。
大昔のことで、正確な情報かどうかは定かではないが、精霊族の英雄が不老不死のスキルを持っていたと文献に残っているそうだ。
不老不死なら生きているのかと、ターンに聞いてみると、魔王を封印した際にスキルの力を全て使ったそうで、現在はいないらしい。
「いや、詮索は良くないな。」
ターンによると、冒険者として生きていく上で、スキルの公表は控えた方がいいと言われた。
カノンはこれから一緒に冒険して行く仲間だから、後でこっそり教えておこう。
「先程はありがとう御座います。」
シーミラさんは荷台に隠れて戦闘を見ていたのだが、クレシェンドが居なければ命は無かったと理解している。
護衛依頼を受けているのだから当然のことだと答えた。
その後の道中で問題が起きることもなく、空が暗くなる前に街に辿り着くことが出来た。
宿は、男と女で2部屋取り、別々に寝ることになった。
あれ? 護衛依頼中なんだけど、別々で大丈夫なのだろうか?
「まぁ、宿屋だから大丈夫だろ。」
ターンにそう言われたので、俺も納得する。
宿屋の食堂に4人で向かい、遅い夕飯を食べる。
夕飯として出されたのは、シチューとパンだった。
まぁまぁ美味いんだけど、シチューに濃くが足りないし、やっぱりパンが固い。
カノンは美味しそうに食べているが、前の世界で美味いものを食べていた俺からすると物足りない。
腹が膨れれば一緒なのかも知れないが、やっぱり食べるなら美味しい物を食べたいよな。
俺は店主に声を掛け、調理場に入れてもらう。
まず、固くなっているパンは、水分が抜けてしまっているので、水を吹き掛けて再び焼き上げる。
これにより、パンを柔らかくすることが出来る。
そして、シチューの方は牛乳とバターを入れる。
牛乳とバターを入れる際に、店主にテメェ何してやがる! とどやされたが、俺が作り上げたシチューを試食すると目を見開き、震え上がる。
「う、うめぇ!? お、おめぇさん、料理の神様か?」
店主に何故か神様扱いされてしまった。
店主がどうしてもこれを店の看板メニューにしたいと言うので了承した。
そんな大層なことをした訳でもないしな。
俺が何気無く作った、シチューとパンがこの後大反響となるのだった。
「お、美味しい!? クレド何したの?」
カノン達に、俺が手を加えた料理を出すと、目を輝かせながら、カノンは尻尾を振り振りさせる。
ターンとシーミラさんも俺の料理に喜んでくれたようだ。
その日は、宿に居た他の客達にも料理が振る舞われ、皆、クレシェンドに拍手を送る。
やっぱり料理はこうじゃないとね。
みんなが幸せそうな顔をしている。
食事を終えた俺達は、宿の部屋へと戻り眠りに着く。
俺は布団に入って直ぐに寝てしまったのだが、夜中に目を覚ました。
俺は決しておじいちゃんでは無いぞ。
ただちょっと、お手洗いに行きたくなっただけだ。
俺は物音を立てないように静かにベッドから降り、部屋のドアノブに手を掛けた。
「おい。物音を立てるなよ。」
「分かっている。一気に拘束するぞ。」
何やら廊下で人の声がするな。
拘束? なにやら不穏な会話をしているな。
俺はドアに耳を付けて、廊下の会話を盗み聞く。
「犬の獣人女は高値で売れるからな。」
「ああ。羊や兎の方が高いが。あの犬女なら相当な値段になるだろう。」
おいおい。
カノンを攫うつもりかよ。
俺は直ぐ扉を開けて廊下に出る。
俺が扉を開けると、男二人と目が合う。
男二人は、手に短剣を握っていた。
コイツら、俺の料理を美味そうに食ってた中にいたな。
男2人も俺がカノンの仲間だと気が付いたようだ。
「一応聞くけど、そんな物騒な物持って何しようとしてんのかな?」
今の俺は剣を抜いていない。
何で剣を抜かないかと言うと、こんな狭いところでは剣が邪魔になってしまうからだ。
男2人は俺の質問に答えず、目配せしている。
出来れば正当防衛にしたいから、先に手を出してもらいたいんだけどな。
「ああ、これか。」
男達は話しながら、俺へと近付いて来る。
「死ね!」
男は距離を詰めたところで、一気に加速して俺へと短剣を振るう。
動きおっそ! 俺は短剣を持つ男の腕を掴む。
「な、なに!?」
腕を掴まれた男は、腕を掴まれたことに驚愕するが、もう1人の男も俺に短剣を振るう。
コイツら大して強く無いな。
俺はその男の短剣も掴む。
「チッ!?」
そのまま腕を握り潰してやろうかと思っていたのだが、男達が蹴りを繰り出して来たので俺は掴んでいた腕を手離す。
「先に攻撃したのはお前らだぜ。」
間合いを取った男達に、俺は身構える。
その時、丁度カノン達の部屋の扉が開き、カノンが出て来てしまった。
「な!?」
男達は、チャンスとばかりにカノンの首をホールドして短剣を突き付ける。
「動くんじゃねぇぞ。」
男達は人質が出来たことで、強気となる。
ダメだな。
油断してばかりだな俺は。
俺は頭を掻きながら反省する。
「く、クレド!?」
カノンは状況が読み込めず困惑している。
コイツら、人質を取ったからって、この距離で油断しちゃダメだろ。
俺が言えたことじゃ無いけどね。
「ふっ!」
俺は一瞬で男へ近付き、カノンの向けている短剣を持つ手を掴み、壁に押し当てる。
「な!? がはっ!?」
反対の手を握りしめ、男の腹にボディーブローをお見舞いする。
男は白目を剥いて、そのまま床に倒れた。
「く、クソが! 【フーガ】!」
男の掌から突風が放たれるが、俺は腕を横に振り、男の突風を搔き消す。
あっ!? 宿屋が壊れた。
お、俺の所為じゃないぞ!?
あ、アイツが悪いんだ!
「魔法を腕で防いだだと!? ば、化け物か!?」
失礼な奴だな。
俺は人間だ。
男の懐に潜り込んだ俺は、掌底で男の顎を下から上に突き上げる。
男の頭が天井にめり込んでしまった。
「あ!? 天井、壊しちゃった。」
ふ、不可抗力だ。
「クレド。これってどう言う状況?」
カノンに状況を説明していると、騒ぎに気が付いてターンも起きて来た。
ターンにも事情を説明すると、憲兵に引き渡さないとだなと言い、憲兵を呼びに言ってくれた。
その後、到着した憲兵に男達を引き渡した。
店主に謝罪すると、店主は君の所為じゃないよと言ってくれた。
な、なんていい人なんだ!?
騒ぎが片付いたのは、朝日が昇った頃だった。
アイツらの所為で全然寝れなかった。
これだけ騒いでいたのに、シーミラさんはベッドでぐっすり眠ったままだったのに驚いた。
う、羨ましい。
目の下にクマを作ったまま、俺は宿屋を後にしたのだった。
応援ありがとうございます!
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