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月の皇子徒桜とならん
消さんと思う人、護らんと思う人
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聖国皇都・聖都が眠りに落ちる月のなき闇夜。
帝も、妃たちも、その子どもたちも、民も帝に仕える百官も……皆眠りについた真夜中。
月も星の光も届かぬその夜は、礼拝堂のステンドグラスも暗く鈍く光るのみ。
誰もいないはずの聖星森堂の礼拝堂に、人の気配。
「したが、無詠唱で五大精霊の力を行使するなぞ…」
そんなことが可能なのか、と呻くような声。
「いかに星森の申し子の末裔であり、建国の剣・源彩恩の血を継いでいるとはいえ、たかが四つの童にかようなことができるとは…」
信じられません、と別の声。
「第二皇子を持ち上げるため、噂におびれがついて流れているのではないのか」
「大いにありえますな。かの皇子については、信じられない噂が多い。どう考えてもありえぬことばかり」
「さよう。四つの童が、もう秀英院で扱うような専門書を読みこなし、専門家と議論ができるなど…」
そうだ、もっともだと同意する男たちのひそひそ声が礼拝堂に満ちる。
「やはり、源家が第二皇子を皇太子に据えんがため、大仰な噂を流しているのではないのか」
「第二皇子がいかに優秀かを流布し、虎視眈々と玉座を狙わせているのか。孫息子をいずれ皇帝に据え、政を己のほしいままにしようとしているのか」
「源彩芝め……司法院の長官では飽き足らぬか。権威欲の強い奴め」
許しがたい、まるで興味のないような顔をして狙っておるとは……と非難する声。
「だが、つい先日第一皇子である子虞さまが中の院にお入りあそばした。子虞さまもそれはそれは優秀でいらっしゃる。第二皇子の小聿は、東の院に留まったではないか。主上の御心は子虞さまに定まっておられる。案ずることはないのではないか」
「うむ。何より、小聿は体が弱い。かような病弱な童がいずれこの聖国の主になれるわけがない」
そうだ、その通りだ、と声が上がる。
「しかし、小聿が篤の二の姫を助けて倒れたことを知った主上が、わざわざ東宮の東の院に足をお運びになったそうな。今上帝が東宮にお渡りになるなど、前代未聞ですぞ」
なんと!そんなことが……と驚愕の声が広がる。
「……もし仮に、無詠唱魔術の行使を現実に第二皇子ができたのだとすれば、それは一大事ですぞ」
「いやいや、魔術省の官僚や魔術大学院の者や秀英院の魔術学部の者ができぬことをどうして四つの童ができると申すのだ」
「ですが……」
もしそうなら、いやありえぬ、と二つの意見が交錯する。
そこにーーーー
パチンッ、と扇子を礼拝堂のベンチに強く打ち付ける音がして、その場に満ちた声は消える。
「どちらにせよ、第二皇子の存在は厄介だ。東の院に入ったとて、立太子の儀が行われぬ限り次の皇太子になる可能性は十二分にある。かの皇子が体が弱いとはいえ、座して消えるのを待つほど悠長な構えをするのは甘いというもの。相手は、まだ四つの童。無駄な力をつける前に、いなくなってもらった方が良い」
その言葉に賛同する声がそこここで紡がれる。
「これまで、小聿皇子を幾度となく消さんとしたが、全て防がれておる。源家も皇子を守らんと必死ゆえな。しかし、いつまでも手をこまねくわけには参らぬ」
扇子の主は、コンコンとその柄でベンチの背を叩いた。
「それはそうですが……ご指摘の通り、源家も皇子を守らんがためその周りをかなりの手練で囲っております。常に側に控える側近たちも優秀ですし、傅役の篤紫苑は文官でありながら、武宮官の試(武官採用試験)も合格した強者。そう簡単に手を下すことは……」
その指摘に扇子の主は、ふむと頷き扇子を広げる。
「さよう。まるで胡桃のようじゃ。殻が硬うて中身が見えぬ。ならば……」
そうして、口元に扇子を当て、ふふと笑う。
「中から爆ぜてもらうのみ。……のう?」
そう言って、扇子の主は隣に黙って立つ男の肩に手を置く。
肩を叩かれた男は静かに頷いた。
そうして闇い礼拝堂に、不気味な笑い声が響いたのだった。
東宮・東の院の楽典の間に一人の男。
その男の背中に声を掛ける者があった。
「申し訳ありません。正音先生……昼餉の後、書庫に籠られるとおっしゃっていたのに呼びに参りましたら、宮さまはいらっしゃらなくて……」
声をかけられた男は振り返って微笑んだ。
「おやおや……東の院の小さなピアニストさまはどちらに行ってしまったのでしょうね。まぁ、すぐにおいでになるでしょう。ピアニストさまを呼ぶために何か弾いてみましょうか」
そう言って彼はふふふと笑う。
洋正音。彼は皇宮の抱える楽師の一人で、鏡合わせの大陸の楽器であるピアノを弾ける数少ない者であった。彼は、小聿が2つでピアノ始めた時から指導している。今日も小聿は昼食の後、正音にピアノの指導をしてもう予定であった。
この星森大陸において、他の大陸の楽器は珍しい存在だ。ピアノはその一つである。元々は、古くから星森大陸でも親しまれている楽器の一つだったが、他の大陸との交流が絶たれて次第に扱えるものが少なくなってしまった。現在では、皇宮や貴族、金銭に相当余裕のある者しか触れる機会がない。
小聿は皇宮で唯一ピアノが弾ける楽師である正音が皇宮で彼や両親のために弾いたのを見て、一瞬で虜になった。以来、彼は正音に師事している。
正音の優しいピアノの音が楽典の間に響く。緩やかな三拍子のリズムが心地よい。
彼に声をかけた東の院の主・第二皇子小聿の側仕えである汝秀は、このピアノを一人で聞くのは贅沢すぎる、一体どこへ宮さまはいったのだろうと思った。
正音の優しいピアノの音の向こうに、少し慌てたような足音がこちらへ向かってくるのが聞こえた。
「ふふふ、呼ぶのに成功したようですよ」
ピアノを弾きなが正音がいう。
足音が東の院の楽典の間の戸の前で一度止まり、それからそっと開けられる。
そうして、なるべく音を立てないように細心の注意を払いながら、東の院の主が入ってきた。
「こんにちは。東の院の小さなピアニストさま。お待ち申し上げておりましたよ」
一曲弾き終わり、頭を下げる正音に小聿は拍手をする。
「こんにちは。正音、遅れてすまない。そして、とても素敵な曲だね。向かっている途中で正音のピアノが聞こえてきて、嬉しくなったよ」
小聿がそう言うと正音はにっこり笑う。
「もう、宮さま。書庫にいらっしゃらないから焦りましたよ。どちらにおいでだったのです?」
「それは秘密だよ。遅れたことは本当にすまない」
汝秀が少し強めに言うと、小聿は困ったように微笑んだ。
「また例の秘密の場所で読書ですか。その場所は一体どこなんです?」
「それを教えたら、秘密の場所になくなってしまうだろう。誰にも教えないよ」
ふふふ、と笑って小聿は手に持っていた分厚い本とノートを置く。
「さぁ、それではお稽古を始めましょうか」
正音が優しく声をかけると、小聿はうん!と頷きピアノへと歩み寄ったのだった。
東宮・東の院の楽典の間に、軽やかなピアノの音が響いている。
小さな手が澱みなく踊るように鍵盤の上を舞う。
曲は最後に向けて次第に盛り上がりをみせる。
クライマックスで、一瞬の間。
小さなピアニストの形の良い唇から、ふっと息が吐かれ、ファの音から一気に駆け降りて……最後の和音は小さな体全部を使って弾き切った。
一曲弾き切った小さなピアニストーー東宮・東の院の主、小聿皇子はふぅと息を吐く。
「ずいぶん、テンポが安定しましたね。よく練習なさいました」
茶色の優しい色合いのグランドピアノに寄り添うように立っていた正音は、穏やかに微笑んだ。
しかし、小さなピアニストは不満げだ。
「ペダルが重くてうまく踏めぬ。私が小さいから、足台を介してペダルを踏むと一層重いのだ」
少し頬を膨らませていう小聿の背中を、男は優しく撫でた。
「体に変に力が入っているからですよ。この曲は子犬が駆け回っている様子をイメージして作られたものです。あなたさまも、共に走るのですよ」
共に走る……ポツンと呟きうなずく。
「では、後半部からもう一度」
指された楽譜の位置を確認すると、小聿は再び弾き始める。
ーーー軽やかに、まるで子犬が走るように、自分も一緒に走って…
走る自分の足がペダルを踏んで、うまく力が加わる。思い通りにダンパーが上がり、音が伸びやかに広がる。
思わず口に笑みがこぼれる。
ーーーー犬と遊べたら、楽しそうだな…どんな気分なのだろう?
そんなことを思いながら、音を奏でる。
そして、最後のクライマックスで、まるで自分と子犬がじゃれあって草むらを転がるイメージで弾き切る。
満足に弾けて、さぁどうだ?と小聿はピアノの脇に立つ師・正音を見る。
正音は上品に笑って拍手をした。
「お見事でございます。小聿さまと可愛い子犬が楽しげに遊んでおられるのが、私にも見えましたよ」
正音の言葉に、小聿は満面の笑みを浮かべた。
「この曲は合格です。次の曲に進みましょう」
「次はなんの曲だろうか」
そうですね……と呟いて、正音は楽譜を譜面台に広げてみせる。
「こちらの曲などいかがでしょう」
紫の瞳が楽譜の上を滑り、しばらくするとふわりと笑みの形にかわる。
「分散和音の綺麗な曲だね。ポリリズムの部分が難しそうだ」
「三連符を一つ一つで捉えずに大きなフレーズで取ると流れるように弾けますよ」
ふむふむ、と小聿は頷き、彼は正音を見上げる。
「お手本に一度弾いてもらえるだろうか」
小聿のリクエストに、無論でございます、と正音は首肯した。
小聿が椅子からぴょんと飛び降りると、正音はふふふと笑い椅子の高さを調整する。
楽典の間に控えていた蕗隼がすぐに寄ってきて、小聿が使っていた足台を外し運んでいく。
正音がピアノに向かい、やがて華やかな曲が楽典の間に満ちる。師のピアノの音が好きな小聿は目を細め気持ちよさそうに耳を傾ける。
曲が終わると、彼は拍手をした。
「とても綺麗な曲だ。正音のように、私に美しく弾けるだろうか」
「できますとも。焦らず楽しみながら練習してください。来週までにここまで譜読みはできますか」
正音の示す箇所を見て、小聿は進めておこうという。聞かせていただけるのを楽しみにしていますねと言って正音は小聿に新しい楽譜を渡したのだった。
勉学も武術の鍛錬も芸事の稽古も嫌いではないが、その中でもピアノの稽古は小聿にとって何より楽しい時間だった。
たった一人で、同時に多くの音を出し豊かな表現ができるピアノは本当に楽しい。なにより、正音という優しい師と曲を作り上げていくのは幸せな時間だった。
ピアノの稽古が終わり次の予定まで、三時間もあることに気づいた小聿はさて何をやろう、と首を傾げる。
課題の曲の譜読みを進めても良いが、最近体を動かしていないので、鈍ってしまっていないかと気になってくる。
楽典の間の棚に、楽譜を仕舞っている蕗隼の背中に声をかける。
「いかがいたしましたか、皇子」
振り返って蕗隼は優しく尋ねる。
数日前に、池に落ちた露華を助けるため無詠唱で魔術を使い倒れてしまった小聿を守れなかった咎で、罷免を覚悟していた蕗隼だったが、今も変わらずこうして側に控えている。
大切な皇子を危険な目に合わせてしまったと、その日のうちに彼は一条源家に戻って、当主の彩芝やその妻、源家の家臣団をまとめる自分の祖父や父を前に平伏し、どんな罰でも受けると言ったのだった。それに対して、彩芝は皇宮からの正式な沙汰があるまで待つように、と言った。
翌朝、再度彩芝の元に伺候すると、皇子と湘子妃の強い希望により、不問にふされ変わらず側に控えるようにと言われたのだった。
一体どんな顔をして皇子に会えばいいのだろうと不安な気持ちで東の院に来てみれば、小聿は熱に浮かされとても話せる状態ではなかった。そして三日後ようやく会えたのだが、蕗隼が謝る前に小聿に謝られてしまった。
曰く、私が自分の力量を見誤ったせいでそなたに辛い目に合わせてしまった、誰かに怒られたりしなかっただろうかというのだ。
まさかそんな心配をしていたとは思っていなかった蕗隼は、びっくりして、むしろ悪かったのは自分だ、大切なあなたさまをこんな目に合わせて申し訳なかったと平謝りした。
その後、小聿は、こんな不甲斐ない私の側にいるのは嫌ではないだろうか、私はそなたをとても頼りにしているから嫌ではなければいて欲しいのだけれども……と、あの紫の瞳を頼りなげに揺らしながら言った。それを言われて、蕗隼は涙を流しながら、小聿さまがお嫌だと仰せにならない限りこの蕗隼、あなたさまのお側におりますと誓ったのだった。言われた皇子は、ありがとう、そなたがいてくれれば私は心安らぐよ、とその美しい顔に華のような笑みを浮かべたのだった。
ーーーーまだ四つの幼子だというのに…この方ときたら…
蕗隼はため息を禁じ得ない。
自分がこのぐらいの時分はどうであったろうと思い返せば、いつも己のことばかり考えて、楽しいことばかり追いかけていた。
両親や源家の主たち、源家に仕える他の大人たち、汝秀をはじめとする友たちに囲まれ、愛され、何不自由なく、案ずることなく過ごしてい た。将来のことなど考えずに、目の前のことだけに一生懸命でいればよかった。
自分がどれだけ恵まれているのか考えず、小さなことに不平不満を言っていたような気がする。
比べて、小聿はどうであろう。
確かに、彼は皇子として不自由に暮らしをしているかもしれない。けれど、類い稀なき才を有し、聖国の皇子であるがゆえに、その命が狙われ、周りの大人たちの期待や妬みに晒されている。
彼自身望んでもいないのに、その才と高貴な身分のせいで、大人たちの権力闘争に巻き込まれてしまっている。
わずか四つの幼子だというのに。
それなのに、そんな自分の身の上を嘆くこともなく、怒ることもなく、ただただ、静かに受け止め凛と立っている。
そして、今回のように、己を殺し、周りを気遣うのだ。
ーーーなんと…なんと哀しい幼子か…
小聿は泣かない。
蕗隼は彼が1歳で東宮・東の院に入ってから側にいるようになったが、この3年間一度も小聿が泣いたところを見たことがない。
この年頃の子どもならば当たり前にあるわがままも言わない。
危ない誰かやダメなことを叱ったり(幼子に叱られること自体どうかと思うが)することはあっても、感情のまま怒ったりもしない。
せいぜい、むすっとする程度で、それもすぐに引っ込めてしまう。
喜ぶことはあるけれど、子どものようにはしゃぐことはない。
ーーーーもっと素直に、泣いたり喚いたり、怒ったり、喜んだり、楽しんだりしていいのに。
彼がそうしないのは、周りがそうさせないからだ。
それがわかっているが故に、蕗隼は忸怩たる思いを抱かずにはいられない。
ーーーー俺が、俺がもっとしっかりしなくては。この方が少しでも、年頃の幼子のように、心安らかに過ごせるように。
強く蕗隼は思う。
「蕗隼?……蕗隼、聞いておるのか?」
真下から聞こえてくる声に蕗隼は我に返る。
みれば、小聿が彼の元までやってきて不思議そうに見上げていた。
丫角に結った美しい黒の絹髪に付けられた一対の紫水晶の髪飾りがきらりと光った。
「ああ、申し訳ありません、皇子」
「どうした?体調でも悪いのだろうか?」
心配そうに尋ねてくる皇子に、いいえ、なんともございませんよ、と蕗隼は言う。
「ならば良いが。無理はしないように。ところで、夕方の歴史学の講義まで随分時間がある。久しぶりに体を動かしたいのだ。剣の稽古に付き合ってはくれぬだろうか」
小聿の提案に、蕗隼は顔を顰めた。
「恐れながら、皇子はつい先日まで熱で寝込んでおいでだったのです。まだ剣の稽古で激しく動くのは早うございます。せっかく落ち着いた熱がまた上がってしまっては大変です。剣の稽古はもう少し日が経ってからにしましょう」
「しかし、あまりに体を動かしていないと、鈍ってしまいそうで……」
「お気持ちはわかりますが、また無理をして熱を出しては、朝の武術の稽古の再開が遅れてしまいますよ。もう少し我慢すれば、朝の稽古も再開できます。太医令さまもおっしゃっていたでしょう?」
無茶をしたら、また薬湯を飲ませますよと言った太医令の言葉を思い出したのだろう。小聿は渋い顔をした。そして、もう少し我慢すると頷いた。
それでは、何をしよう、と小聿は小首を傾げる。ややあって、彼はぱん!と手を叩いた。
「そうだ。嶷陽殿(皇宮内の図書館)に参りたい」
「また、嶷陽殿でございますか?東の院の書庫がありますでしょうに」
それではダメなのだよ、と小聿は言う。
「調べたいことが書庫にある本ではわからないのだ。嶷陽殿ならば、もっと多くの書物がある。私が知りたいことも調べられると思うのだ」
一体この皇子はどれほど難しい本を読むつもりなのか、と思いながらも蕗隼はわかりましたと頷いた。
「では支度をして参ります。皇子は居室でしばしお待ちください」
蕗隼の言葉に、支度とは?と皇子は首を傾げる。もう彼は今にも嶷陽殿に向けて駆け出しそうだ。
「馬車を用意して参ります。嶷陽殿の近くまで馬車で参りましょう」
「嶷陽殿ならば、歩い……」
蕗隼は首を振り、小聿の言葉を途中で止める。
「ダメです。風も随分冷たくなってきたのです。今日は馬車で参りましょう」
蕗隼に言われ、そなたは過保護すぎるのだ、と言いながらも小聿は居室へ行くため先ほどの本とノートを抱え楽典の間を出ていく。そんな彼を歩廊で控えていた侍従たちが付き従っていく。それを見送ると、蕗隼は嶷陽殿へいくための支度をしに動き始めた。
命狙われ、権力闘争に巻き込まれていたとはいえ、周りの理解ある人たち思われていたことは、月の皇子にとって何より幸せなことであったろう。ーーーーいろどりの追憶・第一巻・百四十三頁
帝も、妃たちも、その子どもたちも、民も帝に仕える百官も……皆眠りについた真夜中。
月も星の光も届かぬその夜は、礼拝堂のステンドグラスも暗く鈍く光るのみ。
誰もいないはずの聖星森堂の礼拝堂に、人の気配。
「したが、無詠唱で五大精霊の力を行使するなぞ…」
そんなことが可能なのか、と呻くような声。
「いかに星森の申し子の末裔であり、建国の剣・源彩恩の血を継いでいるとはいえ、たかが四つの童にかようなことができるとは…」
信じられません、と別の声。
「第二皇子を持ち上げるため、噂におびれがついて流れているのではないのか」
「大いにありえますな。かの皇子については、信じられない噂が多い。どう考えてもありえぬことばかり」
「さよう。四つの童が、もう秀英院で扱うような専門書を読みこなし、専門家と議論ができるなど…」
そうだ、もっともだと同意する男たちのひそひそ声が礼拝堂に満ちる。
「やはり、源家が第二皇子を皇太子に据えんがため、大仰な噂を流しているのではないのか」
「第二皇子がいかに優秀かを流布し、虎視眈々と玉座を狙わせているのか。孫息子をいずれ皇帝に据え、政を己のほしいままにしようとしているのか」
「源彩芝め……司法院の長官では飽き足らぬか。権威欲の強い奴め」
許しがたい、まるで興味のないような顔をして狙っておるとは……と非難する声。
「だが、つい先日第一皇子である子虞さまが中の院にお入りあそばした。子虞さまもそれはそれは優秀でいらっしゃる。第二皇子の小聿は、東の院に留まったではないか。主上の御心は子虞さまに定まっておられる。案ずることはないのではないか」
「うむ。何より、小聿は体が弱い。かような病弱な童がいずれこの聖国の主になれるわけがない」
そうだ、その通りだ、と声が上がる。
「しかし、小聿が篤の二の姫を助けて倒れたことを知った主上が、わざわざ東宮の東の院に足をお運びになったそうな。今上帝が東宮にお渡りになるなど、前代未聞ですぞ」
なんと!そんなことが……と驚愕の声が広がる。
「……もし仮に、無詠唱魔術の行使を現実に第二皇子ができたのだとすれば、それは一大事ですぞ」
「いやいや、魔術省の官僚や魔術大学院の者や秀英院の魔術学部の者ができぬことをどうして四つの童ができると申すのだ」
「ですが……」
もしそうなら、いやありえぬ、と二つの意見が交錯する。
そこにーーーー
パチンッ、と扇子を礼拝堂のベンチに強く打ち付ける音がして、その場に満ちた声は消える。
「どちらにせよ、第二皇子の存在は厄介だ。東の院に入ったとて、立太子の儀が行われぬ限り次の皇太子になる可能性は十二分にある。かの皇子が体が弱いとはいえ、座して消えるのを待つほど悠長な構えをするのは甘いというもの。相手は、まだ四つの童。無駄な力をつける前に、いなくなってもらった方が良い」
その言葉に賛同する声がそこここで紡がれる。
「これまで、小聿皇子を幾度となく消さんとしたが、全て防がれておる。源家も皇子を守らんと必死ゆえな。しかし、いつまでも手をこまねくわけには参らぬ」
扇子の主は、コンコンとその柄でベンチの背を叩いた。
「それはそうですが……ご指摘の通り、源家も皇子を守らんがためその周りをかなりの手練で囲っております。常に側に控える側近たちも優秀ですし、傅役の篤紫苑は文官でありながら、武宮官の試(武官採用試験)も合格した強者。そう簡単に手を下すことは……」
その指摘に扇子の主は、ふむと頷き扇子を広げる。
「さよう。まるで胡桃のようじゃ。殻が硬うて中身が見えぬ。ならば……」
そうして、口元に扇子を当て、ふふと笑う。
「中から爆ぜてもらうのみ。……のう?」
そう言って、扇子の主は隣に黙って立つ男の肩に手を置く。
肩を叩かれた男は静かに頷いた。
そうして闇い礼拝堂に、不気味な笑い声が響いたのだった。
東宮・東の院の楽典の間に一人の男。
その男の背中に声を掛ける者があった。
「申し訳ありません。正音先生……昼餉の後、書庫に籠られるとおっしゃっていたのに呼びに参りましたら、宮さまはいらっしゃらなくて……」
声をかけられた男は振り返って微笑んだ。
「おやおや……東の院の小さなピアニストさまはどちらに行ってしまったのでしょうね。まぁ、すぐにおいでになるでしょう。ピアニストさまを呼ぶために何か弾いてみましょうか」
そう言って彼はふふふと笑う。
洋正音。彼は皇宮の抱える楽師の一人で、鏡合わせの大陸の楽器であるピアノを弾ける数少ない者であった。彼は、小聿が2つでピアノ始めた時から指導している。今日も小聿は昼食の後、正音にピアノの指導をしてもう予定であった。
この星森大陸において、他の大陸の楽器は珍しい存在だ。ピアノはその一つである。元々は、古くから星森大陸でも親しまれている楽器の一つだったが、他の大陸との交流が絶たれて次第に扱えるものが少なくなってしまった。現在では、皇宮や貴族、金銭に相当余裕のある者しか触れる機会がない。
小聿は皇宮で唯一ピアノが弾ける楽師である正音が皇宮で彼や両親のために弾いたのを見て、一瞬で虜になった。以来、彼は正音に師事している。
正音の優しいピアノの音が楽典の間に響く。緩やかな三拍子のリズムが心地よい。
彼に声をかけた東の院の主・第二皇子小聿の側仕えである汝秀は、このピアノを一人で聞くのは贅沢すぎる、一体どこへ宮さまはいったのだろうと思った。
正音の優しいピアノの音の向こうに、少し慌てたような足音がこちらへ向かってくるのが聞こえた。
「ふふふ、呼ぶのに成功したようですよ」
ピアノを弾きなが正音がいう。
足音が東の院の楽典の間の戸の前で一度止まり、それからそっと開けられる。
そうして、なるべく音を立てないように細心の注意を払いながら、東の院の主が入ってきた。
「こんにちは。東の院の小さなピアニストさま。お待ち申し上げておりましたよ」
一曲弾き終わり、頭を下げる正音に小聿は拍手をする。
「こんにちは。正音、遅れてすまない。そして、とても素敵な曲だね。向かっている途中で正音のピアノが聞こえてきて、嬉しくなったよ」
小聿がそう言うと正音はにっこり笑う。
「もう、宮さま。書庫にいらっしゃらないから焦りましたよ。どちらにおいでだったのです?」
「それは秘密だよ。遅れたことは本当にすまない」
汝秀が少し強めに言うと、小聿は困ったように微笑んだ。
「また例の秘密の場所で読書ですか。その場所は一体どこなんです?」
「それを教えたら、秘密の場所になくなってしまうだろう。誰にも教えないよ」
ふふふ、と笑って小聿は手に持っていた分厚い本とノートを置く。
「さぁ、それではお稽古を始めましょうか」
正音が優しく声をかけると、小聿はうん!と頷きピアノへと歩み寄ったのだった。
東宮・東の院の楽典の間に、軽やかなピアノの音が響いている。
小さな手が澱みなく踊るように鍵盤の上を舞う。
曲は最後に向けて次第に盛り上がりをみせる。
クライマックスで、一瞬の間。
小さなピアニストの形の良い唇から、ふっと息が吐かれ、ファの音から一気に駆け降りて……最後の和音は小さな体全部を使って弾き切った。
一曲弾き切った小さなピアニストーー東宮・東の院の主、小聿皇子はふぅと息を吐く。
「ずいぶん、テンポが安定しましたね。よく練習なさいました」
茶色の優しい色合いのグランドピアノに寄り添うように立っていた正音は、穏やかに微笑んだ。
しかし、小さなピアニストは不満げだ。
「ペダルが重くてうまく踏めぬ。私が小さいから、足台を介してペダルを踏むと一層重いのだ」
少し頬を膨らませていう小聿の背中を、男は優しく撫でた。
「体に変に力が入っているからですよ。この曲は子犬が駆け回っている様子をイメージして作られたものです。あなたさまも、共に走るのですよ」
共に走る……ポツンと呟きうなずく。
「では、後半部からもう一度」
指された楽譜の位置を確認すると、小聿は再び弾き始める。
ーーー軽やかに、まるで子犬が走るように、自分も一緒に走って…
走る自分の足がペダルを踏んで、うまく力が加わる。思い通りにダンパーが上がり、音が伸びやかに広がる。
思わず口に笑みがこぼれる。
ーーーー犬と遊べたら、楽しそうだな…どんな気分なのだろう?
そんなことを思いながら、音を奏でる。
そして、最後のクライマックスで、まるで自分と子犬がじゃれあって草むらを転がるイメージで弾き切る。
満足に弾けて、さぁどうだ?と小聿はピアノの脇に立つ師・正音を見る。
正音は上品に笑って拍手をした。
「お見事でございます。小聿さまと可愛い子犬が楽しげに遊んでおられるのが、私にも見えましたよ」
正音の言葉に、小聿は満面の笑みを浮かべた。
「この曲は合格です。次の曲に進みましょう」
「次はなんの曲だろうか」
そうですね……と呟いて、正音は楽譜を譜面台に広げてみせる。
「こちらの曲などいかがでしょう」
紫の瞳が楽譜の上を滑り、しばらくするとふわりと笑みの形にかわる。
「分散和音の綺麗な曲だね。ポリリズムの部分が難しそうだ」
「三連符を一つ一つで捉えずに大きなフレーズで取ると流れるように弾けますよ」
ふむふむ、と小聿は頷き、彼は正音を見上げる。
「お手本に一度弾いてもらえるだろうか」
小聿のリクエストに、無論でございます、と正音は首肯した。
小聿が椅子からぴょんと飛び降りると、正音はふふふと笑い椅子の高さを調整する。
楽典の間に控えていた蕗隼がすぐに寄ってきて、小聿が使っていた足台を外し運んでいく。
正音がピアノに向かい、やがて華やかな曲が楽典の間に満ちる。師のピアノの音が好きな小聿は目を細め気持ちよさそうに耳を傾ける。
曲が終わると、彼は拍手をした。
「とても綺麗な曲だ。正音のように、私に美しく弾けるだろうか」
「できますとも。焦らず楽しみながら練習してください。来週までにここまで譜読みはできますか」
正音の示す箇所を見て、小聿は進めておこうという。聞かせていただけるのを楽しみにしていますねと言って正音は小聿に新しい楽譜を渡したのだった。
勉学も武術の鍛錬も芸事の稽古も嫌いではないが、その中でもピアノの稽古は小聿にとって何より楽しい時間だった。
たった一人で、同時に多くの音を出し豊かな表現ができるピアノは本当に楽しい。なにより、正音という優しい師と曲を作り上げていくのは幸せな時間だった。
ピアノの稽古が終わり次の予定まで、三時間もあることに気づいた小聿はさて何をやろう、と首を傾げる。
課題の曲の譜読みを進めても良いが、最近体を動かしていないので、鈍ってしまっていないかと気になってくる。
楽典の間の棚に、楽譜を仕舞っている蕗隼の背中に声をかける。
「いかがいたしましたか、皇子」
振り返って蕗隼は優しく尋ねる。
数日前に、池に落ちた露華を助けるため無詠唱で魔術を使い倒れてしまった小聿を守れなかった咎で、罷免を覚悟していた蕗隼だったが、今も変わらずこうして側に控えている。
大切な皇子を危険な目に合わせてしまったと、その日のうちに彼は一条源家に戻って、当主の彩芝やその妻、源家の家臣団をまとめる自分の祖父や父を前に平伏し、どんな罰でも受けると言ったのだった。それに対して、彩芝は皇宮からの正式な沙汰があるまで待つように、と言った。
翌朝、再度彩芝の元に伺候すると、皇子と湘子妃の強い希望により、不問にふされ変わらず側に控えるようにと言われたのだった。
一体どんな顔をして皇子に会えばいいのだろうと不安な気持ちで東の院に来てみれば、小聿は熱に浮かされとても話せる状態ではなかった。そして三日後ようやく会えたのだが、蕗隼が謝る前に小聿に謝られてしまった。
曰く、私が自分の力量を見誤ったせいでそなたに辛い目に合わせてしまった、誰かに怒られたりしなかっただろうかというのだ。
まさかそんな心配をしていたとは思っていなかった蕗隼は、びっくりして、むしろ悪かったのは自分だ、大切なあなたさまをこんな目に合わせて申し訳なかったと平謝りした。
その後、小聿は、こんな不甲斐ない私の側にいるのは嫌ではないだろうか、私はそなたをとても頼りにしているから嫌ではなければいて欲しいのだけれども……と、あの紫の瞳を頼りなげに揺らしながら言った。それを言われて、蕗隼は涙を流しながら、小聿さまがお嫌だと仰せにならない限りこの蕗隼、あなたさまのお側におりますと誓ったのだった。言われた皇子は、ありがとう、そなたがいてくれれば私は心安らぐよ、とその美しい顔に華のような笑みを浮かべたのだった。
ーーーーまだ四つの幼子だというのに…この方ときたら…
蕗隼はため息を禁じ得ない。
自分がこのぐらいの時分はどうであったろうと思い返せば、いつも己のことばかり考えて、楽しいことばかり追いかけていた。
両親や源家の主たち、源家に仕える他の大人たち、汝秀をはじめとする友たちに囲まれ、愛され、何不自由なく、案ずることなく過ごしてい た。将来のことなど考えずに、目の前のことだけに一生懸命でいればよかった。
自分がどれだけ恵まれているのか考えず、小さなことに不平不満を言っていたような気がする。
比べて、小聿はどうであろう。
確かに、彼は皇子として不自由に暮らしをしているかもしれない。けれど、類い稀なき才を有し、聖国の皇子であるがゆえに、その命が狙われ、周りの大人たちの期待や妬みに晒されている。
彼自身望んでもいないのに、その才と高貴な身分のせいで、大人たちの権力闘争に巻き込まれてしまっている。
わずか四つの幼子だというのに。
それなのに、そんな自分の身の上を嘆くこともなく、怒ることもなく、ただただ、静かに受け止め凛と立っている。
そして、今回のように、己を殺し、周りを気遣うのだ。
ーーーなんと…なんと哀しい幼子か…
小聿は泣かない。
蕗隼は彼が1歳で東宮・東の院に入ってから側にいるようになったが、この3年間一度も小聿が泣いたところを見たことがない。
この年頃の子どもならば当たり前にあるわがままも言わない。
危ない誰かやダメなことを叱ったり(幼子に叱られること自体どうかと思うが)することはあっても、感情のまま怒ったりもしない。
せいぜい、むすっとする程度で、それもすぐに引っ込めてしまう。
喜ぶことはあるけれど、子どものようにはしゃぐことはない。
ーーーーもっと素直に、泣いたり喚いたり、怒ったり、喜んだり、楽しんだりしていいのに。
彼がそうしないのは、周りがそうさせないからだ。
それがわかっているが故に、蕗隼は忸怩たる思いを抱かずにはいられない。
ーーーー俺が、俺がもっとしっかりしなくては。この方が少しでも、年頃の幼子のように、心安らかに過ごせるように。
強く蕗隼は思う。
「蕗隼?……蕗隼、聞いておるのか?」
真下から聞こえてくる声に蕗隼は我に返る。
みれば、小聿が彼の元までやってきて不思議そうに見上げていた。
丫角に結った美しい黒の絹髪に付けられた一対の紫水晶の髪飾りがきらりと光った。
「ああ、申し訳ありません、皇子」
「どうした?体調でも悪いのだろうか?」
心配そうに尋ねてくる皇子に、いいえ、なんともございませんよ、と蕗隼は言う。
「ならば良いが。無理はしないように。ところで、夕方の歴史学の講義まで随分時間がある。久しぶりに体を動かしたいのだ。剣の稽古に付き合ってはくれぬだろうか」
小聿の提案に、蕗隼は顔を顰めた。
「恐れながら、皇子はつい先日まで熱で寝込んでおいでだったのです。まだ剣の稽古で激しく動くのは早うございます。せっかく落ち着いた熱がまた上がってしまっては大変です。剣の稽古はもう少し日が経ってからにしましょう」
「しかし、あまりに体を動かしていないと、鈍ってしまいそうで……」
「お気持ちはわかりますが、また無理をして熱を出しては、朝の武術の稽古の再開が遅れてしまいますよ。もう少し我慢すれば、朝の稽古も再開できます。太医令さまもおっしゃっていたでしょう?」
無茶をしたら、また薬湯を飲ませますよと言った太医令の言葉を思い出したのだろう。小聿は渋い顔をした。そして、もう少し我慢すると頷いた。
それでは、何をしよう、と小聿は小首を傾げる。ややあって、彼はぱん!と手を叩いた。
「そうだ。嶷陽殿(皇宮内の図書館)に参りたい」
「また、嶷陽殿でございますか?東の院の書庫がありますでしょうに」
それではダメなのだよ、と小聿は言う。
「調べたいことが書庫にある本ではわからないのだ。嶷陽殿ならば、もっと多くの書物がある。私が知りたいことも調べられると思うのだ」
一体この皇子はどれほど難しい本を読むつもりなのか、と思いながらも蕗隼はわかりましたと頷いた。
「では支度をして参ります。皇子は居室でしばしお待ちください」
蕗隼の言葉に、支度とは?と皇子は首を傾げる。もう彼は今にも嶷陽殿に向けて駆け出しそうだ。
「馬車を用意して参ります。嶷陽殿の近くまで馬車で参りましょう」
「嶷陽殿ならば、歩い……」
蕗隼は首を振り、小聿の言葉を途中で止める。
「ダメです。風も随分冷たくなってきたのです。今日は馬車で参りましょう」
蕗隼に言われ、そなたは過保護すぎるのだ、と言いながらも小聿は居室へ行くため先ほどの本とノートを抱え楽典の間を出ていく。そんな彼を歩廊で控えていた侍従たちが付き従っていく。それを見送ると、蕗隼は嶷陽殿へいくための支度をしに動き始めた。
命狙われ、権力闘争に巻き込まれていたとはいえ、周りの理解ある人たち思われていたことは、月の皇子にとって何より幸せなことであったろう。ーーーーいろどりの追憶・第一巻・百四十三頁
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