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番外編2
大型イベント来る! 4
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「ユニークボスを撃破した後だと、しばらくはトレの森には出てこないと思う」
「確かに、ユニークは周期が長いっすもんね」
「確か統計では二週間くらいだった気がする。通常のダンジョンボスはリポップ遅くても一日二日なのに」
そんなことまで検証されてるんだ、と感心していると、隼がマック先輩知らなかったの? と突っ込んできた。素材の場所なら大分詳しいんだけど魔物はね。
「やっぱ壁向こうか、魔大陸か」
「片っ端からユニークボス見つけて、片っ端からマック君に鑑定してもらうっていうのも手だな。どの魔物が『炎輝石』持ってるかわからねえし」
「じゃあ、魔大陸か」
話もまとまったので、皆で魔大陸に行くことにした。
辺境の街をギルドに向かって歩く。
途中、向こうから『高橋と愉快な仲間たち』が歩いてくるのが見えた。
雄太は俺に気付くと、ニッと笑って手を振ってきた。
今日は鎧は着込んでいないし、海里は見たことのあるようなローブを羽織っている。もしかして、アマンダちゃんの家から買った物かな。
雄太は長光さんに「鎧めっちゃ調子いいっす!」と体育会系のノリで深々と頭を下げて、それから俺を捕獲した。
首に回された腕がちょっと痛い。
「あいつらよく魔大陸で見かけてたけど、マックの知り合いか?」
「ああ、うん。中学……今は高校か。高校生三人組。前にトレの川の水がなくなった時、一緒にダンジョンに潜ったんだ。って、高橋痛いから!」
脇腹をパンチすると、雄太はわははと笑いながら「効かぬわ!」と腹筋を硬くした。大分仕上がってますな。羨ましい。
「今日はショッピングデートだったのよ。マック見て見て、『バネッサ服飾店』で買ったの! 可愛いでしょ。あそこの服、どれも可愛くて迷っちゃう」
「あー……あはは、そうだね。俺には敷居が高いけどね。女性服しか扱ってないから」
「うん。マックが着てたのが一番可愛かったけれどね。アレは特注品だからって申し訳なさそうに断られちゃった。なんでも、仕事を引退したお祖母さんが最後に一枚だけ作った特別な服だって。そんなこと言われちゃったら同じの作って欲しいなんて頼めないわ。でもどれも素敵だったから、買い占める勢いで大量買いしちゃったわよ」
「店に迷惑を掛けないようにね……」
大丈夫よ、なんて頷く海里を見ながら、お祖母さんの話ちょっとだけジーンとしていた。今はローブはカバンの中にしまわれているけれど、街中を歩くときはたまに羽織っているんだ。女の子用に近いデザインでも、シンプルだし着心地はいいし。何より、ヴィデロさんが気に入ってるから。たまにデートに誘われると、あの服は着ないのか? なんて聞かれるし。着るよ、そんなこと言われたら着ない手はないよ。ということで、結構活用してるんだ。
「ほらほらお前ら。マック達は忙しいんだから、絡まないの」
ブレイブに注意されて、海里と雄太が「はーい」と小学生のように返事した。
それを見ていたHARUが、「ほんとにフレだったんだ……」と海里を凝視しながら呟いている。
そういえば海里に憧れているんだっけ。中身は増田なんだけど。真実を知っている俺はどういう顔をしていいのかかなり悩みつつ、とりあえず雄太たちに『サンシーカー』のことを紹介した。
「あ、あの魔大陸ダンジョン情報を公開してくれてるパーティー?」
「俺あの情報毎回買ってるよ。あれだけ細かい情報公開なんてなかなかないからほんとありがたいよ」
「うん、魔物分布まで書かれてるから、対策バッチリできるんだよね」
「俺らは『高橋と愉快な仲間たち』だ。もしよければフレンド登録してくれないか?」
ここでもフレ交換が行われて、特にHARUが嬉しそうに海里と交換していた。ブレイブの視線がHARUに向いてるのは気のせい気のせい。すっごい観察されてる気がするのも、きっと気のせい。か、海里に色目使う人、皆あの射殺されそうな目で見られるのかな。殺気はしまおうよ。怖いから。
HARUはブレイブから密かに敵認定されつつ、雄太たちと別れて冒険者ギルドに向かった。
奥の転移魔法陣から魔大陸に跳んで、建物から外に出る。
そこには沢山のプレイヤーが跋扈していた。
え、人多すぎない?
魔大陸ってこんなにポピュラーになってたの?
俺が驚いている間にも、4人は足を進めていく。
長光さんも馴染んでるんだけど。常連なのかな。
慌てて早足で追いつくと、そうだ、と長光さんが振り返った。
「刀預かるよ。直したら届けに行くから。それと、代替品渡しとくな」
長光さんは懐から刀をにょきっと取り出すと、それをほい、と何でもないことのように渡してきた。預かって腰の刀を渡して、ふと手にした刀に目を向ける。
どんな性能かな、なんて鑑定眼を何気なしに使ってみて、目を見開いた。
これ、攻撃力雄太が持ってる大剣と同じような数値なんだけど。たまに追加の斬撃が飛ぶんだけど。自己修復機能ついてて、鞘に入れた瞬間もとに戻るんだけど! 魔法陣が刀の紋様みたいになっていて、めっちゃかっこいい。印籠とかセットで付いてそうな、将軍様が持ってるような刀は、漆黒に塗られていて、柄糸という手元に巻かれた紐が真っ白で、俺が借りちゃっていいのかな、と戸惑う仕様だった。宝の持ち腐れ状態だと思う。多分活躍するの聖短剣だし。
「こんなの借りちゃっていいんですか……? これも刃が欠けたりしたら……」
値段付けられません状態になりそう。実際長光さん作刀ってかなりの値段がするはずだし。その値段でも安いくらいの完璧な仕上がりをしてくるんだけどね。
「大丈夫だって。それ、刃が欠けても鞘に突っ込めばもとに戻るようになってるから。紋様入れ的な商売も片手間に始めてな。そしたら魔法陣魔法がぐいぐいレベル上がるんだよ」
そして技術も古代魔道語も次々上がっていくんですねわかります。
「紋様、俺の剣にも入れて欲しいっす。ぜひお願いします」
「その刀と同じ紋様で一回につき500万ガル以下には出来ねえぞ」
「問題ないっす」
「途中で剣を買い替えると、また同様の値段を払わねえと次の剣には使えねえぞ」
「大丈夫です。この剣でずっと行くつもりなんで」
HARUがお願いします! と剣を差し出すと、長光さんはいい笑顔で「請け負った」とすぐに魔法陣魔法を剣の鞘に飛ばした。
HARUは小躍りして、早速カバンからかなり重そうな布袋を取り出した。
それを長光さんに渡す。
長光さんは苦笑しながらその布袋を懐にしまう。大きなじゃらじゃらした袋を懐にしまうその光景は、違和感しかなかった。懐インベントリ、おそるべし。
「ドロップ鑑定失敗!」
「倒せばわかる! 瞬殺!」
「それは『草臥れ草』調薬素材! レアは『草臥れ肉』」
「それは美味いのか? 気になるからレアくれ!」
「『高級獅子皮』と『高級肉』」
「うわ欲しいからブチ倒すぞ!」
「鑑定失敗」
「どっちにしろ消す!」
二回に一回ドロップ鑑定を失敗しつつ、順調にドロップ品を集めていく。
でも『炎輝石』を持っている魔物はまだ出てこない。そこら辺を歩いている雑魚魔物だからかな。っていうか雑魚魔物なのに倒すとあの兎くらいのポイントが入るんだけどどうしてだろう。俺は全く手を出さないままに、周りが瞬殺していくから。傷すらつかない魔大陸活動プレイヤー凄すぎだろ。トレのユニークボスで瀕死になる俺は魔大陸は似合わないよ……。
「確かに、ユニークは周期が長いっすもんね」
「確か統計では二週間くらいだった気がする。通常のダンジョンボスはリポップ遅くても一日二日なのに」
そんなことまで検証されてるんだ、と感心していると、隼がマック先輩知らなかったの? と突っ込んできた。素材の場所なら大分詳しいんだけど魔物はね。
「やっぱ壁向こうか、魔大陸か」
「片っ端からユニークボス見つけて、片っ端からマック君に鑑定してもらうっていうのも手だな。どの魔物が『炎輝石』持ってるかわからねえし」
「じゃあ、魔大陸か」
話もまとまったので、皆で魔大陸に行くことにした。
辺境の街をギルドに向かって歩く。
途中、向こうから『高橋と愉快な仲間たち』が歩いてくるのが見えた。
雄太は俺に気付くと、ニッと笑って手を振ってきた。
今日は鎧は着込んでいないし、海里は見たことのあるようなローブを羽織っている。もしかして、アマンダちゃんの家から買った物かな。
雄太は長光さんに「鎧めっちゃ調子いいっす!」と体育会系のノリで深々と頭を下げて、それから俺を捕獲した。
首に回された腕がちょっと痛い。
「あいつらよく魔大陸で見かけてたけど、マックの知り合いか?」
「ああ、うん。中学……今は高校か。高校生三人組。前にトレの川の水がなくなった時、一緒にダンジョンに潜ったんだ。って、高橋痛いから!」
脇腹をパンチすると、雄太はわははと笑いながら「効かぬわ!」と腹筋を硬くした。大分仕上がってますな。羨ましい。
「今日はショッピングデートだったのよ。マック見て見て、『バネッサ服飾店』で買ったの! 可愛いでしょ。あそこの服、どれも可愛くて迷っちゃう」
「あー……あはは、そうだね。俺には敷居が高いけどね。女性服しか扱ってないから」
「うん。マックが着てたのが一番可愛かったけれどね。アレは特注品だからって申し訳なさそうに断られちゃった。なんでも、仕事を引退したお祖母さんが最後に一枚だけ作った特別な服だって。そんなこと言われちゃったら同じの作って欲しいなんて頼めないわ。でもどれも素敵だったから、買い占める勢いで大量買いしちゃったわよ」
「店に迷惑を掛けないようにね……」
大丈夫よ、なんて頷く海里を見ながら、お祖母さんの話ちょっとだけジーンとしていた。今はローブはカバンの中にしまわれているけれど、街中を歩くときはたまに羽織っているんだ。女の子用に近いデザインでも、シンプルだし着心地はいいし。何より、ヴィデロさんが気に入ってるから。たまにデートに誘われると、あの服は着ないのか? なんて聞かれるし。着るよ、そんなこと言われたら着ない手はないよ。ということで、結構活用してるんだ。
「ほらほらお前ら。マック達は忙しいんだから、絡まないの」
ブレイブに注意されて、海里と雄太が「はーい」と小学生のように返事した。
それを見ていたHARUが、「ほんとにフレだったんだ……」と海里を凝視しながら呟いている。
そういえば海里に憧れているんだっけ。中身は増田なんだけど。真実を知っている俺はどういう顔をしていいのかかなり悩みつつ、とりあえず雄太たちに『サンシーカー』のことを紹介した。
「あ、あの魔大陸ダンジョン情報を公開してくれてるパーティー?」
「俺あの情報毎回買ってるよ。あれだけ細かい情報公開なんてなかなかないからほんとありがたいよ」
「うん、魔物分布まで書かれてるから、対策バッチリできるんだよね」
「俺らは『高橋と愉快な仲間たち』だ。もしよければフレンド登録してくれないか?」
ここでもフレ交換が行われて、特にHARUが嬉しそうに海里と交換していた。ブレイブの視線がHARUに向いてるのは気のせい気のせい。すっごい観察されてる気がするのも、きっと気のせい。か、海里に色目使う人、皆あの射殺されそうな目で見られるのかな。殺気はしまおうよ。怖いから。
HARUはブレイブから密かに敵認定されつつ、雄太たちと別れて冒険者ギルドに向かった。
奥の転移魔法陣から魔大陸に跳んで、建物から外に出る。
そこには沢山のプレイヤーが跋扈していた。
え、人多すぎない?
魔大陸ってこんなにポピュラーになってたの?
俺が驚いている間にも、4人は足を進めていく。
長光さんも馴染んでるんだけど。常連なのかな。
慌てて早足で追いつくと、そうだ、と長光さんが振り返った。
「刀預かるよ。直したら届けに行くから。それと、代替品渡しとくな」
長光さんは懐から刀をにょきっと取り出すと、それをほい、と何でもないことのように渡してきた。預かって腰の刀を渡して、ふと手にした刀に目を向ける。
どんな性能かな、なんて鑑定眼を何気なしに使ってみて、目を見開いた。
これ、攻撃力雄太が持ってる大剣と同じような数値なんだけど。たまに追加の斬撃が飛ぶんだけど。自己修復機能ついてて、鞘に入れた瞬間もとに戻るんだけど! 魔法陣が刀の紋様みたいになっていて、めっちゃかっこいい。印籠とかセットで付いてそうな、将軍様が持ってるような刀は、漆黒に塗られていて、柄糸という手元に巻かれた紐が真っ白で、俺が借りちゃっていいのかな、と戸惑う仕様だった。宝の持ち腐れ状態だと思う。多分活躍するの聖短剣だし。
「こんなの借りちゃっていいんですか……? これも刃が欠けたりしたら……」
値段付けられません状態になりそう。実際長光さん作刀ってかなりの値段がするはずだし。その値段でも安いくらいの完璧な仕上がりをしてくるんだけどね。
「大丈夫だって。それ、刃が欠けても鞘に突っ込めばもとに戻るようになってるから。紋様入れ的な商売も片手間に始めてな。そしたら魔法陣魔法がぐいぐいレベル上がるんだよ」
そして技術も古代魔道語も次々上がっていくんですねわかります。
「紋様、俺の剣にも入れて欲しいっす。ぜひお願いします」
「その刀と同じ紋様で一回につき500万ガル以下には出来ねえぞ」
「問題ないっす」
「途中で剣を買い替えると、また同様の値段を払わねえと次の剣には使えねえぞ」
「大丈夫です。この剣でずっと行くつもりなんで」
HARUがお願いします! と剣を差し出すと、長光さんはいい笑顔で「請け負った」とすぐに魔法陣魔法を剣の鞘に飛ばした。
HARUは小躍りして、早速カバンからかなり重そうな布袋を取り出した。
それを長光さんに渡す。
長光さんは苦笑しながらその布袋を懐にしまう。大きなじゃらじゃらした袋を懐にしまうその光景は、違和感しかなかった。懐インベントリ、おそるべし。
「ドロップ鑑定失敗!」
「倒せばわかる! 瞬殺!」
「それは『草臥れ草』調薬素材! レアは『草臥れ肉』」
「それは美味いのか? 気になるからレアくれ!」
「『高級獅子皮』と『高級肉』」
「うわ欲しいからブチ倒すぞ!」
「鑑定失敗」
「どっちにしろ消す!」
二回に一回ドロップ鑑定を失敗しつつ、順調にドロップ品を集めていく。
でも『炎輝石』を持っている魔物はまだ出てこない。そこら辺を歩いている雑魚魔物だからかな。っていうか雑魚魔物なのに倒すとあの兎くらいのポイントが入るんだけどどうしてだろう。俺は全く手を出さないままに、周りが瞬殺していくから。傷すらつかない魔大陸活動プレイヤー凄すぎだろ。トレのユニークボスで瀕死になる俺は魔大陸は似合わないよ……。
応援ありがとうございます!
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