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エピローグ
153、最推しとショヤ。もう一度言う。ショヤ。
しおりを挟む気付いたときには、フワッとしたベッドに横になり、上には兄様の美しいご尊顔が。
上から優しく照らされる灯りが、まるで兄様に後光が射しているように見えて、とても眩しく感じて目を細めると、その麗しい顔がそっと近づいてきた。
ちゅ、と軽く唇をくっつけられる。
魔力を貰う時の深くて熱いキスではなくて、可愛らしいキス。
そんなキスなのに、そんなキスだからこそ余計に、いつもと違う事に戸惑う。
「兄様……」
サラリと垂れた綺麗な髪が頬につき、くすぐったかったので、指で梳くって耳に掛けると、またしても兄様がチュッとキスをして来た。
「今日こそ、アルバと一つになりたいし、キスよりももっと効率のいい魔力譲渡を教えたい」
「魔力譲渡……それって」
アルバの中に、と触れそうな位置で兄様の口が動く。
もう俺だって理解はしているんだ。キスよりも効率のいい魔力譲渡の方法。
兄様の聖液を飲めば、それはとても高濃度魔力で、まさに俺の命の糧。
ということは、と至近距離の兄様を見上げる。
「兄様の聖液を頂いてもいいんですね……!」
「精液……!」
俺の言葉に、兄様の頭が顔の横にゴツンと降って来た。
待って、ちょっと待って、と何やら呟いている。
「アルバ、ちゃんとわかって言ってる?」
「勿論わかってます。兄様のものを咥えて、出された聖液を」
「咥……っ、そ、れは、今度ゆっくりしてもらうとして……今日は、僕がリードするから」
「リード……!」
それは、あれですか。エロ素晴らしい兄様の痴態が見れるということですか。俺の上に乗って、めくるめく世界に導いてくれるということですか……! それなんてボーナストラック……。
兄様の言葉一つで大興奮になってしまった俺のブツは、ガウンを羽織っただけ、しかも熱くてはだけた状態では、兄様に全て見られていたようで。
「アルバもその気になってくれて、嬉しい」
極上の艶やかで華やかな笑みを貰い、それだけで危ない状態になったのだった。でもセーフ。
兄様は、今日のために用意したというとてもいい香りの香油を取り出し、近くに置くと、俺のガウンをすっかり脱がしてしまった。貧相な身体で本当に申し訳なく思う。
火照った素肌が夜の空気に晒されて心地よい。
そこを辿っていく兄様の手が、とても、とても緩く優しく動いて、何やら卑猥に感じてしまって、俺はただただ迫りくる波を何とか必死で耐えることしかできなかった。
スルリと兄様の手が太腿を撫でると、俺の意に反して声が漏れる。長い指がなぞるように太腿の内側を撫でるので、下腹部にぐっと力を込めて、指から逃げることしかできない。そして、逃げおおせたと思ったら、実は自分から足を開いていたことに気付いて、あれ? とちょっとだけ我に返った。
「兄様……」
「大丈夫、優しくする。出来る限りアルバが痛くないよう、沢山解すから。もし怖かったら、教えて」
優しく慈愛に満ちた声でそんなことを囁かれて、太腿を撫でられて、キスを貰って、俺はもう一度あれ? と首を傾げた。
そのセリフは、アドリアン君的立ち位置のセリフだったような。
解されるのは、兄様で、はなくて、俺……?
「え、俺……?」
「ん? 僕に抱かれるの、怖い……?」
「俺が、兄様に、抱かれる……」
三度目のあれ? が頭を占め、そして気付く。
どう考えても、俺が受。
只今兄様に組み敷かれて、裸に剥かれて、愛撫されていて。足はしっかりと開いていて。
自分の姿をちらりと見下ろして、そして兄様の顔を見上げる。
そこで、ようやく俺は状況を把握した。
俺が! 女神の如き兄様を抱いて愛して気持ちよくさせるのではなく!
「誰よりも可愛くて最愛のアルバを、僕が、抱いて愛して気持ちよくさせるんだよ」
俺の焦りの声は漏れていたらしい。
だからアルバは、抱かれて、愛して、僕を気持ちよくして。
耳元で囁かれた言葉は、俺を一瞬で受けに転換させるのに充分な威力があった。
だって、だってだよ! 後ろを指でそっと撫でられて、ここを僕で満たしたい、なんてエロ素晴らしい言葉を言われたら!
ああああエロ魔人オルシス様誕生おめでとうございます! と祝杯を上げる所存!
「オルシス様が最高に気持ちよくなるためなら、俺が攻か受かなんて些細なことだった!」
どうぞ! とさらに足を開けば、兄様の笑い声が聞こえて来た。
「さっきまでの色気がなくなっちゃった……けど、それもアルバらしくていいね」
可愛くて、カッコいい、と兄様に褒められて、俺は顔を覆って変な声を出した。
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