死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

14-悩みその1

あれから僕はあの人の真似はやめた。というより僕にはできなかった。

その代わり口が悪く生意気な坊ちゃんを演じ、ラルクを使用人のように使い、恨みを積もらせよう作戦に切りかえた。

だが、僕のそんな思惑とは裏腹にラルクは従順だった。


｢おい、お茶持ってこいよ｣


｢承知しました。ルーク様｣


｢…おい、腹減った。おかしを持ってこい｣


｢承知しました。ルーク様｣


｢…読書疲れた。肩揉めよ｣


｢はい、承知しました｣


僕がどんな我儘を言おうとラルクは笑顔で返事をし、直ぐに実行した。


｢…いや！駄目じゃんこれじゃァ!!｣


今ラルクは剣の稽古に出ていていない。
僕はベッドの上で盛大に声を漏らす。


ぜんっぜん僕を嫌う気配がない。
やっぱり最初失敗したのがいけなかったのか…？いや、それにしてもだろ。


あんまり言いたくないから、たまにだけど『奴隷』呼ばわりまでされてるんだぞ。

それに使用人がいるのに色んなものをわざわざ持ってこさしたりしているのに、何であんな笑顔で返事ができるんだ！


…ラルクってMなのかな…？


初めて来た時は僕より一回りも小さかった身体も、こっちに来てからはメキメキと大きくなり、訓練で筋肉も付けてきているからか、僕と同じくらいの背丈のはずなのに僕より大きく見える。


多分前はご飯とかあまり食べれてなかったんだろう。それにしたって僕を抜くの早くないか。僕3食きっちり食べてたのに…。


コンコン


そんなことをウダウダ考えているとドアがノックされる。
ラルクの訓練が終わり、帰ってきたのだろう。


｢ルーク様、ただ今戻りました。お風呂に行きましょう｣


僕の最近の悩みその1だ。

何故一緒に風呂に入る。