17 / 79
17-王子アーノルド・シュバルツ
しおりを挟む
ラルクが来てから2週間が経った頃、僕の婚約者であるアーノルド様が僕に会いにやってきた。
「アーノルド・シュバルツです。ルーク様お久しぶりですね」
金髪に翡翠のような緑色の瞳。いかにも西洋の王子様。白馬に乗ってそうな王子様が僕の目の前にいた。
「シュバルツ王子、久方ぶりですな。本日はわざわざ愚息の為にお越しくださり、ありがとうございます」
僕の横に座る父が気持ち悪いくらい謙る。
やっぱり身分が上ってそういうことなんだな。僕がルークになってから初めてこういうのを見た気がする。
「いえいえ、そんな。僕はただ婚約者に会いたくて来ただけですから。そういえば、ルーク様、お怪我の方は大丈夫ですか?階段から落ちたとお聞きしましたが」
「王子が心配なされることはありませんよ。ただ…少し記憶が混乱しておりましてな。医者もいつ治るか分からないとの事で」
「へぇ…記憶が…?」
アーノルドが僕を見やる。その瞳は何を考えているのか分からない。
「では、私はこれで失礼させて頂きます。将来の夫婦同士、話したいこともあるでしょうし…」
失礼致します。そう言い父は応接間をそそくさと退散した。
アーノルドと2人きり…気まずい。前のルークは何を話していたんだ。
それに僕はアーノルドが苦手だ。目を見ても表情が分からない。アニメだと腹黒王子という表裏のある性格の設定だからか。
前世でも僕はこういうタイプは苦手だった。
「…ルーク様、僕のことは覚えていますか?」
「え、と、すみません。シュバルツ様、大変失礼ながら、何も思い出せないのです」
「…本当に?」
「え、ええ」
何でそんなに確かめるのだろうか。
婚約の時にルークは何かしたのか。
僕を見ながらアーノルドはティーカップに口をつける。僕と同じ歳なんだよな。13歳が出していい色気じゃない。イケメンは何をしても様になるんだな。
なんて呑気な考えをしていた僕は、ラルクに優しくされだいぶ油断していたのだと思う。
僕が存在してはいけない異物だと言うことを、忘れていたのだ。
「ルーク・フォンルージュ。僕との婚約をなかったものにしてもらえるかな」
「アーノルド・シュバルツです。ルーク様お久しぶりですね」
金髪に翡翠のような緑色の瞳。いかにも西洋の王子様。白馬に乗ってそうな王子様が僕の目の前にいた。
「シュバルツ王子、久方ぶりですな。本日はわざわざ愚息の為にお越しくださり、ありがとうございます」
僕の横に座る父が気持ち悪いくらい謙る。
やっぱり身分が上ってそういうことなんだな。僕がルークになってから初めてこういうのを見た気がする。
「いえいえ、そんな。僕はただ婚約者に会いたくて来ただけですから。そういえば、ルーク様、お怪我の方は大丈夫ですか?階段から落ちたとお聞きしましたが」
「王子が心配なされることはありませんよ。ただ…少し記憶が混乱しておりましてな。医者もいつ治るか分からないとの事で」
「へぇ…記憶が…?」
アーノルドが僕を見やる。その瞳は何を考えているのか分からない。
「では、私はこれで失礼させて頂きます。将来の夫婦同士、話したいこともあるでしょうし…」
失礼致します。そう言い父は応接間をそそくさと退散した。
アーノルドと2人きり…気まずい。前のルークは何を話していたんだ。
それに僕はアーノルドが苦手だ。目を見ても表情が分からない。アニメだと腹黒王子という表裏のある性格の設定だからか。
前世でも僕はこういうタイプは苦手だった。
「…ルーク様、僕のことは覚えていますか?」
「え、と、すみません。シュバルツ様、大変失礼ながら、何も思い出せないのです」
「…本当に?」
「え、ええ」
何でそんなに確かめるのだろうか。
婚約の時にルークは何かしたのか。
僕を見ながらアーノルドはティーカップに口をつける。僕と同じ歳なんだよな。13歳が出していい色気じゃない。イケメンは何をしても様になるんだな。
なんて呑気な考えをしていた僕は、ラルクに優しくされだいぶ油断していたのだと思う。
僕が存在してはいけない異物だと言うことを、忘れていたのだ。
「ルーク・フォンルージュ。僕との婚約をなかったものにしてもらえるかな」
108
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる