死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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17-王子アーノルド・シュバルツ

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ラルクが来てから2週間が経った頃、僕の婚約者であるアーノルド様が僕に会いにやってきた。


「アーノルド・シュバルツです。ルーク様お久しぶりですね」


金髪に翡翠のような緑色の瞳。いかにも西洋の王子様。白馬に乗ってそうな王子様が僕の目の前にいた。



「シュバルツ王子、久方ぶりですな。本日はわざわざ愚息の為にお越しくださり、ありがとうございます」


僕の横に座る父が気持ち悪いくらい謙る。
やっぱり身分が上ってそういうことなんだな。僕がルークになってから初めてこういうのを見た気がする。


「いえいえ、そんな。僕はただ婚約者に会いたくて来ただけですから。そういえば、ルーク様、お怪我の方は大丈夫ですか?階段から落ちたとお聞きしましたが」


「王子が心配なされることはありませんよ。ただ…少し記憶が混乱しておりましてな。医者もいつ治るか分からないとの事で」


「へぇ…記憶が…?」


アーノルドが僕を見やる。その瞳は何を考えているのか分からない。


「では、私はこれで失礼させて頂きます。将来の夫婦同士、話したいこともあるでしょうし…」


失礼致します。そう言い父は応接間をそそくさと退散した。

アーノルドと2人きり…気まずい。前のルークは何を話していたんだ。

それに僕はアーノルドが苦手だ。目を見ても表情が分からない。アニメだと腹黒王子という表裏のある性格の設定だからか。

前世でも僕はこういうタイプは苦手だった。


「…ルーク様、僕のことは覚えていますか?」


「え、と、すみません。シュバルツ様、大変失礼ながら、何も思い出せないのです」


「…本当に?」


「え、ええ」


何でそんなに確かめるのだろうか。
婚約の時にルークは何かしたのか。


僕を見ながらアーノルドはティーカップに口をつける。僕と同じ歳なんだよな。13歳が出していい色気じゃない。イケメンは何をしても様になるんだな。


なんて呑気な考えをしていた僕は、ラルクに優しくされだいぶ油断していたのだと思う。


僕が存在してはいけない異物だと言うことを、忘れていたのだ。



「ルーク・フォンルージュ。僕との婚約をなかったものにしてもらえるかな」
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