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19-悪魔の囁き
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ーアーノルドsideー
「お初にお目にかかります。ルーク・フォンルージュと申します」
ルークに初めて会ったのは僕の13歳の誕生日の時だ。
第一印象はとても美しい人だと思った。
中性的で顔立ちで神秘的な青い大きな瞳。
ただ、美しい顔だが感情の機微がなく、
まるでただの人形。そういう印象だった。
誕生パーティーでは当たり障りのない事を喋った気がする。
あまりにも当たり障りのない社交辞令で覚える気にもならないくらいの会話。
コイツには自分の意思も何もないのだろうか。ほかの貴族同様、つまらない奴。
僕は違う。自分の意思で意見で決める。
他の連中みたくなど絶対にならない。
そのパーティーの翌日、僕は父からルークと婚約するように言われた。
ーーー
ルークが僕の耳元で囁く。
ルークの吐息が当たり、背骨にゾクゾクとした甘美な振動が走る。
コイツは…本当にあのルークなのか。
あの感情も意思も何も無い、ただつまらない奴だったあいつ。
美しいだけだった光のない瞳に意思を宿しただけで、こんなに変わるものなのか。
「所詮俺らは父上たちの都合のいい玩具。
僕は貴方の子どもを産むだけの雌。貴方はシュバルツ家の子どもを作るだけの雄。
俺たちに選択出来る権利などない。
生まれた時から分かっていたことでしょ?俺たち貴族はそういう運命ではありませんか」
「ッ…僕はそんなの望んでいない!そんな運命など認めない…!」
ルークが僕を嘲笑うかのように笑う。
「王子が認めなくたって関係ないのですよ。だって貴方自身に価値なんてないんだもの」
…ぼくには、かちがない?
心臓に氷が突き刺さったみたいに身体が冷たくなる。
ぼくは、ちがう。ちがうはずだ。ちがうはずだったのに。
いままでだって、じぶんでえらんできた。シュバルツとしてではなく、ぼくとして。
それでもぼくは結局、…こいつと、あの貴族たちと同じだと言うのか。
ルークの男にしては華奢で綺麗な手が僕の左頬を触る。
「可哀想なアーノルド」
恍惚を浮かべた顔で、うっそりと目を細め目の前の悪魔が僕を見る。
「どうせ自由などないなら、今だけでもこの馬鹿みたいな婚約を楽しみましょう?
ね、アーノルド様」
僕の中で何かが切れる音がした。
「お初にお目にかかります。ルーク・フォンルージュと申します」
ルークに初めて会ったのは僕の13歳の誕生日の時だ。
第一印象はとても美しい人だと思った。
中性的で顔立ちで神秘的な青い大きな瞳。
ただ、美しい顔だが感情の機微がなく、
まるでただの人形。そういう印象だった。
誕生パーティーでは当たり障りのない事を喋った気がする。
あまりにも当たり障りのない社交辞令で覚える気にもならないくらいの会話。
コイツには自分の意思も何もないのだろうか。ほかの貴族同様、つまらない奴。
僕は違う。自分の意思で意見で決める。
他の連中みたくなど絶対にならない。
そのパーティーの翌日、僕は父からルークと婚約するように言われた。
ーーー
ルークが僕の耳元で囁く。
ルークの吐息が当たり、背骨にゾクゾクとした甘美な振動が走る。
コイツは…本当にあのルークなのか。
あの感情も意思も何も無い、ただつまらない奴だったあいつ。
美しいだけだった光のない瞳に意思を宿しただけで、こんなに変わるものなのか。
「所詮俺らは父上たちの都合のいい玩具。
僕は貴方の子どもを産むだけの雌。貴方はシュバルツ家の子どもを作るだけの雄。
俺たちに選択出来る権利などない。
生まれた時から分かっていたことでしょ?俺たち貴族はそういう運命ではありませんか」
「ッ…僕はそんなの望んでいない!そんな運命など認めない…!」
ルークが僕を嘲笑うかのように笑う。
「王子が認めなくたって関係ないのですよ。だって貴方自身に価値なんてないんだもの」
…ぼくには、かちがない?
心臓に氷が突き刺さったみたいに身体が冷たくなる。
ぼくは、ちがう。ちがうはずだ。ちがうはずだったのに。
いままでだって、じぶんでえらんできた。シュバルツとしてではなく、ぼくとして。
それでもぼくは結局、…こいつと、あの貴族たちと同じだと言うのか。
ルークの男にしては華奢で綺麗な手が僕の左頬を触る。
「可哀想なアーノルド」
恍惚を浮かべた顔で、うっそりと目を細め目の前の悪魔が僕を見る。
「どうせ自由などないなら、今だけでもこの馬鹿みたいな婚約を楽しみましょう?
ね、アーノルド様」
僕の中で何かが切れる音がした。
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