死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

21-修羅場

｢……これは、どういうことでしょうか？｣


ラルクがアーノルドに笑顔で問いかける。
目が笑ってない。怖い。

何でだろ、すごく気まずい…。

僕の隣にラルク。向かいにアーノルドが座っている。


｢それはこっちのセリフだよ。ルーク、この子は誰？君の遊び相手？｣


2人からの視線が痛い…。
僕は何もしてない(挑発はしたけど…)

と言うか何だ遊び相手って。いや、断罪達成のためのままごとを言うなら、そうかもしれないけれど、何か違う意味に聞こえるのは気のせいか？

そして、何で僕に聞く？ラルクに直接言えばいいのに、2人は僕を介してしか話したくないみたいだ。


｢王子、この子はラルク。ラルク･フォンルージュ。私の義弟です｣


僕は改めて取り繕った貴族スマイルで紹介する。ラルクに対してのせめてのも威厳と、さっきの状況を知られないためだ。


ラルクは眉間に皺を寄せ、睨み付けながらアーノルドを見る。


｢…よろしくお願い致します｣


｢…へぇ、おとうと、ねぇ。
僕はアーノルド･シュバルツ。

ルークの婚約者だよ。よろしくね。義弟おとうと君｣


二人の間に火花が散ってるのが見える。


…何だかアーノルドとラルクの仲悪くない？

2人の仲が悪くなるのは困る。非常に困る。

2人には手と手を取り合って将来僕を断罪してもらわねば僕は救われないし、ラルクもアーノルドもハッピーにならない。

今にも2人は立ち上がって殴り合いをしそうな雰囲気がある。


｢シュバルツ王子、本日はこの後予定がありまして…せっかく来て頂いて大変申し訳ないのですが…｣


今日はとりあえず早く帰ってくれ！頼む…！僕にはもうどう収めていいか分からないし、アーノルドとラルクの仲がこれ以上悪くなっては困る。頼むから…！


｢…婚約者と2人きりの時は普通に喋っていいのに｣


｢アーノルド様、弟のおれもいますから｣


本当に早く帰れ！