結城木綿希の短編集

結城 木綿希@毎日更新(したい)

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虚偽と終焉

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「ねぇ翔海君!誰とLIMEしてるの?」
 俺の彼女である結菜からのこの言葉が悪夢の始まりだった…

ことの始まりは1か月前………

 俺の大親友の西田は幼稚園児の頃からの腐れ縁で親同士も仲が良かった。その西田が高校入学当初から憧れていた九条彩音に一か八か告白すると言い出した。

 俺はもちろん西田もまたその告白が成功するだなんて1ミリも思っていなかった。

 だが俺たちは高校3年生。俺らはそれぞれ大学に進学する。彼女が志望する大学には西田の学力では同じ大学に進学出来ない。

 だから西田は最後に彩音さんに想いを伝えて後悔しなくて良いようにしたいと思ったらしい。

 だが彼女に告白した男子たちは皆、「告白する前に1度鏡を見てきてくれますか?」や「ジョークですよね?本気で私と貴方が釣り合うと思ってるんですか?」といった強い言葉でフラれたともっぱらの噂だったのだ。

 そしてついたあだ名は"姫"

 誰の手に渡ることもない高嶺の花……
 
 それが彼女だった。

 それにも関わらず……

 西田の彩音さんへの告白に対する返事は

「はい!これからよろしくお願いしますね。」

 西田の告白は成功したのだ。

 そして、西田は全ての男子を敵に回し、強烈な殺意が向けられるようになった。それはそうだろう。高嶺の花だった彼女が1人の男子の恋人モノになったのだ。嫉妬されないわけがない。

 まぁ俺はもちろん渦中のあいつを素直に祝福したさ。親友だからって言えたら良かったんだろうが、そうではない。

 俺には既に彼女がいたというだけの話だ。俺もまた西田と同じように嫉妬されていたから、嫉妬され仲間ができて嬉しかったのだ。西田、ようこそこちら側へ!って思っていたよ。

  親友の恋人である彩音さんとは仲良くなりたかった。下心なんて一切なく、街で彼らと会った時にギクシャクするのが嫌だったからだ。だがなかなか良いきっかけもなく、会話をすることもほとんどなかった。

 そんなある日、俺達はダブルデートをすることになった。これを機に彼女と仲良くなろうと思ったのだが、大きな壁が立ちふがっていた。

 それは俺自身の恋人だった。

 彼女は俺が彩音さんに話しかけようとする度に射殺す様な視線を俺に向けてきた。そして、そのことに気付いた彩音さんが気を使って少し距離を取り出したのだ。

 それでも俺と彼女はとあるきっかけで仲良くなっていった。そのきっかけというのが………

 彩音さんのオタク趣味の発覚である。

 それはある日のバイト終わりのことだ………

 その日俺は貰ったばかりのバイト代の入った財布を片手にアニメイトに向けて走っていた。

「今日は~バイトの給料日~♪推しのグッズを買い込むぞ~♪」

 上機嫌で俺が店内に入るとそこには………

「よし、さっさと買って家で眺めるしま…え?彩音さん?」

 そこにいたのは彩音さんだった。多くの男子が彼女に対して持っていた高嶺の花というイメージはこの瞬間、崩れさった。彼女は ”ヲタク” だった………

「これとこれも欲しい。けどお金が今そんなに無いしなぁ。しっかり選んで買わないとなぁどれにしよ……え?翔海君?え、ちょっこれは、その……違くてぇ~」

「彩音さんもそのアニメ観てるの?」

「もちろんだよ~!イレナちゃんとかめっちゃ可愛くてほんと推せる!もう最っ高!!私の性癖ドストライクなんだよね~あ、気持ち悪い…よね?」

 ヲタク特有の早口でまくしたてる様に推しをついて語るというのを見た瞬間俺は、彼女が本物のヲタクだと確信した。

(恥ずかしがって照れてる彩音さん可愛いな………じゃなくて!!)

「そんなことないよ。俺もそのアニメ観ててめっちゃすきだから。今日もそのグッズを買いに来たんだよ。良かったら好きなアニメとかについてもうちょっと話さない?」

「うん、話そう!」

 この一件で俺たちはすっかり打ち解けたのだった。その場でLIMEも交換してそれからちょくちょく話したりしていた。

 とある日2人でコミケに行くことにしたのだった。場所が場所なので結菜も西田も連れて行けずに2人で行くことにしたのだが、これが俺が結菜に疑われる原因となってしまい冒頭のセリフに繋がってしまった。

 親友の彼女と2人っきりでデートとも捉えることの出来る状況だったため結菜にはつい男友達と遊ぶとウソをついてしまったのだが、それが良くなかったのだろう。

 西田に聞いて俺が男友達と遊んでいなかったという情報を掴んでいたのだ。そして、俺が彩音さんと2人でどこかに出かけたということまで知ってしまっていた………

 結菜は俺が彩音さんに浮気していたと勘違いしていた。コミケの会場が遠く家に帰るのが遅くなっていたのも良くなかった。結菜は俺が彩音さんと○○○ピーーをしたと勘違いをしていたのだ。

 もちろん俺は事情を説明した。だが嘘をついていたのはやましい事があったからだと結菜は俺の説明を信じてくれなかった。

「そうか、翔海君は彩音さんとねぇ~まだ私としてないのに…私よりも先に彩音さんと……私は翔海君に捨てられた?そんな、なんで?……酷い、許せない…許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!!!翔海君には相応の罰を受けてもらわないと。フフッ」

 そう言って結菜はおもむろにキッチンの方に歩いていった。(やばいやばい、結菜の目がすわってるんだけど…)

「あ、あの~結菜さん?その…手に持ってるやつは何に使うんです?」

「ハハッ、察しが悪いなぁ~ちょっと考えたら分かるでしょ?翔海君を……殺るんだよ。翔海君は相変わらず鈍感だねぇ~フフッ…ハーッハッハッハッハー、翔海君、大好き………いや、愛してる。でもね、愛してるからこそこれだけは譲れないの。だから………死んで………」

"グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、"

「グハッ、ハァハァハァハァ」"パタッ"

「フフフフッ、ハーッハッハッハッハー次は彩音さんか、さぁ………殺りに行こうか……」

西田サイド
「ねぇ彩音、翔海と行ったコミケは楽しかった?」

「えぇ、私のヲタク趣味のことを話せる相手が今までいなかったからヲタ活仲間が出来て、一緒にコミケに行って推しの話をしながらグッズを買い込んで……めちゃくちゃ楽しかった!!行かせてくれてありがとう、西田君!」

(やっばいめっちゃ可愛いんだが…2人っきりで遊びに行くのにちょっと嫉妬してたけどこの笑顔を独り占めに出来たし俺はもう満足だわ……)

「お、結菜!こんな所に1人でどうしたんだ?」
(え?血?包丁も……しかも言語化出来ないけど雰囲気がこう…異様だ。)

「彩音さん、み~つけた~ハハッ」"グサッ"

「結菜さん、え?冗談ですy……カハッ、え?なんで…………ヒューヒューヒュー」"バタッ"

"グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、”

「ヒィッ!!彩音?彩音、彩音、彩音ーーーーーーー!ハァハァハァ………な、なんで………おい!!結菜どういうことだ!!」

「ハハハハハッ、ハーッハッハッハ-アハッアヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

「救急車、救急車呼ばないと……」

"トゥルルルトゥルルル"

「え~救急です!事件です事件、彼女が刺されて……はい、お願いします。」

 その後、懸命な救命活動が行われたが彩音は…………助からなかった。

 そして結菜はというと既に壊れていたため一切抵抗することなくケタケタと笑いながら警察に逮捕されて行った。

 後から警察から説明されたのだが結菜は要領のえない供述を繰り返しており、精神科のある病院に入院することになったそうだ。その後の裁判で実刑判決が下され、一応この事件は終結を迎えた…………
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