【完結】魔法を極めすぎて行き遅れていた私ですが、ひょんなことで年下イケメン公爵令息の家庭教師となったら帝国の陰謀に巻き込まれてしまいました

宮田花壇

文字の大きさ
6 / 13

第6話 終わらせてなるものですか!

しおりを挟む
 その知らせは、まさに雷に打たれたようでした。

 公爵様が執務室で倒れられた――その侍女からの報せを耳にした瞬間、私は全身の血が引くような感覚に襲われ、気づけば病室へと駆け込んでいました。

「ダリオン様!」

 震える声が、自分の喉から迸りました。

 寝台には、あまりに蒼白な顔をしたダリオン様が横たわっていました。閉じられた瞼の下からは息遣いすら感じられず、ただ蝋燭の灯が映す影ばかりが不安を煽ります。

 その手を固く握り締めていたのは、エルリーゼ様でした。夫人は凛とした表情を保とうとしていましたが、その瞳には涙が滲み、指先はわずかに震えていました。

「セレイナ……」

 呼ばれただけで胸が詰まりました。

「……執務中、突然頭を押さえてそのまま椅子から崩れ落ちられました。机の書類が散らばりすぐに介抱いたしましたが……お声は戻らず」

 後方に控えていた執事が低い声で補いました。
 エルリーゼ様が視線を伏せ、苦渋に満ちた声で告げられます。

「主治医の見立てでは――脳に腫瘍があるのではないか、とのことです。回復は、奇跡でもなければ望めない。いつ目覚められるかは……誰にも分からないのだそうです」
「……そんな……」

 言葉はそこで途切れました。胸の奥に冷たい穴が開くような感覚。

 横に立つヴァレフ様は、父君を凝視したまま動きません。蒼い瞳がわずかに揺れ、結ばれた唇には力がこもっています。

「……父上が、このような……」

 声は震えていましたが、それでも叫ぶことも取り乱すこともなく、必死に耐えているのが伝わってきます。
 ですがその姿に、私は余計に胸が締め付けられる思いがしました。

 公爵の席は空席のままではいられません。帝都の政務も、各地の折衝も、誰かが受けねば動かない。慣例では、家門の職は家の権利として引き継がれるとはいえ、実際の執務は能力と実績が問われます。

 ――つまり、父の名の重みごと若すぎる肩にのしかかる。

 私自身も必死に心を繋ぎ止めていました。涙に視界が滲みそうになるのを堪え、呼吸を整えようとしても、胸の奥で不安が膨れ上がるばかりです。

 帝国の未来において、ダリオン様がいかに大きな存在であるかは、私でも理解しています。
 皇帝陛下の右腕として幾度も政争を勝ち抜き、領地経営でも数多の功績を上げてきた方。その威光があるからこそ、ヴァルケスト家は他の大貴族から安易に侮られずに済んでいる。

 ですが、それは逆に言えば――。

 ヴァレフ様が小さく息を吐きました。

「帝宮の月例会議……父上の席は、どうなるのだろうか」
「当面は代理を、と申し出ることはできるはずです」

 私は思わず答えていました。
 けれどすぐに首を横に振ります。

「……ですが、今は答えを急がない方がよろしいでしょう。喫緊のご予定だった領内の税率改定の請願は延期の手続きを。その他の進行中の案件についても、書式に従って『当主不在中の確認』を挟めば、ある程度の日数は稼げます」

 そう、それで当面の時間稼ぎはできるはず。
 有事だからこそ、今はなんとか冷静に対処しなければ。

「ヴァレフ様、今日のところは我々も休みましょう。今後の段取りは明日の朝に決めましょう。私も手伝いますから」
「……ああ、そうだな。ありがとう、師匠」

 エルリーゼ様もベッド脇で「心配しないで。この人には私がついているから」と頷かれました。今夜はこのまま病室でダリオン様のお傍で過ごされるそうです。

 そうして、その日はそれで解散となりました。
 私はエルリーゼ様にもくれぐれもお体にお気をつけくださいと申し上げ、ヴァレフ様とともに病室を後にしました。

 ――けれど、そんな私たちに訪れたのはさらなる嵐でした。


 ***


 翌朝からの屋敷は、空気そのものが変わっていました。
 廊下を行き交う侍女の足音は落ち着きを失い、下働きの従僕たちは視線を合わせることなく小声で囁き合っている。厨房からも「どうなるのだろう」という不安の声が漏れ聞こえました。

 加えて、さらにはこんな声も。

「他の貴族が動き始めているそうですよ」
「若すぎる当主では務まらぬと……皆が言っているとか」
「直談判しようと皇帝陛下に謁見を求める家もあるそうです」

 ダリオン様がお倒れになった二週間も経った頃には、もうそんな噂話が屋敷内を飛び交うようになっていました。
 けれど私はこの時点で気づいていました。これは決してただの流言ではなく、現実の動きと結びつくであろう、と。

 なぜなら政界とは常に権力闘争。その中で力あるダリオン様が倒れたなら、必ずその地位を狙う者たちが動き出します。

 ダリオン様のことはもちろんすでに各所に知れ渡っています。隠し通すのは不可能ですし、そうするわけにもいきませんからね。こちらから方々へ伝者を送り、報せました。
 何度も言いますが、ダリオン様は要職に就かれる方です。下手に誤魔化しては政治が滞ってしまう上に、引いては国民の生活の安定を揺るがしてしまいます。そんなわけにはいきません。

「けど、まさかここまで早いとは……」

 執務室に積まれた報告の束を手に取ると、次々と情報が浮かび上がります。
 私は伝者を派遣する際、各所の動向を探ることも命じていました。

 そしてそこに並んでいたのは、衝撃の数々でした。

 一つはダリオン様に反目する有力貴族の動き。彼らは「ダリオン公爵が兼ねていた要職を空席のまま放置するのは帝国の停滞を招く」と唱え、自派の人間を臨時に据えるべく働きかけていました。

 次に目についたのは北方の侯爵家。彼らは以前から交易路の利権を巡ってヴァルケスト家と対立しており、ここぞとばかりに「若きヴァレフには国政は任せられない」と吹聴しているようです。

 軍部からの報せも重苦しいものでした。一部の将軍が「指揮権を分散させるべきだ」と主張し、軍の編制を組み替える口実を探しているというのです。

 さらに皇宮の文官たちは、ヴァレフ様を正式な代行の任命には帝国評議会の承認が必要と制度を盾に取り、わざと手続きを煩雑にして時間を稼ごうとしているとのこと。

 ――彼らの狙いはただ一つ。ヴァルケスト家を“空席”にし、その地位を掠め取ること。

 ダリオン様の威光が消えた瞬間を狙い、牙を剥く。なんと素早いことか。

「はぁ……」

 私は思わず、深く息を吐きました。
 帝都に来てまだ日も浅い私でさえ、ここまで露骨な動きが見えるのです。裏ではさらに根回しが進んでいるに違いありません。

「……状況は、思ったより厳しいかもしれないわね」

 独り言のように洩らした言葉に、背後から足音がしました。振り返ればヴァレフ様が立っておられます。
 その瞳は疲労の影を宿しながらも、真剣に書簡の束を見つめていました。

「何か新しい情報が?」
「はい。山のように」

 私は机に書簡を並べ、一つひとつを指で示しました。

「どこもかしこもまるで一斉に連携しているかのようです。まさかこれほど動きが早いとは……」
「まるで誰もかれもが敵かのような状況だな」
「ええ。しかし気がかりなのは、地方の貴族にまですでに情報が及んでいることです。私がダリオン様の情報をお伝えしたのは、中央の各諸侯に対してだけだったのに……」
「父は国内でも相当に顔が広い人物だ。それが逆に災いしているのだろう」
「なるほど、それはそうですね」

 屋敷内でもそうであるように、噂とはどんどん広がっていくもの。貴族の家や領地には様々な人間が出入りしますから、その中には地方から遠征してきている者もいます。
 口々に伝わっていけば、自ずと距離も時間も加速していくことでしょう。果てはどこまで続くのやら。

 ……けど、果たして本当にそれだけでしょうか?

「まあいいでしょう。とりあえず、ここで取り乱してしまっては彼らの思う壺です。屋敷の者が不安を囁き合えば、その声はすぐ外に漏れ、余計に今が攻め時と彼らの目には映ってしまうでしょう。だからこそ、まずは上に立つ私たちだけでも落ち着きを示さねばなりません」
「うむ……」

 ヴァレフ様は小さく頷かれました。ですが、その横顔にはまだ迷いが残っているように見えました。
 無理もありませんね。たったこれだけの時しか経っていないのに、目まぐるしく状況が動こうとしているのですから。

 書簡の束を机に戻したとき、ヴァレフ様は大きく息を吐き、椅子に身を沈めました。

「……父上が倒れられてから、まだ半月しか経っていない」

 呟く声は掠れていて、普段の気丈な響きは影を潜めています。

「なのに、もう周囲は代わりを求めている。誰も私が次の当主を務めるとは思っていない。それがこうして、形となって表れている……」
「ヴァレフ様……」
「私は父上のようにはなれない。政務も、軍の采配も、あれほど多くの人に慕われることも……。すべて父上だからこそ成し得たことだ。私は……まだただの子どもにすぎない」
「そんなことは……」

 私が声をかけようとした瞬間、ヴァレフ様はポツリと言いました。

「……師匠」
「? なんです?」
「……もうここまでだ。師匠は今すぐ荷物をたたみ、自分の屋敷に戻ってくれ。いや、なんなら実家の領地に帰ってもいい。むしろそうすべきだ」
「え?」

 いったいなぜ……私は驚いてしまいました。

「もともと師匠がこの家に来たのは、伯爵の地位に加えて屋敷で自由に魔法の研究に没頭するためだったのであろう?」

 おや、ご存じでしたか。ヴァレフ様には何も話していなかったのに。

「こうなった以上、それはもう叶わぬ。この状況、下手を打てばヴァルケスト家の領地そのものまで危ういかもしれん。……最悪のケースを想定して動くのも、領主としての務めであろう?」

 たしかにその通りです。此度の各貴族たちの動きは、ハッキリ言って想像よりもずっと苛烈です。この勢いであれば、ダリオン様の地位だけではなく家そのものを滅ぼそうとするものまで現れてもおかしくありません。それが貴族社会と言うものです。

「師匠は私にとって恩人だ。父も母も感謝している。そんな人を巻き添えで危険な目に遭わせるわけにはいかん」

 ……そういうことでしたか。つまり、ヴァレフ様は私に逃げろと。

「すまないな。せっかく養女として我が家に入ってくれたと言うのに……」

 諦めたように紡がれたその言葉に、私は胸が詰まりました。彼がどれほど必死に平静を装ってきたかを知っているからです。
 なにより出会った頃はあれほど横暴だったヴァレフ様が、このように私の身を案じてくれるのは感慨深くもありました。

「……父上がいなければ、この家は終わりだ」

 ――ですが、やっぱりその言葉だけは聞き捨てなりませんでした。

「……終わり、などではありません」
「え?」
「いいえ、終わらせてなるものですかっ!!」
「うおっ!」

 突如としてバンッと机を叩いて立ち上がった私に、ヴァレフ様が目を見開きました。

「し、師匠? どうした急に……?」
「どうもこうもありません! 私はヴァルケスト家の令嬢です。あなたの父上に養女として迎えられ、この家に身を置く者です。ここから逃げるなど、決してあり得ません!」

 言葉を叩きつけると、ヴァレフ様は愕然としたように息を呑みました。
 私は構わず続けます。

「いいでしょう。向こうがその気なら、こちらも手加減無用です。真っ向から迎え撃ってやりましょう」
「む、迎え撃つ……?」
「ええ、全力で叩き潰します。全面戦争です」

 戦争……そう聞いた瞬間、ヴァレフ様はギョッとしました。
 私の口から出たその言葉が、決して冗談ではないと悟ったからでしょう。ええ、大正解です。

「お、おい師匠……分かってると思うが、相手は政敵とはいえ同じ国の貴族だぞ? くれぐれも直接手荒なマネは……」
「ええ、もちろんしませんとも」
「その顔は絶対するやつだろうっ!!」

 はて、その顔とはいったいどんな顔でしょうかね?
 え? 笑ってる? はは、まさかまさか。こう見えても今や私は偉大なる公爵家の令嬢ですよ? そんな羽虫を踏みつぶす蛮族のような笑みなど……。

「さあ、参りましょうヴァレフ様。まずは皇帝陛下に謁見の申し出を!」
「……はぁ。もうどうにでもなれだ」

 またしても諦めた表情でヴァレフさが項垂れました。
 しかし、私はもう決意しました。必ずやこの家を守り抜くと。それが『雷神』などと蔑まれていた私を取り立てていただいたダリオン様への恩返しでもありますからね。

 そうです、今こそ我が『雷神』の名を天下に轟かせるとき!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

ななよ廻る
恋愛
貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。 令息令嬢の社交場。 顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。 それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。 王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。 家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。 ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。 静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。 そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。 「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」 互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。 しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて―― 「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」 偽装婚約、だよな……? ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※ ※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~

遠野エン
恋愛
王太子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢ルティア。聖女であるライバルの策略で「悪女」の烙印を押され、すべてを奪われた彼女が追放された先は荒れ果てた「廃墟の街」。人生のどん底――かと思いきや、ルティアは不敵に微笑んだ。 「問題が山積み? つまり、改善の余地(チャンス)しかありませんわ!」 彼女には前世で凄腕【経営コンサルタント】だった知識が眠っていた。 瓦礫を資材に変えてインフラ整備、ゴロツキたちを警備隊として雇用、嫌われ者のキノコや雑草(?)を名物料理「キノコスープ」や「うどん」に変えて大ヒット! 彼女の手腕によって、死んだ街は瞬く間に大陸随一の活気あふれる自由交易都市へと変貌を遂げる! その姿に、当初彼女を蔑んでいた冷酷伯爵シオンの心も次第に溶かされていき…。 一方、ルティアを追放した王国は経済が破綻し、崩壊寸前。焦った元婚約者の王太子がやってくるが、幸せな市民と最愛の伯爵に守られた彼女にもう死角なんてない――――。 知恵と才覚で運命を切り拓く、痛快逆転サクセス&シンデレラストーリー、ここに開幕!

裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです

ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...