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28話 クレマンの友人2
しおりを挟む学園の敷地にはいり、女子学園生が講義を受ける学舎の近くまで来ると… ミレイユは話がしたくて、人の気配がない学舎のわきへクレマンをつれて行く。
「ねぇ… さっきはお友だちに、なぜあんな態度をとったの?」
「ギヨームのこと?」
「ええ… いつものクレマンなら、あんなに棘のある言いかたはしないでしょう?」
たぶん… 私を守るために、クレマンはギヨームにあんな言いかたをしたのだと思うけれど。 クレマンは後で困らないかしら?
「今まで僕は… 広く浅くどんな相手にも好かれるように、公平に付き合うのが1番平和でいられる方法だと思っていたんだ」
「……」
確かにそんな感じだったわ。 クレマンは誰にでも優しくて親切で… でも、あまり怒ったことが無くて。 私はそんな春の日差しのような、クレマンのおだやかさを好きになったから。
「でも、ギヨームが『僕とパトリシアが浮気をしている』と勝手に思いこみ、間違ったうわさを流していると他の友人に警告されたんだ」
悔しそうな表情でクレマンは吐きすてるように語った。
ミレイユもまさかの話に、ハッ… と息をのむ。
「…あの人が…っ?!」
「あいつはそうやって人のことを面白おかしく大きくして話す、悪い癖があるやつなんだ。 だから僕は浮気はしていないと、その時ギヨームにはっきりと否定したんだ。 それに僕自身が、ギヨームがうわさを流すところを見たわけではないし… 半信半疑だったけど」
「……」
クレマンの話が本当なら… 私が感じていた惨めさは、あのギヨームという人が引き起こしたことになるわ。
「僕もまさか本当にそんなことをされるとは思わなかったから… でもさっきのギヨームの態度で、確信したよ! あいつは本当に僕とパトリシアの間違ったうわさを、流したやつだと」
「なぜ、確信を持てたの?」
ミレイユは思わずクレマンの手をギュッ… とにぎりしめた。
「パトリシアが頻繁に僕をたずねて、男子学園生が講義を受ける学舎のほうに来ていた時… ギヨームは何かとパトリシアに話しかけていたんだ」
女子学園生に友人のいないパトリシアは、容姿の良さから男子学園生には人気があり、好んでクレマンの友人たちとも話をしていた。
「2人は知りあいだったの?」
「いや… 彼女が僕をたずねて来た時に紹介した。 だから僕は『ギヨームも美人のパトリシアに惚れたのか?』 なんて、のんきに考えていたんだ」
「パトリシアが本当に好きなら… ギヨームはもっとパトリシアのことを心配したはずだわ…?」
「うん… 僕もさっきそれに気づいた。 パトリシアのことよりも、ギヨームは今回の醜聞さわぎ事態を楽しんでいるように見えたよね?!」
クレマンは他の友人にされた警告が真実だとわかった。
「それで、あの人を追い払ったのね?」
「うん。 これ以上、あのクズ野郎の視界にミレイユをさらしたくなかったから。 また変なうわさを流されたら、僕は……」
ギュッ… と拳をにぎり、クレマンは怒りをあらわにする。
クレマンの中で、すでにギヨームは友人ではない。
他人を貶めて楽しむような… そんな思考の持ち主を友人にしていた自分の愚かさが、クレマンは辛かった。
「あんなやつとまで、友好的に付き合おうとしていた自分が情けないよ!」
クズ野郎には… クズ野郎に相応しい対応をしなくては、他の善良な友人たちに対して不公平だと、クレマンは考えを改め気持ちを引き締めた。
「それにしても… 怖いわね?」
「うん… だから、なるべく君と一緒にいたいんだ」
「わかったわ…」
「……」
クレマンはホッ… とため息をつき笑った。
ミレイユもクレマンの笑みにつられて、微笑む。
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