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48話 目覚めると…2
しおりを挟む2つのグリーンの瞳でアンバレに見つめられるうちに… 少しづつソレイユの中に、聖女エクレラージュから受け入れた記憶が蘇って来る。
「あ… 私は!」
オルドナンスの神殿で聖女エクレラージュ様の聖なる力を受け入れて… それから… 心がちぎれそうな痛みがあふれて…
不思議と昨夜のように、現実とエクレラージュの記憶との区別がつかず、ソレイユが苦痛を感じることは無かった。
「ソレイユ… 君が私にしたことを、おぼえているか?」
「私がアンバレ様にしたこと…?」
「君は私の傷痕に触れ、聖なる力で魔獣の呪毒を綺麗に浄化したあと… 気を失ったんだ」
眠るソレイユをつれて、オルドナンスから伯爵邸へ帰る途中、アンバレは何度か連絡用の幻鳥で、魔法騎士団にいたカルムとやり取りをした。
すると…
『何がなんでも団長の目を直して、騎士団長に復帰させる!』
…と言い張り、カルムは騎士団所属の腕利き治療師3人と一緒に、アンバレが帰宅するのを伯爵邸で待ちかまえていた。
アンバレの左目に、3人がかりで高度な治癒と再生の魔法をかけて、完治させてしまったのだ。
「まぁ… 私が眠っている間に、そんなことが?!」
「カルムにはあきれるが… やっぱり両目が使えるのは気分が良いよ! だが、それもすべて君が私の呪毒を浄化してくれたから、完治させることが出来た… ありがとう、ソレイユ… 君は何度も私を救ってくれた!」
アンバレに頬をなでられ、ソレイユもアンバレの頬をなでた。
…不意に、ソレイユの脳裏に自分が聖なる力を使った記憶がよぎる。
「あの時、なぜか… 自分が聖女だと思ったのです」
自分の中が、神に託された聖なる力で満たされているのを感じ、その力を人々に分け与えるのが、私の使命だと…
そして目の前にいる、魔獣の呪毒で苦しむアンバレこそ、聖なる力を分け与える存在だと思ったのだ。
「それは…っ! ソレイユ、今はどうなのだ? 私の目から見ると君の身体に満ちていた聖なる力は、薄くなり消えたように見えるが?」
「はい、私も今は感じません…」
聖なる力を感じていた時は… まるで夢の中にいるような、不思議な感覚だったわ?
「そうか!」
アンバレは、ホッ… とため息をつく。
「アンバレ様…」
「聖女は王家が保護し、王族の妃にされる… 君の年齢だと王太子の側妃にされるかもしれないと…」
顔をしかめて嫌そうにアンバレが語った話に、ソレイユはアンバレよりも嫌そうな顔をした。
「そ… そんなの嫌です! 私はアンバレ様の婚約者ですから!! たとえ相手が王太子殿下でも… アンバレ様とでなければ結婚したくありません!!」
「このまま君が聖女となれば、私は君を取り上げられることになる! だから私は、先に君を妻にしたいのだ」
「私は聖女になどなりません!」
いきなり火が付いたように怒り出したソレイユに… アンバレはニヤニヤと嬉しそうに笑う。
「私もそうであって欲しい! 君はエクレラージュ殿が、どのような生き方をしたか覚えているか?」
「はい… 愛する人を失い、その人の子を出産しても、その子に自分が母親だと名乗ることも許されず… 産まれてすぐに愛する人の弟へ、養子に出さなければならなかった…」
生涯、聖女エクレラージュ様が感じ続けた痛みが、私の胸の奥にチクチクと残っているわ… こんな痛みを感じながら、生きて行くなんて… 私には耐えられない!
「いくら王家でも私の妻になった君を、取り上げることは出来ないはずだ」
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その伯爵家から伯爵夫人を取り上げれば、貴族たちから反発があるだろう。
「ああ… それで結婚を早めるのですね?」
アンバレ様は私を王家から守ろうと… そこまで考えて下さるのね?
何度かうなずき、ソレイユはようやく納得した。
「嫌か?」
アンバレのグリーンの瞳が、不安で揺らぐ。
「いいえ! 早く結婚して、アンバレ様の妻になりたいです!」
ニコッ… と笑い、ソレイユはアンバレの唇にキスをした。
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