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「刺すなら俺を刺せ。未知は関係ない」
「そんな気色悪い生き物のどこがいいの?」
「未知は気色悪い生き物じゃない。彼ほど家庭的な子はいない」
卯月さん、そんなに褒めないで。
僕の事、ほんとうは好きじゃないのに・・・騙しているのに・・・
どうしてそんな風に言えるの?
「ソイツも、たがが子供を産むための道具でしょう?」
森さんの問い掛けに卯月さんは大きく首を横に振り、「違う!」苦渋に満ちた表情で唸り声を上げた。
「確かに橘には言われた。でも、俺は・・・未知を誰よりも愛してるから・・・未知や一太と一緒に生きていきたいから、ヤクザを辞めて3人で暮らしたいと橘に言った、跡取りは心がいる、橘や、組幹部で一人前になるまで育てればいいだけだと」
卯月さんが僕や一太のことをそこまで想っていてくれたなんて。
彼の気持ちは嘘じゃなかった。それが分かって涙が出るくらい嬉しかった。
「ボクはイヤだ‼」
森さんはどうしても認めたくてなくて、何度も首を大きく横に振っていた。
「なぁ、心。どんなにお前に想われても、俺は未知以外誰も好きになるつもりはない。年がかなり離れているこんなオヤジを未知は好きになってくれた。それに一太も怖がらず、なついてくれた。だから、俺は二人を一生涯愛し抜いて、守り抜く覚悟を決めた。だから、那奈も理解を示し、離婚に同意してくれたんだ」
卯月さんは森さんにゆっくりと近付くと、握り締めていたフォークを取り上げた。
「憎しみは何も生まない、そうだろ?心」
諭され、その場にへなへなと力なく足元から崩れ落ちる森さん。
彼に駆け寄ろうとしたら卯月さんに止められた。
「今日から俺以外の男に接近禁止、触れるのも触れられるのも禁止。話し掛けるのも禁止。橘と、茨木さんは例外で認める」
へ!?
最初何を言われたか分からなくて。
目をパチパチして彼を見上げると、燃えるような熱いまなざしで見詰め返された。
「そんな気色悪い生き物のどこがいいの?」
「未知は気色悪い生き物じゃない。彼ほど家庭的な子はいない」
卯月さん、そんなに褒めないで。
僕の事、ほんとうは好きじゃないのに・・・騙しているのに・・・
どうしてそんな風に言えるの?
「ソイツも、たがが子供を産むための道具でしょう?」
森さんの問い掛けに卯月さんは大きく首を横に振り、「違う!」苦渋に満ちた表情で唸り声を上げた。
「確かに橘には言われた。でも、俺は・・・未知を誰よりも愛してるから・・・未知や一太と一緒に生きていきたいから、ヤクザを辞めて3人で暮らしたいと橘に言った、跡取りは心がいる、橘や、組幹部で一人前になるまで育てればいいだけだと」
卯月さんが僕や一太のことをそこまで想っていてくれたなんて。
彼の気持ちは嘘じゃなかった。それが分かって涙が出るくらい嬉しかった。
「ボクはイヤだ‼」
森さんはどうしても認めたくてなくて、何度も首を大きく横に振っていた。
「なぁ、心。どんなにお前に想われても、俺は未知以外誰も好きになるつもりはない。年がかなり離れているこんなオヤジを未知は好きになってくれた。それに一太も怖がらず、なついてくれた。だから、俺は二人を一生涯愛し抜いて、守り抜く覚悟を決めた。だから、那奈も理解を示し、離婚に同意してくれたんだ」
卯月さんは森さんにゆっくりと近付くと、握り締めていたフォークを取り上げた。
「憎しみは何も生まない、そうだろ?心」
諭され、その場にへなへなと力なく足元から崩れ落ちる森さん。
彼に駆け寄ろうとしたら卯月さんに止められた。
「今日から俺以外の男に接近禁止、触れるのも触れられるのも禁止。話し掛けるのも禁止。橘と、茨木さんは例外で認める」
へ!?
最初何を言われたか分からなくて。
目をパチパチして彼を見上げると、燃えるような熱いまなざしで見詰め返された。
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