あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢

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新しい出会い

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翌日。
カフェに向かっていたら、ちゃりんちゃりん。ものすごい速さで走ってきた自転車にベルを思いっきり鳴らされた。
「ごめんなさい」あわや接触するところだった。でもヤスさんが咄嗟に車椅子のブレーキ棒を引っ張ってくれたから事なきを得た。
でもグレーチング(側溝を埋める金網のこと)にタイヤがはまってしまい身動きが取れなくなってしまった。
「斜めに通過しなきゃいけなかったのに。ヤスさんごめんなさい」
「気にすんな」
手押しハンドルを押したり引いたりと、何度か脱出を試みるもなかなかうまくいかない。そんなときだった。
「ヤス、なにやってんだ」
ドスのきいた低い声が頭上から聞こえてきて。誰だろうと見上げたら、ふわりと身体が宙に浮いたからびっくりした。
「あ、あの……」
「怪我はなかったか?」
「はい、大丈夫です」
「なら良かった」
強面だけど、目はすごく優しそうな男性と一瞬、目が合った。彼より年上の大人の男性だった。
他者を寄せ付けない圧倒的な存在感を示す男性。そのまわりにいた黒服の男たちとヤスさんが車椅子を持ち上げ、邪魔にならない歩道の端へと移動させてくれた。
「あの……そろそろ下ろしてもらってもいいですか?」
怒ったような表情を浮かべる男性。蚊の泣くような声で恐る恐る声を掛けた。
「顔が怖いのはもともとだ。諦めてもらうしかない。まぁ、そのうち馴れる」
ニヤリと笑われた。
「おぃ、真山。いつまでもこそこそ隠れているんじゃねぇぞ」
男性が声を荒げると、街路樹の陰から真山さんが姿を現したものだから腰を抜かすくらい驚いた。
「うちの子にずいぶんと横柄な態度を取っているみたいだが」
「孤児のソイツに身内がいる訳がない」
「親父が昔囲っていた女の姪だって断言している。嘘だと思うなら親父に聞け」
男性が車椅子の上にそっと座らせてくれた。
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