神様のイタズラ

ちびねこ

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第一章

六話

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それからしばらく、鈴と古野原は学校でよく話したりするようになっていた。
 体育の時は古野原が誘ってペアを組み、昼食も一緒に食べる。
 放課後も、鈴の家で遊ぶ頻度が増えた。
 それと、クラスの皆の、古野原を見る目も、少しずつ変わってきた。
 不良だと思っていたクラスメイト達も、古野原の行動をみて、考えを改めてきた。
 面倒と言いつつ、掃除の手伝いをしたり、体調が悪そうな人を気遣ったり。
 男女問わず、平等に古野原は接していた。
 口調こそ荒い古野原だが、優しいのでは? と皆が思い始めていた。
 そんな古野原だったが、一つだけ問題があった。
「古野原さん」
 昼休み、鈴と古野原が机をくっつけてご飯を食べていると、数学の係の女子生徒が話し掛けてきた。
「ん? なんだ?」
「今、ノートを集めているんだけど、古野原さんだけまだだから」
「あぁ、またそれか」
 古野原は怠そうに息を吐く。そして、机から数学と書かれたノートを取り出し、開いた。
「見ての通り一ページ目から真っ白だけど」
 そう、古野原は相変わらずノートを取っていなかった。
「えっと……」
 困った顔をする女子生徒。
「とりあえず回収しとけ、中身を確認するのは教師だ、お前の役目じゃない、だから責められるようなことも無いし」
 そう言って、ノートを渡した。
 女子生徒は苦笑いを浮かべながら、去って行った。
「古野原さん」
「ん?」
「ノートちゃんと取らないと、駄目だって」
「良いんだよ、そんなの時間の無駄無駄」
 左手で鈴の言葉をばっさり切り捨てて、右手でおにぎりを頬張った。
「勉強、ついて行けなくなっちゃうよ? 先生の話は聞いてるように見えるけど……」
 鈴はそう言いながらご飯を口に運んだ。
「まかせとけって、あたし天才だからよ」
 そう言って笑う古野原だったが、鈴は不安しか無かった。
「いや、だからここはこうだって!」
 ふと、前の席で大きな声がしたので鈴はびっくりして前を向いた。
「あ、ごめんね? 声大きかった?」
 小川が、申し訳なさそうに言ってきた。
「えっと……何をしているんですか?」
「勉強を教えて貰っていまして」
 そう言って、瀬尾が振リむく。
「美香、この問題解けるまで、昼ご飯はお預けだからね」
「えぇ!? 三智子さん……それはさすがに……」
 困惑した声を上げる瀬尾だった。
「そもそもこれなんか、中学の問題だよ? 解けないと期末やばいって」
 そう言って、ガシガシと頭を掻く小川。
「あ、秋山さんは期末大丈夫そう?」
「えっと……一応大丈夫だと思います」
 前の席の二人とは、話せるようになっていた。
 ただ、友達という距離では無く、クラスメイトという距離で。
「おい小川、飯食ってからでいいんじゃねーの? 腹減ってたら頭も回らねーよ」
 サンドイッチを頬張りながら、古野原が言う。
「古野原さんには関係無いでしょ? これはウチと美香の問題」
 明らかにキツイ口調で言う小川。
「そんなことねーだろ、六限目は体育だし、飯食っといた方が良いと思うけど?」
「そんなの分かってるよ、解けたら食べて良いって言ってるんだから」
「つってもお前……そいつ、いや、瀬尾全然解けそうに無いけど」
「うぅ……」
 古野原に指摘されてへこむ瀬尾だった。
「もっとヒントだしたりしないと、いつまでも進まないと思うんだけどな、お前の教え方、合ってないんじゃないか?」
 古野原が言うと、小川は眉間に皺を寄せて。
「ろくに勉強もしてないのに、偉そうなこと言うよね、古野原さん」
「そんなん関係ねーじゃん、教え方合ってないのは事実だろうし、もっとわかりやすく教えてやれよ」
「……ちっ」
 舌打ちをする小川。
 古野原と小川が会話すると、いつもこうだった。やはり以前に古野原が言っていた通り、小川は古野原の事を良く思っていない。
「わ、私もご飯は食べた方が良い……と、思います」
 語尾はほとんど聞き取れないような弱々しい声で、鈴が言った。
「……ごめん、秋山さん。目の前で嫌な空気だしちゃって」
「嫌な空気って分かってるなら途中でやめろよな」
「なっ!?」
 小川が席を立ち上がる。
「三智子さん、落ち着いてください」
 慌てて、瀬尾が宥める。
「古野原さん、そんなことは言っちゃだめだよ」
 同じく、鈴も古野原を注意した。
「……悪い、言い過ぎた」
「言い過ぎって分かってるなら、最初から言わなきゃ良いのにね?」
 仕返しと言わんばかりに、小川が言う。
「ほら、どっちにしろあと十五分で休み時間終わりだ、諦めて飯食えよ」
 古野原は小川の挑発に乗らず、時計を指した。
「……美香、お弁当食べよ」
「は、はい」
 古野原を除く三人は、気まずく、あるいは苛立ちながらご飯を食べた。
 そして六限目の体育。
「ほら、鈴、投げるぞ」
「は、ひゃい……」
 びくびくしながら、鈴はグローブを掲げる。
 ポスンと、力のない音で、ボールがグローブに収まった。
「おー、キャッチ出来る様になって来たな、ほら、思いっきり投げてみろ」
 言われた鈴は、全力で投げる。
「えいっ!」
「あー」
 古野原は高くジャンプするが、それよりも高く、鈴が投げたボールは飛んで行った。
「いや、全力と入ったけど、コントロールは、な?」
「ごめん!」
「良いから、ボール取ってくるわ」
 そう言って、古野原はボールを取りに行った。
 鈴の右では、小川と瀬尾が、自分と古野原よりも、もっと離れた距離で、それなりの球を投げ合っていた。
「うぅ、なんでソフトボールなんか……」
 体育は総じて苦手だが、やったことも無い球技だったので、鈴はさらに苦戦をしていた。
「秋山さん秋山さん」
 ふと、話掛けられて鈴は横を向いた。
「投げ方のコツ、教えてあげるよ」
 小川が立っていた。
「え?」
「いや、ウチ小学校の時野球部だったからさ、下投げはよく分からないけど、普通の投げ方なら教えてあげられるよ」
「えっと」
「ね?」
「は、はい」
「何してんの?」
 丁度、古野原が戻ってきた。
「あぁ、古野原さん、秋山さんに投げ方教えてあげようと思って」
 少しだけ険しい表情で、小川が言う。
「まじで? あたしも適当に投げてたから、教えてくれね?」
「え? ……良いけど」
 一瞬驚いた後、小川は古野原の頼みを了承した。
「美香、二人にボールの投げ方教えるから、ちょっと待ってて」
 少し遠くに居た瀬尾が頷いたのを確認すると、小川は二人に投げ方を教えた。
「……まぁ、本格的にやるわけじゃないから、気楽にやると良いよ」
「勉強と違ってかなり具体的で分かりやすかったぞ」
「なんかむかつくんだけど……」
「てか、お前左利きなのな」
 グローブを右手に付けた小川を見て、古野原が言った。
「まあね、そんなこと良いから、実際に投げて見なよ」
 そう言って、小川が離れる。
「じゃあ、秋山さんから、本気で投げようとすると多分難しいだろうから、さっき言った通りに!」
「は、はい」
 鈴はボールを投げた。
「よっと」
 少し右にずれて、小川はボールをキャッチした。
「良い感じじゃん、あたしの時よりぶれてないし」
 横で見ていた古野原が言う。
「そう、その感じだよー!」
 小川が笑顔で、こちらを見ていた。
 鈴は釣られてほくそ笑む。
「それじゃあ、次は古野原さん、隣で見ていて、結構出来そうな気はするけど、どうだろう」
「言ってくれるじゃん! おい、小川! あたし本気で投げるから、受け取れよ」
「はいはい」
 鼻で笑って、小川はグローブを構えた。
 そして、飛んできた球を見て、咄嗟に身構えた。
 パァン!
 気味の良い音を立てて、古野原の投げた球が、小川のグローブに収まっていた。
「す、すご……」
 鈴と、一部始終を見ていた周りの生徒がざわつく。
「……こりゃ、ウチも負けてられないね! 古野原さん、ウチも本気で投げるからさ、やばいと思ったら逃げて良いから」
「おっしゃ、たまにはこういうのも良いな」
 構えた古野原。投げる小川。
「うおっ!?」
 驚きの声を上げながら、古野原はボールをキャッチした。
「どう? ウチの……」
「小川、すげえな!」
 古野原が笑顔で言う。
「え?」
「やっぱ素人じゃ経験者には勝てないわ、それに、こんだけ出来るんならお前女子ソフトボール部に入ったらいいんじゃねーの?」
「え、ええっと……」
 古野原の反応が予想と違ったのか、困惑した顔をする小川だった。
「んじゃ、次はあたし……」
 ここで、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あー、良いとこだったのによ」
 不機嫌そうな顔をして、グローブを外す古野原だった。
「ちょ、ちょっと古野原さん?」
 慌てて、小川が古野原の元へと駆け寄ってくる。何事かとそれに続く瀬尾、それを見て、鈴も近寄った。
「手、大丈夫?」
 小川が聞く。
「ん? あー、痺れた」
 そう言って、球を受け止めた方の掌を差し出す。少しだけ赤くなっていた。
「やっぱり、こんな安っぽいグローブじゃこうなるか……ご、ごめんね、まさか本当に受け止めると思わなくて」
 そう言って頭を下げる小川。
「……お前、あたしのこと嫌いんじゃないのか?」
「えっ……」
 小川が驚きの表情を見せる、鈴も驚いていた。馬鹿正直に聞くとは思っていなかったから。
「……確かに、色々と突っかかってきて好きではないけど」
 小川ははぐらかすように言う。
「それなのになんで謝るんだよ? あたしは怪我してないし」
「そうは言ったって、ムキになって本気になったウチが悪い! 喧嘩とは違うし、こういうときは素直に謝るから!」
「……」
 古野原は目線を泳がせ、そして頬を掻いた。
「あたしも色々言い方悪かったし……今までのことは謝る、ごめん」
「こ、こっちこそ!」
「ただまぁ、あたしが言えたギリじゃないけど、瀬尾のことちゃんと考えてるなら、もう少し勉強の教え方は変えた方が良いと思うぞ」
「うっ……」
「さっきの投げ方の説明みたく、実際にやって見せて、って手順を踏んだりとかな」
「えっ?」
 小川がきょとんとした顔をする。
「ほら、行くぞ、鈴」
 鈴は歩き出した古野原の背中を、慌てて追った。
「す、すごいね古野原さん、あんな速い球投げて、しかも受け止められるなんて」
「スポーツはそれなりに出来る方だと思ってるけど……」
 そう言いながら、古野原は左の掌を擦っていた。
「どうしたの?」
「いや、さっきまでは大したことなかったんだけど、今更ちょっと痛いわ」
「えっ!? 保健室に寄ろうか?」
「そこまでじゃないな、さっさと着替えようぜ」
 そうして、更衣室で着替えを終え、ホームルームが終わり、帰ろうとした頃。
「古野原さん!」
「ん?」
早歩きで、小川が古野原に近づいてきた。
「これ」
「あ? なんだこれ、湿布?」
 小川が、湿布を一枚古野原に突きだした。
「念の為にと思って、保健室で貰ってきた」
「……いや、そのな」
 古野原が少し後ろに下がる。
「貼っておいた方が良いよ!」
 負けじと、小川が一歩前に歩いた。
「いや、顔面に近づけられると臭いっていうか」
「あっ」
 慌てて、小川が湿布を下げる。
「と、とにかく! 貼ってあげるから手をだして!」
「おー、おー、顔真っ赤だぞお前」
「うるさい!」
 煽る古野原と、唸る小川だった。
 鈴は、そんな二人を呆気に取られて見ていると、つんつんと肩を突かれた。
 誰かと思って目を遣ると、瀬尾が居た。
「三智子さんはああいう人なんですよ。ちょっと偏った考えを持ってるけど、素直なんです」
「えっと……いきなり、どうして?」
「あぁ、私と三智子さんは幼稚園時代からの幼馴染でして」
 どうしてそんな話をしてくるのかと聞いたつもりだったのだが、伝わってないようだった。
「三智子さんはとても不器用なんです。だから熱くなると冷めるのに時間が掛かってしまったり、見た目だけで人を判断してしまったり」
 不器用という言葉に、鈴は反応した。
「でも、悪くない人だと分かれば、ああなるんですよ」
 見れば、古野原の手に、小川が一生懸命湿布を貼っていた。
「もー! 動かないでよ! またずれたじゃないか!」
「くすぐったいんだよ、ちょっとくらい不格好でもいいじゃんか、何度も貼り直しやがって、つか声のボリューム下げろ、うるさい」
 言い合いをする二人。しかし気のせいか、前のような険悪さはなくなっていた。
「こんな形でわかり合えるとは思っていませんでしたけど」
 そう言って微笑む瀬尾。
 なんだか、自分だけが取り残された様な気がして、鈴は俯き、スカートの裾を握った。
「よろしければ、放課後一緒に遊びませんか?」
「え?」
 思いもしない言葉に、顔を上げる。
「一人より二人、二人より三人、そして四人。最後は全員」
「それって、どういう?」
「母の言葉です。それもありますが、秋山さんから古野原さんを遠ざけてしまったら、駄目ですもの」
「わ、私ってそんなに古野原さんと以外仲良くないように見えますか……?」
「えっと……そういうことではなくて、その……私もこのまま三智子さんが古野原さんと仲良くなって、置いて行かれたくないですし……とにかく、私達は今まで通り、着いていけば良いんだと思います」
 この言葉で、鈴は境遇はどうあれ、瀬尾は同じ立場なのだと理解した。
 支えられて生きる側の人間。
「お二人とも、お話が……‥」
 瀬尾が割って入って、放課後のことを伝えた。
「え? 遊ぶって……四人で?」
 小川が古野原と鈴を交互に見ながら言う。
「はい、親睦会とでも言いましょうか」
「……そんなこと言って、また美香は勉強サボる気でしょ?」
「え、ええと……」
 ちらりと鈴の方を見る瀬尾、目が合った。
「あ、秋山さんの提案で」
「鈴が!?」
 自分よりも先に、古野原が驚いていた。
「いや、それは無理があるだろ……鈴の事はこの中で一番あたしが知ってるけど、そんなことを自分から言い出せるほど気が強くねーし」
「うぅ……」
 ばっさりと言われて、鈴は萎んだ。
「ちょっと古野原さん、秋山さん落ち込んじゃったじゃん!」
「大丈夫だって、最近は打たれ強くなって、すぐに立ち直るから、な? 鈴」
「……う、うん」
 確かに、古野原に言われただけなら、ある程度耐性はついていた。
「鈴?」
 けれども、誰かの前で弄られると言う事に、慣れていなかった。
「な、なんでもないよ?」
 口ではそう言ったものの、鈴は咄嗟にそっぽを向いてしまった。
「ほら、すぐに謝りなよ古野原さん!」
「言われなくても謝るって……その、あのさ、いつものノリで言っちゃったけど、人前でそういうこと言われると嫌だったよな? 悪かったよ、ごめんな」
「……」
 鈴は顔を見えないように隠して、頷いた。
 とても胸がざわついた。
「また、別の機会にしましょうか?」
「う、うん」
「そうだな……」
「だ、大丈夫!」
 鈴は顔を上げていった。
「三人で遊んできて、私はこの後買い物あるから!」
 そう言って、鈴はスクールバックを掴むと、駆け足で教室を出た。
「あっ、鈴! 待てよ!」
 そんな声が聞こえたが、鈴は無視して走る。
 教師に見つからなかったため、下駄箱まですぐに着いた。
 靴を履き替えると、またダッシュ。
 目的地のスーパーまで走りだした。
「はぁっ……はぁっ……」
 だが、途中で、色々と無理だと思った鈴は、歩いて家に直帰した。
 鍵を開けて、バックを放り投げて、ベッドから掛け布団を引っ張って、それにくるまった。
「駄目だ、私。何も変わってない……」
 鈴は声を押し殺して泣いた。
 それは古野原に弱いところを指摘されたからでは無かった。
 疎外感。
 つい数時間前まではただのクラスメイトだった前の二人が、古野原と仲良くなり始めていた。
 なのに、自分はどうだろう?
 周りに話を合わせることも出来ず、居るだけの存在。お荷物だった。
 それが嫌で嫌で、鈴は仕方がなかった。そして、古野原が遠くへ行ってしまうかも知れないという不安。虐められていた過去。
 全ての負が連鎖して、鈴にのし掛かった。
「うぁぁ……」
 枕を抱きしめて、泣く。
 そんな時だった。
 咄嗟に、誰かに後ろから抱きしめられた。
 そういえば、家に入った際に、鍵を閉め忘れていた。
 強盗?
 パニックになった鈴は、振りほどこうと暴れる。
「離してください!」
 しかし、非力な鈴は、逃げ出すことが出来なかった。
「落ち着け、落ち着けって!」
 聞き覚えのある声だと、鈴は気が付いた。
「あたしだよ、落ち着けって」
 古野原の声だった。
「あぅ……なんで?」
 泣きながら、鈴は言う。
「良いから、泣きたいだけ泣け、あたしには……お前の気持ちが分からないから、こうしてやるくらいしか出来ないし……」
 古野原の手に、力が少しこもった。
 鈴は、枕に顔を押しつけて泣いた。
「少しは落ち着いたか?」
「……うん」
 鈴は、枕から顔を離した。
 枕カバーが涙と鼻水でぐしょぐしょだった。
「ごめんな、傷付けちまったのは間違えないんだけど、あたしの言葉が全部の原因じゃないってのは分かる、けど、それ以外が分からねー……」
「古野原さんはさ」
「どうした?」
「自分だけ、一人だけ、取り残されたら、どう思う?」
「……そういうことか」
 今の一言で、分かったというのだろうか?
「あたし以外の友達、居た方が良いと思ったけど、無理は良くないよな、だったら……」
「何も分かってないよ!」
 古野原は分かっていなかった。
「私だって、友達は多い方が良いと思うよ、けれど、それは、自分の力で見つけて!」
「どうやって、見つけるんだよ」
 怒ったような声で言うので、鈴はビクリと肩を振るわせた。
「あたしが話掛けなかったら、鈴は誰とも仲良くなれなかったんだぞ」
「そんなこと……」
 無いとは言い切れなかった。
「でも、紹介された友達って、壁があるでしょ?」
 鈴は話を逸らす。
「だから私は、一人でも友達居れば、それで良いの」
「……」
 沈黙。
「鈴」
一声掛けられた後、再び抱きしめられた。
 痛いと思えるほどに強い力で。
「お前のこと分かったつもりでいて、全然分かってなかったあたしだけど、またお前のこと分かった。お前は一人じゃ出来ないようなことを、一人でやろうとする馬鹿なんだよ。だからあたしが手を貸す。壁だって、肩車すれば乗り越えられる」
「そんなことしたら、今度は古野原さんが取り残されるよ……」
「あたしは壁なんかささっと登れるし、いざとなったら不良っぽく壁を壊してやるよ」
 そこまで言って、今度は優しく抱きしめた。
「だからさ、最初から居て当たり前の存在になろうとしなくて良いんだって、あたしが引っ張ってやるから、最初は付いてくれば良い」

 支えられる側の人間。

 瀬尾の、そんな一言を思い出した。
「こ、古野原さん、私、私……」
「ま、また泣くのかよ」
「ごめんね、辛いとか、悲しいとかじゃないの、分かんないけど、泣きたくて……」
 そう言うと、今度は小さく声を上げて、ポロポロと涙を流した。
「難しいな、お前」
 そう言う古野原の顔は、見えないけれども微笑んで居るのだろうと、鈴は思った。
 そうして、数分。
「どうだ? 今度こそ落ち着いたか?」
「……うん」
 鈴がそう言うと、すっと、ハンカチを渡された。
「見なくても分かる、今のお前の顔はめちゃくちゃやばい」
 鈴はそれを受け取ると、目元を拭った。
「なんで、私の部屋に?」
「買い物に行くって逃げ方じゃなかったし、それでドアの前に来てみたら泣いてる声が聞こえてよ、思わずドアノブ回したら開いて、なし崩し的に……」
「そうだったんだ」
「お前、戸締まりしっかりしろよ、女の一人暮らしなんだから」
「ご、ごめん」
「いや……お前は悪くないな、本当にいっぱいいっぱいで、そんな余裕もなかったって所か」
 やがて、涙を拭った鈴は、古野原の方を向いた。
「ありがとう」
 鈴は泣きはらした顔で微笑んだ。
「……お前」
 鈴は眼鏡を外したままだったので、古野原の顔がぼやけて見えた。
「……面白いこと考えた」
「え?」
 ぼやけていても、古野原が意地悪な顔をしているのがわかった。
「私服漁らせろ」
「ちょ、ちょっと古野原さん!?」
 慌てて鈴は眼鏡を掛ける。
「確かに地味な服ばっかりだけど……これなら騙せるかもな、鈴!」
 企んだ笑みをする古野原。
「だ、騙す?」
「ん~、今は六月だし、これはちょっと蒸し暑いな……とりあえずスカートはこれで、上着は、これとこれだな」
 そう言って、古野原は鈴に服を手渡した。
「お前これに着替えろ」
「えぇ!? いきなりすぎて何が何だか……」
「いいから着替えろって! 時間もあるんだ」
 ずいずいと攻めてくる古野原に押されて、鈴はブレザーを脱いだ。
 そうして、ワイシャツの第一ボタンに手を掛ける。
「あの、古野原さん」
「なんだ?」
 じっと見てくる古野原を見て、鈴が言った。
「恥ずかしいから、あまり見ないで欲しいんだけど……」
「ん? 別に体育の時、普通に着替えるじゃん」
「そういうのじゃなくて、二人で、しかもじっと見られたら、恥ずかしいから……」
 胸の前で手をモジモジとさせる鈴だった。
「んじゃ後ろ向いてるから、さっさと着替えろ」
「う、うん」
 古野原が後ろを向くのと同時に、鈴は着替えを始めた。
「もう大丈夫だよ」
 鈴が言うと、古野原はくるりと振り返った。
「地味だな」
 茶色のロングスカート、上着は白のシャツに、薄い黒のセーター。
「重ね着しようとしたらそれしかなかったんだけど、暑くないか?」
「大丈夫だけど、地味って、古野原さんが選んだのに」
 ふて腐れた顔をする鈴。
「まぁ今は地味で暗いな、でもすぐに印象を変える」
 そう言って、古野原はヘアピンを手に取った。
 以前、渋谷で古野原に買って貰ったものだった。
「テーブルの上にあったから、使うぜ? 服に似合わない色だけど、多分大丈夫だから」
 そう言って、ヘアピンを付ける。
「……それで、このあとどうするの?」
 やはり感じる、前髪がない違和感に額を触りながら鈴が言う。
「ちょっと出掛ける」
「はぁ……」
 鈴は大きく溜息を吐いた。
「これじゃあ引っ張るって言うより、振り回してるよ」
「なんだって? ……ならそれでもいい、ついて来い。荷物は無し。携帯と財布だけ持て」
 何を言っても無駄だと思った鈴は、古野原に従い、家を出た。
 そうして、駅前までやってくる。
「よし鈴、眼鏡を外せ」
「え?」
 きょとんとした顔をすると、隙を突くように古野原が鈴の眼鏡を取った。
「ちょ、ちょっと古野原さん!」
「なんだ?」
「私、裸眼の視力すごく低いから、この状態で歩くのはちょっと……」
「そんなになのか?」
 古野原は鈴の眼鏡を掛けてみた。
「うえっ!? なんだこれ!?」
 すぐに眼鏡を外した。
「こんなの付けてたら吐くわ!」
 そう言って、古野原は眼鏡を畳んだ。
「あたしの顔もぼんやりって感じか?」
「うん」
「これは何本だ?」
 そう言って、古野原は一差し指を立てた。
「視力いい人ってよくそれやるよね……一本、さすがにそれくらい見えるよ」
「でも、歩くのは怖いと」
「実際、小さい段差とか見落とすし、転ぶかもしれないから」
「それじゃ、あたしの腕に掴まれよ」
「え?」
「手を引いて歩くのも怖いだろ? がっしり捕まってれば、転ぶ心配も無いだろうし」
 プリクラの時でさえ恥ずかしいと思ったのに、人の居る場所でそんなことをするなんて……。
「無理だってんなら、あたしが腕に掴まって歩くけど?」
「諦めて掴まる……」
 鈴はぎゅっと、古野原の左手に腕を絡めた。
「これ歩き辛いな……」
 いつもより遅いペースで古野原と鈴は歩いた。
「ま、目的地はすぐそこだし良いか」
 横断歩道を渡って、少し歩いたところで歩みを止めた。
「こっからは室内だから、手を繋ぐだけで良いか?」
「う、うん」
 鈴が言うと、カランカランと鐘が鳴って、ドアが開かれた。
 微かな紅茶の香りが、鼻腔をくすぐる。
 駅前の喫茶店だと、鈴は気が付いた。
「鈴、あたしが良いって言うまで、しゃべるなよ?」
「うん?」
 鈴は疑問に思いながらも、頷いた。
「えっと……居た、おーい」
 古野原に引っ張られて、鈴は歩いた。
 古野原の進む先に誰かが居るのは分かったが、それ以上のことは分からなかった。
「あ、本当に来たんだ! 古野原さん」
「……あら?」
 ものすごく聞き覚えのある声、しかし、古野原の指示通り、鈴は黙る。
 視線は痛いほど感じたので、右手を口元にやって、目線を逸らした。
「か、可愛い人だね……」
「だろ?」
「えっと? 秋山さん、ですよね?」
「なんでそう思うんだよ?」
「え、えぇと……髪の長さが同じくらいなので……」
 おっとりとした声、しかし戸惑っていた。
「話が違うじゃんか! 古野原さん、秋山さんを連れてくるって!」
「いやさ、会えたんだけど……その、すごくへこんでて一人にしてくれって言うからさ」
 そう思って逃げたが、そう言ってはいなかった。
「だから代わりに、双子の妹さんの方連れてきたんだよ」
「っ!?」
 さすがの鈴もびっくりして、声を上げそうになった。
「え? 秋山さんって双子だったの?」
「そうだぜ、別々の高校に通ってて、こいつの名前は鐘(かね)って言うんだ」
 ぼんやりとしか見えないが、目の前の二人がものすごく動揺しているのが伝わった。
 それと同時に、何故だか笑みが溢れた。
「あ、その、えっと……初めまして」
「は、初めまして」
 そこまで言われて、鈴はクスクスと笑ってしまった。
「あっはっはっは!」
 古野原は、爆笑していた。
「それじゃこれ眼鏡、それで、喋って構わないぞ」
 鈴は渡された眼鏡を付ける。
 テーブル席に、小川と瀬尾が座っていた。
「初めまして、小川さん、瀬尾さん」
 古野原の真似をして、意地悪に乗ってみた。
「え? 秋山鈴さんだよね? 双子だと声も似るの?」
「わ、私もそういうのに詳しくないので……」
 テンパる二人。
「いや、こいつは鈴だけど?」
「そうですよ、私は鈴です。二人の知っている秋山ですよ」
 小川と瀬尾は顔を見合わせる。
「だ、騙したな!」
 小川が立ち上がった。
「あはははっ、もしかしたらとやってみたが、想像以上だわ、めっちゃ面白かった!」
 そう言って、古野原は笑いながら席に着いた。鈴も席に座る。
「それにしても、前髪がないだけでこんなにも印象が変わるのですね」
「その上眼鏡まで取って、こんなイタズラするのは、古野原さんだね」
「その通りだ」
 古野原が胸を張る。
「でも、すごいね秋山さん。可愛い、ってか美人!」
「そのような綺麗な顔を前髪で隠すなんて、勿体ないですよ」
「え、でも私、顔はあんまりって、よく言われてたんですけど……」
「そんなの可愛く無い奴の僻みだって! 勿体ないから、もう前髪切っちゃいなよ!」
 恥ずかしくて、鈴は視線を逸らす。
「眼鏡も勿体ないですよ、コンタクトに変えてみたらいかがですか?」
「えぇっ!? なんだかそういうの怖いですよ」
「大丈夫です、私もコンタクトですから」
「え? そうだったんですか?」
 鈴が言うと、小川が瀬尾の肩を叩きながら。
「そうなんだよ、美香は小学校の頃から眼鏡付けててさ、中学二年からコンタクトに変えたんだけど」
「最初は怖かったですけど、慣れました」
「いや、でも秋山さんはこのまま眼鏡もありじゃない? これで読書とかしてたら、絶対良いって!」
 一応本は読んでいるが、それは黙ってることにした。
「それにしても、そのヘアピンは大胆だね、古野原さんのイメージに合わなくて、それが騙された理由の一つだったかも」
「それは、どちらで購入されたのですか?」
「え、えっとですね……」
「前に渋谷に二人で遊びに行ったときに、あたしが買ってやったんだよ」
 フォローするように、古野原が話し始めた。
 ここで鈴は、はっとした。
いつの間にか、話の中心が自分になっていることに。
「んで、こいつは渋谷初めてで、怖いよ~って言ってついてきたんだよ」
「無理矢理連れてったら駄目ですよ」
「いえ、無理について行った訳じゃないです。とっても楽しかったし」
 ここで、店員が二人に飲み物の注文を伺ってきた。
「あー、何にしようかな、鈴は?」
「……オレンジジュースとか、駄目かな?」
「んじゃあたしもそれ」
 店員に言うと、四人は談笑を始めた。
「オレンジジュースって、子供っぽいな鈴は」
「うぅ、だってコーヒーは苦くて飲めないから」
 頬を赤らめ、古野原から目線を逸らす鈴、しかし、その先には小川が居た。
「背も低いし、こりゃもう完璧、秋山さんは妹キャラだね!」
「えぇっ!?」
 驚いて鈴が声を上げる。
「私も妹が居ますが、もっと生意気な口を利きますよ?」
 瀬尾が言う。
「そりゃ実際の妹はそんな感じだろうけど、けど、秋山さんは妹キャラだって」
 なんだか楽しそうな顔で、二人がこちらを見ていた。
 いつもの癖で目線を逸らしそうになったが、鈴はぐっと堪えた。
「えっと、私その……」
 なんとか答えねばと、しどろもどろになりながら鈴が言う。
「おい小川、鈴が困ってるじゃんかよー」
「えっ? あたしのせいなの?」
「でも確かに鈴は妹みたいな存在かもな、あたしにとって」
「ん?」
 小川がその一言に食い付いた。
「それってどういう意味!?」
「なっ……遊んだ時に思っただけだよ、ほっといたら駄目そうな・・・・・・そんな風に思っただけ、てか小川、顔近いって」
 古野原が言うと、小川は少し離れた。
「んーでも良いなぁ、美香はどちらかって言うとお嬢様だし、秋山さんともっと仲良くなって妹成分補給しようかな?」
 そう言って笑う小川。
「い、妹ってそんな……えぇ!?」
 鈴は驚いて声を上げる。
「ほら、三智子さん、程ほどに、古野原さんにも言われたばかりでしょう?」
「あ、そうだね、ごめん秋山さん、ちょっと興奮しちゃって」
 そう言って小川は大人しくなった。
 そうしてすぐに、店員がオレンジジュースを二つ持ってきた。
「さてと、これで良いよな?」
 なんのことか分からない鈴は首を傾げる。
「「秋山さん」」
 瀬尾と小川が、同時に声を掛けてきて、そして言った。
「私とお友達になってください」
「ウチと友達になって!」
 唐突な二人の発言に、鈴は少しの間思考停止した。
「え? 友達って……えっ!?」
「言葉の通りだよ鈴」
 鈴の肩に、古野原は手を乗せた。
「初対面の時に何も言わず悪かったけど、でも友達になりたくて!」
「駄目……でしょうか?」
「……」
 鈴は黙り込む。
「そういうのは、ちょっと(違うと思います)
 鈴が言った。
「友達って言うのは、その、なんていうか、あの、お願いしてなるんじゃなくて、自然になるものだと思うんです」
 鈴はにっこり笑った。
「だから、私にとって小川さんと瀬尾さんはもう友達ですよ」
「そ、そう来たか」
 隣に居る古野原が言った。
「あ、秋山さんかっこいいね」
 小川が言う。
「か、かっこいい、ですか?」
「うん、そんな台詞をさらっと言えるなんて、かっこいいなって」
「いや、私は自分の考えを言っただけで、そういうつもりじゃ……」
 わたわたした後、鈴はジュースを口に含んだ。
「そいじゃこれで仲良しだな」
 古野原が安心した様な顔で言った。
「今度はウチ達とも遊ぼう?」
「だ、大歓迎です! でも……」
「でも?」
 小川が首を傾げる。
「私今まで遊んだこととか殆どなくて、どうやって遊べば良いのかとか、わからなくて……」
「そんなの簡単だって、こうやって一緒に喫茶店で話したり、一緒に何処かに出掛ければ良いだけなんだから!」
「わからない事あったらお教えしますので」
 二人の気持ちは、鈴にとても伝わった。
「……ぐすっ」
 鈴が静かに泣き出した。
「ど、どうした鈴!?」
 急に泣き出したことにびっくりして、古野原が声を掛けた。
「じゅ、純粋に嬉しくて……」
「そ、そんな大袈裟なことじゃないって!」
「三智子さん、それは貴女にとってで、彼女にとってではないですよ?」
 瀬尾が言った。
「秋山さんの気持ちを、私達はまだまだ知りません。ですから、これからもっと親睦を深めて、そうしてから改めて言うべきです」
「そ、そうだね。秋山さんごめん」
「そ、そんな謝らなくて大丈夫ですよ。友達が増えたことが、本当に嬉しくて」
 涙を拭いながら鈴は言った。
「まぁ、これで仲良し組の結成か?」
「うん!」
 鈴が率先して、それに賛同した。
「改めてこれからよろしくね、秋山さん」
「お願いします」
 そんなやり取りをした後、四人は談笑した。
 そうしてしばらくして。
「あら、もうこんなお時間ですか」
「ん? なんかあるのか?」
「美香はお嬢様だからね、稽古とかあるんだよ、今日はピアノだっけ?」
「そうですね」
「じゃあ、今日はこれで解散。後日また遊ぶって感じにするか」
「そうだね、それじゃあお会計済ませようか」
 そう言って四人は席を立ち、会計を済ませた。
「それじゃ、またね!」
「はい、また明日」
 鈴はそう言って、去って行く瀬尾と小川の背に手を振った。
「さて・・・‥あたしはもう少し鈴の家に行っても良いか?」
 いつもと違って、少し困った表情で古野原が聞いてきた。
「い、良いよ?」
 何かあるのだろうか? そう考えつつ鈴は了承した。
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