大好きな母と縁を切りました。

むう子

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第二章

20話

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「夜市なんて久しぶりだわ♪」

"賑わってるわね~。さー色んなものを食べるわよ!"

私は、お母様に伝えると反対するなり一緒に来ると言いだしそうでシャンドラにだけ夜市に出ることを伝え、わたしが外に出たら外から部屋の鍵を閉めて貰うことにした。


「ねえ!またあのチーズ入りソーセージ食べましょう」
ティエラ今日はいつものツインテールじゃなく私に合わせて大人っぽい感じで後ろで綺麗に結ってある。
いつもより大人っぽいのに食べ物を見ると目がキラキラするティエラにギャップを感じて凄く可愛いなあと自然と笑顔になる。

「ふふ。じゃあ並びましょう♪」

いつもより賑わっている街は人で沢山で流行りのチーズ入りソーセージは軽い列が出来ていた。

「そこのお嬢さん、チーズ入りソーセージを買うためにお並びですか?」

後ろから聞き覚えのある声に振り向くと仮面を付けた男の人が2人。   

「ルークね!!ってことは……その隣はウィン!?」

「はは、やっぱりすぐバレたか」

「当たり前じゃない♪」

ウィンは予想通り童顔で笑顔の似合う元気そうな好青年なイケメン顔。黄緑の毛先は跳ねているのがなんとも可愛い母性をくすぐらせる感じだった。

「ナーシャとデート中なのにこんな所でウィンと会うなんてがっかり~」
ティエラはわざとらしくがっかりする。

「ティエラ、君が僕たちに話があるって夜市に誘ったんだろ~?」
ウィンは困ったようにティエラをなだめようとする。
ウィンはティエラがわざと言ってるって分かってない。
ふふふ、ソランとティエラとウィンはほんとに仲良いなっ。

「ナーシャ、久しぶりだね。ウィンから聞いたよ。少しだけ家族内のことも…今はもう大丈夫かい」

「う、うん。シャ……お義父様とはまだぎこちないけど修復してしてるわ。」

「無理せずなんでも僕らになんでも言うんだよ?」

「ふふ、ありがとう。それでね……私ルークからリーつの高め方を教えて貰いたいの。ルークも騎士になって忙しいだろうし無理言ってるのは承知なんだけどどうしても力が必要で……」

「もちろんだよ。ウィンから聞いて僕、二・三ヶ月暇を貰ったんだ。だから何時でも一緒に修行できるよ」

「ルーク……お父様に怒られなかったの?」

「はは、ちょっとだけね。でもいつもの事だから気にしないで。ほら、父は頑固っぽいでだろ?僕とはちょっとタイプが違うからね(笑)」

「そんな…そこまでして…」

「大丈夫だよ。それにボリス?だっけ、そんなのと契約した者が現れるってことは、皇帝ですら操れてしまうってことだろう。そんなことになったら……。これはナーシャだけで抱える問題じゃない。」

「……うん。ルーク…本当にありがとう」

「まあ今日はせっかくの夜市だし、この話はまた後日。今日は楽しもう♪」

「そうね♪」

「あ、ナーシャ、あそこにマカロンがある!ソランにお土産渡してくるわ。ほら、ウィンも一緒に行きましょ!」

「「え、今!?」」 
びっくりしてウィンと私の声が重なる。

「今よ!ウィンも久しぶりにソランに会いたいでしょう?行くわよ。」


ウィンはソランよりナーシャと話したいよ~なんて喚きながらティエラに引っ張られ走って消えていった。

「まさかウィン達がどこかへ行っちゃうなんてね」

「ふふ。本当ね、急に消えちゃうんだから……」

「まあ、僕はナーシャと2人で夜市を歩けて嬉しいけどね」

それって……どういう意味!?
何かの勘違いじゃないかと少し照れそうになるのを誤魔化し
「あ、あそこにティエラの好きそうな……ッッッ」と焦って人混みの中振り向いたせいで歩いてる人の足に躓きそうになり倒れると思った瞬間ルークに片手でお腹を支えられた。

「ナーシャ、焦りすぎだよ。人が多いんだからゆっくり歩こう」

ルークはお腹に回していた手を解き自然な流れで手を繋ぐ。
恥ずかしくて顔が真っ赤になり下を向く私に
「あの出店かな?行こう」
と前を歩いてゆくのルークの方をそっと見上げるとルークの耳が真っ赤に染まっているのを心が和らいでゆく。

「ええ」

「これ、懐かしいよな!ジェノシーにもあったよね」
色んな色のバラに水滴のように見える水晶がたくさんついて冠になっている。
ジェノシーではそのバラが枯れると水晶は外れる。それを小瓶に入れてアロマを垂らして飾っていた。


「ふふ。カトセルーラにもあったんだね」

「だね、ナーシャ。頭を下げて」

「まあ、白いバラ?とっても綺麗だわ」

「ナーシャに白が似合うかなって。おっダンスが始まったよ。踊ろう」

「ええ♪」

エスコートしてくれるルークに手を引かれダンスを踊る。
音楽が鳴り止み無意識に見つめ合い無意識にギュッとハグをした。

「ナーシャ。久しぶりに会ったあの日からずっと君の顔を忘れられなかったよ……。っまだ婚約しているキミに言うつもりは無かったんだ。ごめんよ。無意識だった……。」

「ルークッ……」

"ナーシャ!探したわ~。そろそろ帰らないと時間よ"

ティエラとウィンは私たちを見てたのかすごくニヤニヤして戻ってきた。

「えっもうそんな時間?ごめんねルーク。私たち実はお母さまに内緒で来てるの」

「え、ナーシャが夫人に内緒?いや。今は時間が無いね…。ウィンと一緒にに送っていくよ。」

「ううん、ティエラもいるし大丈夫よ」

「ちがうよ。ナーシャ送らせて欲しいんだよ」

"私、先に帰ってようかしら"

"ティエラ!からかわないで"

顔が真っ赤になる私にティエラは嬉しそうに冗談よ。とニヤニヤしている。

「ありがとうルーク。じゃあ一緒に」
私たちは微笑み、人気のないところまで歩いてウィンとティエラに乗ってみんなでワイワイ話しながら家まで帰り、ルークに今日の事にお礼をいい別れた。


静かに玄関から入るとシャンドラが書斎から出てきてこっちを向いてしーっと人差し指を口元に当て、鍵を開けてレティシャとお母さまの元へ向かって行った。

その間にさっと部屋に入り、つけていたバラのドレッサーに置き、机の方を向くとお母さまと買い物したフワフワのドレスがたくさん置いてあった。
けれどなぜだか綺麗系なドレスがひとつも無い……。


その横にラッピングされた箱が置いてあった。

"ナーシャのお母さまからプレゼント?"

「えっと……外鍵を閉めてもらったからきっとシャンドラが置いたんだと思う…」

"開けてみないの?"

「う……ん、ちょっとびっくりしちゃって…。今開けるね」

黒いレースがアクセントになった真っ赤なドレスにパールが沢山付いた金色んなのネックレスにパールイヤリング

……シャンドラはお母さまがどこかに隠したのを分かっててそっと用意してくれたの?

"すっごい綺麗じゃない。ナーシャにきっと似合うわ。シャンドラもやるわね~反省の色がよく分かるじゃない"

「そうね……。でもお母さまと買いに行った時に綺麗めのドレスも何着か購入したはずなの……。何故ここにないのかしら……」

"シャンドラがプレゼントしたかったから?"

「分からない…」

"こんなこと言いたくないけど…キッチンに大量のドレスが破り捨ててあったみたいよ。メイドたちが大騒ぎしてたわ 。"

「そう……。ドレスに罪はないのにね……」


信じ難いけど今のシャンドラはあんなことをしそうには見えない…。

だとしたらお母さまがやった……?
フワフワのドレスを推してたから?
ううん……お母様はさすがにものを粗末にするような人じゃない。と信じたいけれどあの日からのお母さまの違和感と辻褄が合ってしまう。

シャンドラが落ち着いたと思ったらつぎはお母さまが……
もう理解が追いつかない……。

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