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第二章 現代編(白亜の洋館)
13 山県組総長
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翌々日、クラブ"グランデ"で飲んでいると、春美が真っ青な顔で駆け寄って来た。
「森下会長さん、大変よ」
春美の直ぐ後ろから黒服の一見してヤクザと判る二人の男が姿を見せ。
「森下と言うのはお前か?」
威圧のある声で呼ばれた隆之は事情が解らないまま、
「私が森下ですが、何か?」
二人の黒服は隆之をじっと睨むと
「内の総長が、お前に話があるらしい。この店で都合が悪ければ別の場所にすると総長は仰っていたが?」
「春美ママ、迷惑で無ければここを使わせて貰って良いかな?」
唯ならない雰囲気に春美は顔面蒼白ながら
「えぇ、構わないけど、他のお客様にご迷惑を、お掛けしないと約束してください」
二人の黒服に、気丈に応える。
「内の総長が、素人さんに迷惑を掛けるような事などするはずないだろう。直ぐにお連れするから待っていろ」
二人が店外に立ち去ると、春美は直ぐに手の空いたホステス達に席の準備を指示し、他のお客達の席を回って頭を下げていたので、ヤクザが店を訪れた事を伝えているのだろう。暫くすると、先程の黒服と違いどこか威厳のある男が姿を見せると、春美はその男を知っていたようで
「黒沢様、お久し振りです。黒沢様がご一緒と言うことは」
「春美ママ、素人さんへの口の訊き方を知らない、奴らで申し訳ない」
春美が男にお辞儀をしていると、4人の黒服に囲まれる恰幅の良い男を席に案内した。
「総長、前にクラブ"花"でお会いして以来、一度も私の店に顔を出して頂けないので、嫌われたのかと心配していましたのよ。それで、今日はどのようなご用件で?」
「黒沢が今日は森下会長が"グランデ"を利用されていると言うので、一言先日のお礼をと思って予告もなく訪れて申し訳ない」
「えっ⁉︎」
「先日、私の娘がお世話になったので」
「何のことでしょうか?」
握手を求められたので応じるも身に覚えがない。
「私の娘がチンピラ学生に強姦されそうになっていたのを助けてくれたのは森下会長で間違い無いですよね。妻に似たのかおっとり型で、他人を疑わないので、何時かこんな事になるのではと心配していたのだが、何れにしても今回は貴方のお陰で娘は無事助かりました」
「はい、どういたしまして」
慣れない相手で隆之は完全に浮き足立っていた。
「森下会長は娘の恩人なのだから、そう緊張しないで欲しいのだが」
「はい、総長さんのような立場の方とお近付きになるのは初めてですから」
緊張している隆之を少しでもリラックスさせようと気を使ってくれたのか、総長の後妻は結婚前、クラブ"花"のチーママで、春美ママとは元同僚で仲が良かったらしい。前妻は子宝に恵まれずガンで亡くなり、後妻との間に出来たのが、先日隆之が助けた少女だった。一人っ子の娘は目に入れても痛くないほど可愛良いなどと家族の話で和めせてくれた。
「森下会長、貴方から見て娘をどうです」
「可愛いお嬢さんだと思います。唯、自宅付近でここで降りますと仰った時の言質には、一本通った意志のよつなモノが、総長さんのお嬢さんだと知り納得しました」
総長は嬉しそうな笑みを浮かべ
「私と言うより妻に似たと思います。花江ママ、春美ママと懇意にされていると聞いていますので、興味が有ればママ達に聞けば妻の事を教えてくれます。それで、森下会長は助け出した娘の姿を見て襲いたいとか思わなかったのか。娘は、下腹部と胸を多分見られていると言っていましたが」
露骨な質問に隆之は答えに困り
「幾ら可愛いお嬢さんでも、経営権を息子に譲り隠居生活を始めた老人には若過ぎて、どうこうするなど考えも浮かびませんでした。まあ、偶々相手が弱かったので、何とか出来ただけですから」
総長は隆之をじっと眺め、
「森下会長が見知らぬ少女に手を出すような蛮行を侵すとは思えないが、それはそうと春美ママが黒沢に相談している件だが、相当ややこしい連中が絡んでいるようで、悪いがもう少し時間をくれないか」
「はい、協力頂けるだけでも感謝しています」
総長は隆之を睨み付け
「しかし、これ以上、春美ママを巻き込むと身に危険が及ぶかもしれない。まあ、森下会長に相当ご執心らしい春美ママが私や森下会長が止めろと言ったところで、止めないだろうな」
後ろを振り返ると春美がドヤ顔で立っている。
「まあ、春美ママから相談を受けた黒沢が調査依頼を受ける代わりとした森下会長との関係を本人から聞き出したから私も知っているが、今時点で関係はまだ世間的には知られていないが、磯辺隆三が絡んでいるとなると、春美ママに危害が加わるかもしれないな」
「老い先短い私ならともかく、春美ママには直ぐにこの件から手を引かせないといけませんね」
「さっきも言ったように、今更説得しても止めるような女じゃない。今は好きなようにさせといた方が良い、娘を助けてくれた恩人の為にも、私が責任を持って春美ママの安全は確保するので安心してくれ。春美ママ、今日は済まなかった!」
総長が席を立ち、四人の黒服と共に店を出ると、残った黒沢さんが
「森下会長、良い情報が入れば連絡を入れる。春美ママの身に何か有れば、総長がどうなるかママは知っているのだから自重してくれよ」
そっと視線を逸らす春美に苦笑いした黒沢さんは会計を、済まし店から立ち去った。
「森下会長さん、大変よ」
春美の直ぐ後ろから黒服の一見してヤクザと判る二人の男が姿を見せ。
「森下と言うのはお前か?」
威圧のある声で呼ばれた隆之は事情が解らないまま、
「私が森下ですが、何か?」
二人の黒服は隆之をじっと睨むと
「内の総長が、お前に話があるらしい。この店で都合が悪ければ別の場所にすると総長は仰っていたが?」
「春美ママ、迷惑で無ければここを使わせて貰って良いかな?」
唯ならない雰囲気に春美は顔面蒼白ながら
「えぇ、構わないけど、他のお客様にご迷惑を、お掛けしないと約束してください」
二人の黒服に、気丈に応える。
「内の総長が、素人さんに迷惑を掛けるような事などするはずないだろう。直ぐにお連れするから待っていろ」
二人が店外に立ち去ると、春美は直ぐに手の空いたホステス達に席の準備を指示し、他のお客達の席を回って頭を下げていたので、ヤクザが店を訪れた事を伝えているのだろう。暫くすると、先程の黒服と違いどこか威厳のある男が姿を見せると、春美はその男を知っていたようで
「黒沢様、お久し振りです。黒沢様がご一緒と言うことは」
「春美ママ、素人さんへの口の訊き方を知らない、奴らで申し訳ない」
春美が男にお辞儀をしていると、4人の黒服に囲まれる恰幅の良い男を席に案内した。
「総長、前にクラブ"花"でお会いして以来、一度も私の店に顔を出して頂けないので、嫌われたのかと心配していましたのよ。それで、今日はどのようなご用件で?」
「黒沢が今日は森下会長が"グランデ"を利用されていると言うので、一言先日のお礼をと思って予告もなく訪れて申し訳ない」
「えっ⁉︎」
「先日、私の娘がお世話になったので」
「何のことでしょうか?」
握手を求められたので応じるも身に覚えがない。
「私の娘がチンピラ学生に強姦されそうになっていたのを助けてくれたのは森下会長で間違い無いですよね。妻に似たのかおっとり型で、他人を疑わないので、何時かこんな事になるのではと心配していたのだが、何れにしても今回は貴方のお陰で娘は無事助かりました」
「はい、どういたしまして」
慣れない相手で隆之は完全に浮き足立っていた。
「森下会長は娘の恩人なのだから、そう緊張しないで欲しいのだが」
「はい、総長さんのような立場の方とお近付きになるのは初めてですから」
緊張している隆之を少しでもリラックスさせようと気を使ってくれたのか、総長の後妻は結婚前、クラブ"花"のチーママで、春美ママとは元同僚で仲が良かったらしい。前妻は子宝に恵まれずガンで亡くなり、後妻との間に出来たのが、先日隆之が助けた少女だった。一人っ子の娘は目に入れても痛くないほど可愛良いなどと家族の話で和めせてくれた。
「森下会長、貴方から見て娘をどうです」
「可愛いお嬢さんだと思います。唯、自宅付近でここで降りますと仰った時の言質には、一本通った意志のよつなモノが、総長さんのお嬢さんだと知り納得しました」
総長は嬉しそうな笑みを浮かべ
「私と言うより妻に似たと思います。花江ママ、春美ママと懇意にされていると聞いていますので、興味が有ればママ達に聞けば妻の事を教えてくれます。それで、森下会長は助け出した娘の姿を見て襲いたいとか思わなかったのか。娘は、下腹部と胸を多分見られていると言っていましたが」
露骨な質問に隆之は答えに困り
「幾ら可愛いお嬢さんでも、経営権を息子に譲り隠居生活を始めた老人には若過ぎて、どうこうするなど考えも浮かびませんでした。まあ、偶々相手が弱かったので、何とか出来ただけですから」
総長は隆之をじっと眺め、
「森下会長が見知らぬ少女に手を出すような蛮行を侵すとは思えないが、それはそうと春美ママが黒沢に相談している件だが、相当ややこしい連中が絡んでいるようで、悪いがもう少し時間をくれないか」
「はい、協力頂けるだけでも感謝しています」
総長は隆之を睨み付け
「しかし、これ以上、春美ママを巻き込むと身に危険が及ぶかもしれない。まあ、森下会長に相当ご執心らしい春美ママが私や森下会長が止めろと言ったところで、止めないだろうな」
後ろを振り返ると春美がドヤ顔で立っている。
「まあ、春美ママから相談を受けた黒沢が調査依頼を受ける代わりとした森下会長との関係を本人から聞き出したから私も知っているが、今時点で関係はまだ世間的には知られていないが、磯辺隆三が絡んでいるとなると、春美ママに危害が加わるかもしれないな」
「老い先短い私ならともかく、春美ママには直ぐにこの件から手を引かせないといけませんね」
「さっきも言ったように、今更説得しても止めるような女じゃない。今は好きなようにさせといた方が良い、娘を助けてくれた恩人の為にも、私が責任を持って春美ママの安全は確保するので安心してくれ。春美ママ、今日は済まなかった!」
総長が席を立ち、四人の黒服と共に店を出ると、残った黒沢さんが
「森下会長、良い情報が入れば連絡を入れる。春美ママの身に何か有れば、総長がどうなるかママは知っているのだから自重してくれよ」
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