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第三章 現代編(春美の才覚)
幕間 春美の参謀
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春美が高級キャバクラチェーンを展開し始めた頃から各店舗で不定期で更新されるショー企画に参加するホステス達。そのホステス達のレッスンに必ず春美は立ち会っていたが、彼女はただ見ているだけでアドバイスの一つも口にした事はなかった。
春美の横には常に眼鏡を掛け、ビジネススーツをビシッと着こなしたスタイル抜群な巨乳女性、ロングヘアーで顔が半分隠れているので年齢ははっきり分からないが、春美と同い年くらいのかなりの美女であることは想像出来た。
巨乳美女はレッスンに励むホステス達に的確なアドバイスを与え、企画の成功に寄与していた。世間的にはチェーン展開から各種イベント企画は全て春美の才覚と評価されているが、従業員やホステス達は高級キャバクラチェーンの成功の裏には春美の参謀的存在である巨乳美女が大きく関係している事に、薄々ながら気付いていた。
ただ、不思議な事に高級キャバクラ店舗には必ず春美とともに姿を見せる巨乳美女だが、"グランデ"などの高級クラブを春美が訪れる時には一度として同行した事は無かった。
その神秘に包まれた巨乳美女、嘗て春美と花江ママを逆恨みし、敵対行為を繰り返した上に、日本電池の広末専務の手先となって隆之を取り込もうとして、逆に拉致され改心した後に解放された寺崎里美であった。
高級クラブとして存続が難しくなった"里"をヤングクラブとして再生した企画力に目を付けた隆之に説得され春美の参謀となった里美、高級クラブ経営者として挫折を経験した彼女は、高級クラブに顔を出すのだけは強硬に嫌がっていたが、"グランデ"の経営にも大きく貢献していた。彼女の肩書は、"グランデ"グループ経営企画室長である。
そして、もう一人の参謀が日潟小百合である。広末専務と山野専務の森下製作所乗っ取り計画を阻止した際に、山野を取締役に引上げた経営者責任を追及し子会社社長に長男を更迭した隆之が取締役経理部長のポストを用意するが、それを拒否した小百合は現在"グランデ"グループ経理担当常務執行役員となってグループ全体の経理を取り纏めている。
春美と里美の2人は隆之の愛人で、互いに妊娠願望を持っている。ただ、里美は春美より先に妊娠するのは困ると言っているので、未だ春美に遠慮しているのだろう。
高級キャバクラチェーン設立当時、経営企画担当として春美の参謀となった里美は、お詫びをしに花江ママの自宅を訪ねた。
花江ママも春美と同じ、捌けた性格なので、里美の詫びを素直に受け入れてくれたが、一つだけ許す上での条件を上げた。
「里美と春美は将来銀座の夜を背負って立つママになると期待してたのよ。春美は大成出来たけど、貴女は自滅の道に進んでしまった。でも、参謀として春美を支えてくれると聞いた時、私は凄く嬉しかったの、高級クラブ経営者としては駄目でも、里美の企画力は私や春美には無いスキル、参謀としてなら貴女は幾らでも実力を示せる。春美の事を今後も宜しくね」
「はい、花江ママ、春美を参謀として一生支える事を約束します。それが、私に出来る唯一のお詫びですから」
涙を浮かべ大きく頷いた里美は花江ママの顔をしっかり見詰めながら答える。
「これはお願いであって条件じゃ無いよ。条件は、春美から預かった茜ちゃんとすみれちゃんの事で、2人が私の元でホステス修行に励んでいるのは春美から聞いているだろ」
「はい、素直な良い子達だから花江ママなら間違いなく一流のホステスに仕上げてくださると思っています」
「彼女達は必ず大成するわ。このまま順調に育ってくれれば、半年後にはチーママを任せるつもり、そして彼女達が一国一城の主として銀座に店を持つ時、彼女達のホステス人生での折点には必ず顔を見せ自分の口でお祝いの言葉を掛けてあげる。それが、2人を利用しようとした貴女のケジメ」
「私が今更2人の前に・・・」
花江ママは自信無さげな里美を睨み付け
「此れが貴女を許す絶対条件、断る事など一切認めない。万が一でも裏切りは許さない。里美、分かってくれるでしょ」
花江ママの厳しい口調に
「判りました。2人を私もずっと見守って、お祝いの言葉を送ってあげます」
それから半年後、茜とすみれがクラブ"花"でホステス修行を始めて1年余り経ったある日、開店前のミーティングの最後に花江ママが、ふたりのチーママと茜とすみれを横に呼び寄せた。
「チーママ2人は"グランデ"グループに転籍となる為、今日で退店します。雇われママとは言え、安定経営の上に手当も業界トップグループにヘッドハンテングされた2人を拍手で送り出してあげましょう」
ホステスや従業員から惜しみない拍手を受けた元チーママは少し涙ぐんでいた。
「春美ママの参謀2人には気を付けなさい。まあ、貴女達なら上手くやるだろうけど、日々の売上と従業員とホステスの管理を、しっかりやれば、あの2人の参謀が何とかしてくれるから。とにかく頑張りなさい」
しっかりと花江ママと握手した2人は、更衣室に戻り私服に着替え戻って来ると深くお辞儀をして店から出て行った。花江ママは茜とすみれの頭を優しく撫でると
「今日からこの2人が新しいチーママです」
突然の事に、呆然としている2人に
「何時迄も惚けて無いで、しっかり挨拶しなさい」
2人は慌てて深くお辞儀をすると
「駆出しホステスの私がチーママなんて大役を任せられ正直焦っています。とにかく受けたからには精一杯頑張りますので、今まで通り茜を宜しくお願いします」
「すみれも頑張りますので宜しくお願いします」
2人の挨拶が終わると花江ママは用事があるからとタクシーを呼んで自宅に戻ってしまう。
開店間近になって、"グランデ"の春美ママがスタイルの良いスーツ姿の巨乳美女を伴って裏口から入って来た。
「花江ママから今日だけピンチヒッターを頼まれたんだけど、私もちょっと用事があるので、連れを置いて行くから宜しくね」
茜とすみれは、春美が連れと呼ぶ巨乳美女に見覚えがあるように思え、じっと見詰めていた。女は更衣室に入ると10分ほどで戻って来た時にはドレス姿に着替えていた。
女は呆然としている茜とすみれの横まで来ると、
「茜ちゃん、すみれちゃん、チーママ昇格おめでとう。春美ママから聞いたときはビックリしたわ」
そう小声で話し掛けた女が長い髪を掻き上げ、その顔を見た2人は思わず
「里・・・」
里美ママと口に出しそうになったが、里美がシーと口に指を翳すので寸前で止まう。里美は、従業員やホステスに里ママと呼ぶように指示すると、自ら客接待を行い新人ホステスなどに的確な指示を与えていた。
それから更に1年余り経ち、花江ママがクラブ"花"を茜に譲り、引退を発表した。茜が2代目ママとしてデビューした日、やはり里美が"花"を訪れお祝いの言葉を送った後、客席を廻って茜ママを末長く宜しくと挨拶をしていた。
その翌月、切望していた妊娠を切っ掛けに第一線から身を引いた春美は"グランデ"のママをすみれに譲り、お腹が目立たない間は、先代ママとしてすみれの様子を偶に覗く頻度で店を訪れていた。
春美の妊娠を知ると、妊娠解禁とばかりに里美が毎日のように中出しをお強請りするようになる。里美の妊活は妊娠が確定するまで約1ヶ月続いた。そして無事可愛い女の子を出産した春美は、参謀2人と積極的に新規開店準備を進め、大都市圏(関西、中部、首都圏)に高級クラブ8軒、高級キャバクラ28軒、大衆居酒屋6軒を展開する子育てオーナー経営者としてマスコミにも頻繁に取り上げられる迄になっていた。
里美は春美出産から3ヶ月後、男女の二卵性双生児を出産した。
春美の横には常に眼鏡を掛け、ビジネススーツをビシッと着こなしたスタイル抜群な巨乳女性、ロングヘアーで顔が半分隠れているので年齢ははっきり分からないが、春美と同い年くらいのかなりの美女であることは想像出来た。
巨乳美女はレッスンに励むホステス達に的確なアドバイスを与え、企画の成功に寄与していた。世間的にはチェーン展開から各種イベント企画は全て春美の才覚と評価されているが、従業員やホステス達は高級キャバクラチェーンの成功の裏には春美の参謀的存在である巨乳美女が大きく関係している事に、薄々ながら気付いていた。
ただ、不思議な事に高級キャバクラ店舗には必ず春美とともに姿を見せる巨乳美女だが、"グランデ"などの高級クラブを春美が訪れる時には一度として同行した事は無かった。
その神秘に包まれた巨乳美女、嘗て春美と花江ママを逆恨みし、敵対行為を繰り返した上に、日本電池の広末専務の手先となって隆之を取り込もうとして、逆に拉致され改心した後に解放された寺崎里美であった。
高級クラブとして存続が難しくなった"里"をヤングクラブとして再生した企画力に目を付けた隆之に説得され春美の参謀となった里美、高級クラブ経営者として挫折を経験した彼女は、高級クラブに顔を出すのだけは強硬に嫌がっていたが、"グランデ"の経営にも大きく貢献していた。彼女の肩書は、"グランデ"グループ経営企画室長である。
そして、もう一人の参謀が日潟小百合である。広末専務と山野専務の森下製作所乗っ取り計画を阻止した際に、山野を取締役に引上げた経営者責任を追及し子会社社長に長男を更迭した隆之が取締役経理部長のポストを用意するが、それを拒否した小百合は現在"グランデ"グループ経理担当常務執行役員となってグループ全体の経理を取り纏めている。
春美と里美の2人は隆之の愛人で、互いに妊娠願望を持っている。ただ、里美は春美より先に妊娠するのは困ると言っているので、未だ春美に遠慮しているのだろう。
高級キャバクラチェーン設立当時、経営企画担当として春美の参謀となった里美は、お詫びをしに花江ママの自宅を訪ねた。
花江ママも春美と同じ、捌けた性格なので、里美の詫びを素直に受け入れてくれたが、一つだけ許す上での条件を上げた。
「里美と春美は将来銀座の夜を背負って立つママになると期待してたのよ。春美は大成出来たけど、貴女は自滅の道に進んでしまった。でも、参謀として春美を支えてくれると聞いた時、私は凄く嬉しかったの、高級クラブ経営者としては駄目でも、里美の企画力は私や春美には無いスキル、参謀としてなら貴女は幾らでも実力を示せる。春美の事を今後も宜しくね」
「はい、花江ママ、春美を参謀として一生支える事を約束します。それが、私に出来る唯一のお詫びですから」
涙を浮かべ大きく頷いた里美は花江ママの顔をしっかり見詰めながら答える。
「これはお願いであって条件じゃ無いよ。条件は、春美から預かった茜ちゃんとすみれちゃんの事で、2人が私の元でホステス修行に励んでいるのは春美から聞いているだろ」
「はい、素直な良い子達だから花江ママなら間違いなく一流のホステスに仕上げてくださると思っています」
「彼女達は必ず大成するわ。このまま順調に育ってくれれば、半年後にはチーママを任せるつもり、そして彼女達が一国一城の主として銀座に店を持つ時、彼女達のホステス人生での折点には必ず顔を見せ自分の口でお祝いの言葉を掛けてあげる。それが、2人を利用しようとした貴女のケジメ」
「私が今更2人の前に・・・」
花江ママは自信無さげな里美を睨み付け
「此れが貴女を許す絶対条件、断る事など一切認めない。万が一でも裏切りは許さない。里美、分かってくれるでしょ」
花江ママの厳しい口調に
「判りました。2人を私もずっと見守って、お祝いの言葉を送ってあげます」
それから半年後、茜とすみれがクラブ"花"でホステス修行を始めて1年余り経ったある日、開店前のミーティングの最後に花江ママが、ふたりのチーママと茜とすみれを横に呼び寄せた。
「チーママ2人は"グランデ"グループに転籍となる為、今日で退店します。雇われママとは言え、安定経営の上に手当も業界トップグループにヘッドハンテングされた2人を拍手で送り出してあげましょう」
ホステスや従業員から惜しみない拍手を受けた元チーママは少し涙ぐんでいた。
「春美ママの参謀2人には気を付けなさい。まあ、貴女達なら上手くやるだろうけど、日々の売上と従業員とホステスの管理を、しっかりやれば、あの2人の参謀が何とかしてくれるから。とにかく頑張りなさい」
しっかりと花江ママと握手した2人は、更衣室に戻り私服に着替え戻って来ると深くお辞儀をして店から出て行った。花江ママは茜とすみれの頭を優しく撫でると
「今日からこの2人が新しいチーママです」
突然の事に、呆然としている2人に
「何時迄も惚けて無いで、しっかり挨拶しなさい」
2人は慌てて深くお辞儀をすると
「駆出しホステスの私がチーママなんて大役を任せられ正直焦っています。とにかく受けたからには精一杯頑張りますので、今まで通り茜を宜しくお願いします」
「すみれも頑張りますので宜しくお願いします」
2人の挨拶が終わると花江ママは用事があるからとタクシーを呼んで自宅に戻ってしまう。
開店間近になって、"グランデ"の春美ママがスタイルの良いスーツ姿の巨乳美女を伴って裏口から入って来た。
「花江ママから今日だけピンチヒッターを頼まれたんだけど、私もちょっと用事があるので、連れを置いて行くから宜しくね」
茜とすみれは、春美が連れと呼ぶ巨乳美女に見覚えがあるように思え、じっと見詰めていた。女は更衣室に入ると10分ほどで戻って来た時にはドレス姿に着替えていた。
女は呆然としている茜とすみれの横まで来ると、
「茜ちゃん、すみれちゃん、チーママ昇格おめでとう。春美ママから聞いたときはビックリしたわ」
そう小声で話し掛けた女が長い髪を掻き上げ、その顔を見た2人は思わず
「里・・・」
里美ママと口に出しそうになったが、里美がシーと口に指を翳すので寸前で止まう。里美は、従業員やホステスに里ママと呼ぶように指示すると、自ら客接待を行い新人ホステスなどに的確な指示を与えていた。
それから更に1年余り経ち、花江ママがクラブ"花"を茜に譲り、引退を発表した。茜が2代目ママとしてデビューした日、やはり里美が"花"を訪れお祝いの言葉を送った後、客席を廻って茜ママを末長く宜しくと挨拶をしていた。
その翌月、切望していた妊娠を切っ掛けに第一線から身を引いた春美は"グランデ"のママをすみれに譲り、お腹が目立たない間は、先代ママとしてすみれの様子を偶に覗く頻度で店を訪れていた。
春美の妊娠を知ると、妊娠解禁とばかりに里美が毎日のように中出しをお強請りするようになる。里美の妊活は妊娠が確定するまで約1ヶ月続いた。そして無事可愛い女の子を出産した春美は、参謀2人と積極的に新規開店準備を進め、大都市圏(関西、中部、首都圏)に高級クラブ8軒、高級キャバクラ28軒、大衆居酒屋6軒を展開する子育てオーナー経営者としてマスコミにも頻繁に取り上げられる迄になっていた。
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