20 / 21
02-侵略戦争
締結
しおりを挟む夕方頃から依澄サン家でダラダラし始めたから、ダウンライトぐらいしか付けてなかったモンで。外が真っ暗になった今ではもう、部屋も柔らかいオレンジの灯りだけが頼りになってしまった。電気つけたいんだけど、これだしな。
依澄サンいじめて楽しんでたら、調子乗って飲ませすぎてこのありさま。人の膝の上でぐぅぐぅ寝てやがる。相変わらずまつ毛なっが。ここぞとばかりに顔周りを触りちゃんこにしてやった。起きんのかーい。
先輩がもらってきた地酒は、北陸のもんで口当たりがサラッとしててめっちゃ美味い。何本かある中でもこの辛口のヤツが好きだな。多分、まるごとウソとかではなくとも、ある程度、依澄サンがオレのために用意してくれたんだろーなとは思う。オレの好みなのばっかだし。かわいーことしてくれちゃって。
窓から月の明かりが差し込んで、あんな高い位置まで登ってきてることに、宵の到来を実感する。いまは結構気分がいい。満月ならいい酒で乾杯してもいいなァ。
そろそろ勘弁してやりマスかね。
また手持ち無沙汰みたいに、依澄サンの髪を撫でるのを再開させながらそういえばと思い出す。
___聞きたいこと、ねェ?ちょっとイジワルしすぎたかなァ。えーなんだっけ?なんかメモってたな。
「ネー依澄サン、これ開けて」
-ユサユサ-
「んんぅ?、んぅまぶじっ、すまほ……?
……いちいち、なな、ごぉ」
- ぽすっ - ぐりぐり -
スマホの光に眉間に顔をしかめて、そう答えたかと思えば、またオレの股に顔から落下した。今度は反対側に顔を埋めて、ポジションを調整したかと思えば、表情が見えなくなったところで。
「まさかパスコード?オイオイ、依澄サン防犯意識どうなってんの?あぶねーよ笑笑」
メモ見してほしかっただけなんだけどな笑
と言いつつ、言われた通りのパスコードで開けば、すぐにお目当ての画面が舞い込んできた。そこには箇条書きで、俺に聞きたいこととやらがツラツラ並んでいた。
「へーナニ?こーんな用意して。結局ほとんど探れなかったんジャン。依澄サンかわいそーに。ま、オレのせいですケド笑笑」
酒のせいか、赤くなった耳を撫でて、そのまま首をくすぐってやる。肩が少し跳ねた気がした。ふーン?
「しゃーねぇなァ、好きなタイプね?
…そうだなァ、オレのことでいっぱいいっぱいになって、俺が好き放題振り回しても丸め込まれてくれる人がタイプだよ。
だからサ、今日の依澄サンはあまりにも手のひらで転がってくれるもんだからスゲーかわいすぎてサ、かなりいじめちゃったなァ。すんません」
- なでなで -
指通りのいい柔らかい髪に手を通して、依澄サンの後頭部の輪郭をなぞっていく。先輩を撫でるのは、結構楽しい。
「次はー。依澄サンの好きなところ3つ…まーたえらくかわいいこと聞くなァ?カレカノかよ笑笑」
そう言われて、真っ先に思いつくのは。
「んー、匂いかな。いちばん。依澄サンの匂いが好き。」
ースンスンー
依澄サンの首元へ鼻を近づけて、前かがみに抱え込むみたいにして匂いを嗅ぐ。清涼感のある匂い。たまに、シトラス系?か、ハーブ系?が混じってるときもある。でも香水じゃない。そんなに強い刺激臭じゃなくて、やんわり内側から香ってくるよォな。でもどっかで嗅いだことあるような、チープなものでもなくて。依澄サン由来の素肌そのものの匂いも混じったミタイな。何だろうな。
「髪かー、体臭か、人工物かわっかんないけど、やっぱいーにおい。
…いや、今は酒のがくせーわ笑」
あと2つか。匂いが1番デカすぎる要因すぎて、すぐにはパッと思いつかない。ただただ、思い浮かんだことを1人ごちるみたいにして、オレの中の依澄サンのイメージを挙げてみる。
「あとはー、そうダナ、なんでもかんでも頭から否定しないトコ。話聞くの上手いよなやっぱ。引き際が解ってるからか、相手を不快にさせないトコ。」
エーと、それから。
「それと、何しても全く怒んないのは流石にスゲェなーとは思う。周りからいじられたり、無茶ぶられても、どういうときでも、声色にテンション感は出ても感情的にはなってないっつーのかな。どんだけ振り回されてても心情が凪いだままなカンジがする。」
まとまりのない一方的な投げかけを発しながら、無心で先輩に触る。敢えて耳元に近づいて、挑発を繰り返すような真似をする。
口に出してみて初めて自覚することもあるもんだなァ。たぶんきっと、気づかないフリをしてただけで、自分の中で明確になりつつあったんダロウな。
「だからちょっとソレをー、狂わせたくはなるよナ。笑」
今度は襟足に目をつけて手を伸ばす。癖がかったウェーブの髪は前髪に掛かるくらい長いけど、首元はスッキリ整えられてて、いつも後ろ姿はキレイに映る。首が案外しっかりしているせいかもナ。ツー、と骨ばった線を辿って服の中へ侵入していく。若干、背筋がビクビクしてるように見えるのは気の所為か?
「そいで?……オレの潔癖について?めっちゃある…依澄サンそんな知りてェーの?へぇー?マジでオレと付き合うこと見据えてるわけ?こーれは意外だったナ笑
でもザンネン、教えてあげませーん笑笑」
これには驚いた。ソウカ、傍から見たら変に映るのかコレって。うまく擬態できてるつもりだったんだけどなー。
「最後、『俺が駿と付き合える可能性』…?依澄サンとオレが付き合える可能性か、、そーだなァ五分?いや、三割?ウーン。。
男と付き合える可能性は30%
依澄サンと付き合える可能性は50%
ヤリチンと付き合える可能性は0%
とまァどの観点から考えるかにもよる、これが答えかな」
「で?いつまで狸寝入りしてんの?依澄サン?」
ちょっと虚勢を張って、低く見積もったことはナイショ。今自覚したばっかなんだから、チョットくらい多目に見てヨ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる