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vs. 使いっぱ。

前置きが長すぎる。

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黒服連中を使いっぱしりに出した、お貴族サマ──侯爵サマだっけ──の目的はとゆーと。
行方不明になった最愛の妻、クラウディア・サイス・ブランシェットを探し出す事。
行方不明時には身重の状態だったはずだから、母子共に無事生存しているはず。
少なくとも、母か子かどちらかは生きているだろう……と。

何の確信があるんだか。

で、侯爵サマは、自分の地元から始めて自国のありとあらゆる場所──貴族階級の者が居るとは、とても思えないよーな場所まで探しに探したが。
結局見つからなかった、と。

この時点で、さっぱりと諦めてりゃいいものを……。
あるいは、手頃かつ後腐れのない子供でもテキトーに持ってって、我が子よ! とかやりゃいいものを。

くそ真面目に探索しまくったそーな。
……ホントか?

「なんかさ。過去見の魔法使いにお願いすりゃ、いろいろ一発で片付くんじゃね?」

私が自分の経験に基づいて発言すると、おにーさまが。

「コール……過去見は絶対数が少ない、希少な魔法使いなんだよ? そう都合良くその辺に居るワケじゃーないんだよ。君の時は、運が良かっただけだよ」

ため息混じりに言った。

……そーなんだ。
知らんかったね。

おにーさまの言い分を聞いていた金髪黒服も、一つ頷いて言った。

「クラウディア様が失踪された時、近くに過去見の出来る魔法使いも、類似した魔道具もありませんでした。サルファー王家が所有している国宝級の魔道具の中に、似たようなモノがあるにはありますが──」

金髪黒服は、言葉を濁して更にため息一つ。

「……とある公爵家の横やりが入りまして。魔法使いはおろか、王家の魔道具も使用する事がかなわず──」

あ?
なんでさ?
公爵サマってのは、人ん家の家庭の事情に首突っ込んでジャマするのが仕事なのか?

金髪黒服が、ちょっとためらいながら、言った。

「……最初から話しますと、それなりに長くなりますが──」
「大事なトコだけ、ざっくりとお願いしようかの」

組合長が、言った。

……あんまし詳しく知りたくはないのかな。
お貴族サマ……それも他国の公爵サマとやらが関係する話だもんな。
面倒事以外のナニモノでもないわな。

黒服連中が侯爵家の醜聞をバラまいてた理由は何なんだ? って謎は残るけど。
……関わらない方が、無難っちゃ無難かな。

まぁ、今更無関係ですよー……なんて言っても通用しそうにないけどさ。







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