上 下
116 / 381
vs. お貴族サマ。

ばーさんが面倒。

しおりを挟む
セリス伯爵家の家族構成だの家庭内の力関係だのは、コーラルがやらかしたイケナイオクスリとヤヴァい技術でもってマルっとサクッと全情報を引き出していた。
故に、そのヤヴァい現場に居たサマンサとナガツキも、セリス伯爵家についてムダに詳しくなっていた。
が。
今、改めて正気でシラフのセリス伯爵から内情を聞くと、セリス伯爵家の問題点は、上昇志向の強いばーさま……先代セリス伯爵夫人にあるようだ。

「まさかとは思うんじゃがの。その先代夫人は自分が果たせなかった夢を、我が子や孫に押し付けておるのじゃろうかのぅ」
「あー、よく居るタイプの親って事か~」

なんとなくヌルい目でがっくりきているセリス伯爵を眺めるサマンサとナガツキ。

セリス伯爵お付きのアレクシアが、主人の背後に控えつつ軽く目を見開き、あらぬ方向を凝視しては我に帰るのを繰り返して。
気のせい……じゃなく顔色が悪い。
上っ面を取り繕うのに必死だ。
そう言えば、セリス伯爵の視線もたまに泳ぐな。
たまに、稀に。



そんな主従を眺めながら、ナガツキは言う。
何かを思い出すように、ちょっと遠くを見る目になりながら……。

「……自分が叶えられなかった夢を我が子に託す、なんて言えば聞こえは良いだろうが、な。実際は、ただ周囲に自慢したいだけなんじゃないか? ウチの子は、こんなに優秀で云々ってさ。単なる見栄っ張りじゃね? 迷惑するのは、子供だろうな」
「そうなんです。今は勉強大変だ、辛い、と思うやもしれないが、近い将来必ず必要になるから! と、必要以上の教育を押し付けて……。わたしの子供達は、『おばあ様は面倒くさい』と、迷惑がってますね。……確かに面倒なのが、どうにも……」

どうやら、セリス伯爵は本当にお疲れのようだ。



さて。
時折ビクッとする症状は、サルファー王国の貴族達に共通しているようだ。

酒場に連行されたブランシェット侯爵とそのお付きのダニエルも、やはりセリス伯爵達と同じように目が泳ぐ。
微妙に逃げ腰になっているのは、ブランシェット侯爵。

ナニかを見てるのだろうか。







見てるんだけどね。
実際に。






しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ケットシーと小鳥の唄

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:4

[ R-18 ]息子に女の悦びを教え込まれた母の日常

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:2,477pt お気に入り:76

悪役令嬢に転生とか意味わかんないんですけど!?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:57

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,136pt お気に入り:7,006

処理中です...