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vs. 王族あんど……。

仕込みは白師匠。

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さて。
そんな、実際にあったある意味怖い話はちょっとこっちに置いといて。 

「いや、ある意味じゃなくて、完ペキに怖い話だろ」
「……実際にあった事なんだね」

ナガツキさんが、てぃっ、と私にツッコミを入れ。
セリス伯爵が乾いた笑いを洩らす。
侯爵は、どーしたらいいのか分からないよーだ。
戸惑いMAXな顔してる。
うん。
このまま親子がどーの……って感情を切り捨ててくれてもいいのに。
ってゆーか、むしろ無かった事にして欲しい。
マジで。
いや、ガチで。



「銀狼様は、いつでもニェスの蟲沼にゴロツキどもを転移させる事が可能ですのね……納得しましたわ。アテクシがあの場所に行った時、ナニユエに蟲どもの中心部深くに転移用の魔結晶が沈められているのかと思いましたが……」

なるほど納得、とばかりにうんうん頷きながら、グロリアが言った。

「仕掛けたのは白師匠な。いつでも自由に使えるのは、おやじ殿と私、あと、仕掛けた白師匠当人な」

『蟲が群れを成して……これは良き処刑場であるな』

そう言って、喜んで転移用の魔結晶造り上げて仕掛けてたよ、白師匠。

「やっぱ後始末が楽、って大事だよね」
「さようでございますわね。バルボアナ火山地帯には、うっかり紛れ込んだと思われる動物や魔物、それにヒトガタと思われる種族の、蟲どもに貪り喰われた痕跡が、あちらこちらに残っておりましたし……」

はっきりと、人骨がそっちこっちに散らばってたーって言っていいんだぞ。
ってゆーか。

「グロリア、ニェスに行った事あんの?」

素朴な疑問をグロリアにぶつけてみた。



グロリアは、ちょっと……かなり虚ろな目で遠くを見て。
……目の前宿の壁だろ、とかのツッコミなんかいらんぞ、ナガツキさん。

「……アテクシ、以前は凄まじく勘違いした愚か者でございましたでしょう? 事もあろうに、あの頭の中身が花咲き乱れる花畑、なブランシェット侯爵夫人付きの細作をしておりました。夫人にお嬢様を無き者とするように命じられ、ダニエル様と共にオンタリオ皇国に参りましたわ。色々あって、サルファー王国に戻る時にダニエル様方と別れて、アテクシはお嬢様を付け狙っておりましたわ。お嬢様も銀狼様も、アテクシごときにどうこう出来るような方々ではない、とすぐに分かりました。でも、アテクシ当時は夫人の、カルギリア公爵家の言いなりでございましたから。夫人の命じた事は絶対、でございましたから。……そんなある日、ふ、と気付いたら見知らぬ場所で見慣れぬ形の黒装束に黒覆面の人々に取り囲まれておりました。ご主人様の手の者、の方々でございます」

どーやら、茶髪黒服がどーしてグロリアになったか、の謎が解明されるよーだ。






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