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5 三人寄れば…

1 ユーくんおつかれ

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 ユーくんの舞台の本番が終わった。

 夜は盛大な打ち上げがあって、きっと皆で飲み明かすんだろうなぁと思っていた。
 なのに今、ユーくんはボクの前にいる。
 打ち上げには参加せず、自分の部屋でいじけてて「トキさん、そばにいて」って暗い調子で誘ってきた。

 どうやら今日の舞台、ユーくん的には上手くいかなかったみたい。
 ボクは客席から見守っていたけど、少しもそんな風には思わなかった。ちょっと台詞かんでたけど、頑張ったユーくんが見られて嬉しかった。お話もとっても良かったから、満足してるのに――、

「ダメですっ! あれじゃあ全然ダメなんですぅううう!」

 ユーくんはさっきからずっとダメダメダメダメってとまらない。
 慰めのキスしてあげても、フルーツをあーんしてあげても効果がない。

「オレっ……、役者むいてないのかなぁ……」

 まるで決まり文句のような言葉。あまりにも典型的な落ち込みっぷりがかわいくてかわいくて、思わず吹き出して笑ってしまう。

「あ――」

 数秒後、しまった、と気づく。
 ユーくんの目がたちまち潤み、ボロボロと涙を流し始めたのだ。
 つぶらな瞳からこぼれ、やわらかな頬をつたい、次から次へと落ちていく。

「やっぱり……、トキさんも、オレなんて役者になれないって、思ってるんですね……」

「ち、違うよ! 違う!」

「いいんです……オレなんて、もう……」

 一時間以上、こんな感じ。
 さすがのボクもまいってしまった。
 本来なら「よくできましたね」ってナデナデしてあげて、ゆーくんが良い気分になったら、今までできなかったことをいっぱいしようと思ってたのに。


「……オレなんて……どうせ……」


 悔しいけど、これはもうボク一人じゃ対処しようがない。
 悩んだ挙句、奥の手を使うことにした。



 ◆ ◆ ◆



「ユーラスよ、どうした」

「だっ……ダイ先輩……!?」

 のっそりと現れたデカイ図体を見た途端、ユーくんの猫背が一気にピーーンと伸びた。まるでムチでぶたれたように。

「今日の舞台、失敗したのか?」

「いや……あのっ……」

 さっきまでの落ち込みモードから一転、身を固くして子鹿みたいにぶるぶる震えている。

 ボクもあんまり詳しくは知らないのだけど、ダイくんとユーくんのお兄さんは幼なじみだという。
 生粋のいじめられっ子だったユーくんは、ダイくんに色々とお世話になったらしい。頭が上がらない存在らしい。
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