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4 珍味実食倶楽部

6 おかわり

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「なかなかイイ味だな」

 口惜しそうに、ちゅ、ちゅ、と吸い付いていた彼は、わずかに口を離してそんな感想を述べた。
 やっぱり、いい声。
 その振動がお腹にまで伝わってくる。

 ボクは気持ちが良くなって、そのままとろとろと眠ろうとしたけれど、

「気に入った。もっと飲ませろ」

 再び大きく脚を開かされ、また深くまで咥え込まれた。


「ひゃっ! あっ……あーーーっ!!」



 結果を言うと、それから三回も連続おかわりされた。
 名前も知らない男にしゃぶられてイクのは生まれて初めてだというのに。

 短時間でそんなにできたのは、たぶんきっとおそらく、いや、絶対に媚薬のせい。

「……はっ、はー、……」

 体はぐちゃぐちゃにされたけど、頭の中は猛烈な台風が過ぎ去ったあとみたいにシンとしていた。

「ん、っ……」

 自分の呼吸と心臓の音だけがうるさい。
 なんなら、このまま奥まで犯されてもいいと思った。
 手足はとても怠いが、どうしてもボクの“性”として後ろが疼いてしまう。指だけじゃ足りない。

 舌使いで分かる。彼はかなり男慣れしている。
 でもボクは、この学園に在籍しているゲイを(予備軍や両刀も含めて)熟知しているつもりだ。
 なのに、この男のことを名前すら知らないのは何故なのだろう。
 どうしても興味が湧いてしまう。


 けれど当の彼といえば、口元についた精液を拭うと、

「世話になったな」

 と、言い放っただけだった。
 あろうことか行為のことは何も言わずに、出て行った。

「ちょっ、と、……待っ……」

 慌てておいかけようとしたけど、無理だった。床を這うことしかできなくて、当然、間に合わない。
 両手をついて力んでも立ちあがれないのだ。

「やば……、腰、抜けてる……」

 このボクが、たった数回イかされたぐらいで?
 そんなバカな。

 とりあえず、シノリアちゃん達が帰ってくる前に起きなきゃ──頭では分かっている。
 けれども果てたばかりの体は妙に重く、まぶたがみるみるうちに下がっていく。

「……ダ、メ……だ……」

 疲れ切ったボクはそのまま、とろとろと眠ってしまう。


 後で知ったことだけど、その頃、部室のある建物の出入り口は封鎖されて超厳戒態勢になっていたらしい。
 一度、外に出た者の再入場が許されず、無理にでも入ろうとする者にはかなり厳しい検問を受けたらしい。
 それをやっていたのは騎士団――ではなく、学園自警団の面々。

 自警団が探してたのはもちろん、例の彼だ。

 一体何者なんだろう――。

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