瞳を閉ざした兄の世界に見えているのはオレだけがいい！

・これからどうするの？（もやもや）

何のこと？

「来月からラジオのお仕事をさせてもらえるんだってっ！　夢みたいっ！」

　唐突すぎて飲み込めないオレはただ、「えっ、ラジオ？　なに？」と、まごつくことしかできなかった。
　


「おぅ、やっと帰ってきたな千理。今日はお祝いだ。ステーキでいいよな？」

　リビングからのっそりとやってきたナホちゃんは、テンション高めの優兄の秘密を握っているらしかった。

　オレが状況を把握できずにいるのを、思わせぶりに楽しんでニタニタしている。

「ラジオって何のこと？」

「うちの知り合いに最近ちっちゃなラジオ局を作った野郎がいてだな。ちっさいくせに24時間生放送で、喋り手が欲しくてしょーがねぇんだとさ。だから、優太をこき使ってくんねーかって交渉しに行ったんだ」