Sランクの男は如何でしょうか?【R18】※番外編更新中

キミノ

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第3章

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 完全に日は暮れてしまい、月明りで沙也加の身体は青白く照らされていた。
 

「お前は魅力的だ」

 沙也加は自分がどんな風に見られているか想像した。決して細くは無い身体も、日本人特有の顔も貴臣を魅了するとは思えなかった。ただ否定を口にしようとすると必ず貴臣の唇に塞がれ、抵抗する気も大分薄れてきた。


 筋張った手がくびれをなぞりながら下りていき、沙也加のショーツに触れた。貴臣の熱い視線が確認を取るようにじっと見下ろしてくる。

「___社長は、私の事をどう思っているんですか?」

 自分の声が震えていることに気付き、早口で捲し立てた。下から見上げる貴臣は一層色っぽく、伏せられた睫毛は艶っぽく揺れている。

「・・・なんと言って欲しいんだ?」

「社長の言葉が欲しいです」


「私は・・・求められれば抱いてきた」

 貴臣は何の抑揚もなく、淡々と他人事のように話した。

「群がる女共は皆飾り立てて取り入ろうと必死だった。酷く滑稽だった。仕事以外になんの感情も湧かなくなっていた」

 髪をかき上げてソファに座り直す貴臣に続いて、沙也加もシャツを整えながら隣に座った。

「縁談の話も何度も上がったが、私は人を愛せない。___女が嫌いだ」

「・・・」


「小学生の頃に病弱だった母は死んだ。新しく来た母親は金目当てのくだらん女だった。弟達が生まれると私をあからさまに邪険に扱った。・・・仕事で戻らぬ父に助けを求める事も出来ず、私は大人になった。自分の力で女を追い出した。会社を継いでからは同じ顔をした女が群がってきた。酷く抱いたって喜ぶ汚らしい女共だ。私は一生一人で生きていく」

 何も言えなかった。そんな経験をしたことのない自分が、言える事など何も無い。黙ったまま貴臣の横顔を見つめると、ゆっくりと貴臣がこちらを向いた。


「・・・そのつもりだったんだ」

 苦悶に歪んだ表情に引き寄せられるように手を伸ばし、崩れ落ちてしまいそうなくらい弱弱しい貴臣の頬に手を添えた。

「お前は変わった女だ」

「・・・感受性豊かだと言ってください」

 両目から次々と溢れ出てくる涙を、貴臣の指が優しく拭ってくれた。

 ずっと順風満帆に生きてきたのだと思っていた。想像よりもずっとずっと貴臣には闇があるようだった。



がばっ
「ひゃあっ」

 突然身体が宙に浮いて思わず逞しい胸に抱き着いた。


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