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第3章
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しおりを挟む抱えられたままリビングを出ると、向かったのは探索時は鍵がかかっていて入れなかった部屋だった。
扉が開かれるとそこはリビングと同じくらいの広さのベッドルームだった。ほとんど家具のない部屋にはキングサイズのベッドと、テーブルと一人用のソファが窓際に置いてあるだけだった。
ぽすんとベッドに下ろされ、貴臣が覆いかぶさってくるとわずかに煙草の香りがした。
「一度しか言わないから、よく聞いておけ」
「えっ?」
「・・・ここ数か月、お前ばかり見ていた。お前はその辺のくだらん女とは、違った。___どうしてもお前が欲しくなって、こんな犯罪紛いのことをしてしまう程」
貴臣の真っ直ぐな瞳に見つめられ、沙也加の心臓はドクドクと全身にたぎる血流を送った。
「___こんなにもお前を求めている。この感情が”好き”という気持ちなのであれば、私はお前の特別になりたい」
呼吸が止まりそうだった。世界が違うから、叶うはず等無いと思っていた。
「・・・私は社長の事を好きだと言ってもいいんですか?何も持っていない私が、こんなにもしあわ(ぎゅうっ)
「返事は?」
「・・・はい」
急く様に抱き締められた身体は、すっぽりと貴臣の腕の中におさまった。重なり合った胸の鼓動は、お互いの気持ちを代弁するかのように高鳴っている。
「抱いてもいいか?」
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