新人神様のまったり天界生活

源 玄輝

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神々の会合

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今日も下界観察。

商人というのは本当に忙しなく動き回るなと思う。

おかげで街の周囲が網羅できるようになった。

ただ、それよりは広くならなかった。

というのもこの街が中継地として栄えた街なので、物がここに集まってしまう。

商人からすればそれを上手くやりくりすれば遠出せずともやっていけてしまうのだ。

出入りしている商人や旅人が信者になってくれれば何か変化があるかもしれないが、祭りのような大きなきっかけがなければなかなか人の心は動かない。

しょうがないので街中観察をしている。

先日和人を見つけたが、街全体を見渡せるようになったので様々な人種が居ることがわかった。

頭から動物のような耳が生えた人、羽の生えてる人、動物やモンスターと一緒に生活している人等々。

ある程度近しい種族で固まった地区で生活しているので大きなトラブルは発生していない。

人々が買い物に来る商業区では日常茶飯事的に個人同士でトラブルが発生しているようだが、自警団があるようで早々に収束する。

この自警団に注目していると色々と勉強になる。

種族や性格によって応対する者を選出してから対応に当たっている。

双方の言い分を聞いた上で判断して解決する。

まるで簡易裁判官のようだ。

その裁定も大きな基準はあるものの、状況によってかなり変化があり、非常に柔軟に対応している。

結果住民達から自警団への信頼は厚く、良い相乗効果を生んでいるようだ。

俺も将来的にこんな感じで信者に信頼されたら嬉しいな。

頑張ろう。



「ソウ、本日会合があります」

一通り片付け終わったサチが今日の予定を言う。

「ん?この前言ってた神様の集まりってやつ?」

「はい。先ほど使いの者が来ました」

サチが何も無い方を向きながら手招きする。

俺がそっちを見ると空間がブレて白い鳥が現れる。

鳥と言っても折鶴のような顔も毛もなく生命体というよりは無機質な機械という印象。

「参加は私と神様の二名です。案内お願いします」

「キ」

サチが俺の手を握るとそれを案内鳥が確認したかのように鳴く。

「キェー!」

そして翼を上に広げたかと思うといつもサチにしてもらう転移と似た感覚に襲われる。

今度は横方向に思いっきり引っ張られる感じか。



「キ」

転移の感覚がなくなると案内鳥が鳴いて教えてくれる。

「では行きましょうか」

「お、おう」

何か緊張するな。

少し進むと先を進む案内鳥が水の壁に沈むように空間に突っ込んでいく。

サチもそれに続く。

俺は一瞬躊躇ったが、サチが手を離してくれそうにないので目を閉じて流れに身を任せた。



目を開くとそこには沢山の人達がいた。

いや神達か。

俺みたいな人型の神もいれば動物の姿をした神もいる。

大体その神の付近にはそれに従事する従者らしき存在もいる。

「これが神の会合か」

「そうです。今日は注目されると思うので覚悟しておいてください」

「そうか。あんまり目立ちたくないんだけどなぁ」

今の下界での神の在り方としてもそうだが、俺自身余り目立つのは得意じゃない。

「あと、基本的に自分の名は名乗らなくていいです」

「そうなの?」

「はい。私達従事者の神と皆呼びますのでサチナリアの神と呼ばれると思います」

「わかった」

出来ればサチナリアの主人とかの方がよかったな。

「やあ、君かい?新しく神になったって人は」

そんな事考えてたら早速声かけられた。

茶色の癖毛に細目、背には白い翼が生えていて年齢的には二十代前半ぐらいの若いお兄さんという感じの人だ。

後ろには従者らしき天使が三人控えている。美女二人に美男が一人だ。

「あ、そうです。はじめまして」

軽く会釈をする。

「なかなか礼儀正しい人だね。よろしく」

「はい、よろしくお願いします」

相手の握手に応じる。

「新入りだからって丁寧な言葉はいらないよ。いつも通りの君を出してくれていいよ」

「そうですか。じゃあ改めてよろしく頼む」

遠慮するなという事だろう。

改めて相手の手をしっかり握り返す。

「フフッ、正直でいいね君。君とは仲良くなれそうな気がするよ」

「神様」

気を良くしたところであちらの従者が声をかける。

「おっと、また僕の悪い癖が出てしまうところだったよ。怒られる前に他の人に挨拶に行くとしよう」

「あぁ、また」

軽く手を挙げて別れの挨拶をする。

「凄いですね、あの方に気に入られるとは」

去ったところでサチが声を掛けてくる。

「そうなのか?」

「はい。あの方はこの中でも成功している神の中に入る方ですよ」

「へー。優秀なんだ。サチはあの人どう思う?」

「そうですね、食えない方だと思います」

「やっぱりか。警戒心を解かない方がよさそうだ」

最初から凄い人が来たもんだ。



「ようこそ、新入りさん」

「うおっ!?」

背後から声をかけられてつい驚いて飛び退いてしまった。

俺の後ろには二人の男がいた。

一人は黒い長髪で片目に刀傷がついてる着流し、もう一人は皮膚の一部が鱗になっていて服がレザーパンクな感じ。

「脅かしてすまん。おい主、毎度毎度新入りを脅かすな」

レザーパンクの方が謝ってくる。

「うるせーな、通過儀礼だ。よく来た、歓迎する」

「あ、あぁ、よろしく」

着流し男の方が握手してくるので応じる。

二人とも見た目に反していい人っぽい気がする。

「じゃあな」

「お二方、邪魔をした」

握手して満足したのかヒラヒラと手を振って去っていく着流しにレザーが一礼してついて行く。

「何か神にも色々いるな」

「はい。気をしっかりもってくださいね」

こんなのまだ序の口なんだろうな。

気をしっかり持とう。
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