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色々な神々
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その後も怒涛の神の挨拶ラッシュだった。
猫の姿の神と犬の姿の神が来てどっち派かと揉め出したり。
足元に芽が生えたと思ったら、ジョウロを持ったエプロン三角巾のお姉さんが来て水をあげたら一気に木に育ち、その木が急に喋りだしたり枯れたり。
赤の火の玉と青の火の玉が小さい緑の火の玉を見せてうちの子可愛いでしょと自慢してきたり。
とにかく色んな神々が俺の元に来た。
ただ、総じて俺の事を歓迎してくれているようで嬉しかった。
俺も歓迎する側になる時は暖かく迎えてあげよう。
「ちょっと、サチナリアさん!」
ほっこりした気分になってたところに甲高い声で割り込みが入る。
ん?サチの知り合い?
サチを見ると心底面倒くさそうな顔をしている。
「いつもこちらにいらしたら私のところに挨拶に来なさいと言ってますでしょ!」
俺とサチの真正面に来たのはサチと同じ金髪で背に羽を生やした女性。
金髪は幾つも縦にロールしており、服装も豪華で長いスリットから綺麗な足が見えている。
そんな彼女の腕には少年が抱えられていた。
「サチ、彼女達は?」
「彼女はアルテミナ。彼女の腕にいらっしゃるのが彼女の神様です」
おおう、子持ちじゃなくて少年が神だったのか。
「オーーーッホッホッホ!」
「おーーーっほっほっほ!」
アルテミナに合わせるように少年神も高笑いする。
あーうるせぇ。
「はじめまして、サチナリアさんの神様。私アルテミナ。以後お見知りおきを」
少年神を地面に立たせると着ているドレスをつまんで挨拶をする。
うん、いかにも高貴って感じだね。
ん?少年神がこっちきた。
「よろしくね、おにいちゃん」
「あぁ、よろしくな」
小さい腕をこっちに向けてきたので膝を折って握手に応じる。
満足したのか少年神はアルテミナの元に戻っていき再び抱っこされる。
うん、子供は可愛い。
「さて、サチナリアさん。どうしていつもいつも私のところに来られないのか説明していただけますこと?」
片手で少年神を抱えて反対の手でサチをビシッと指差す。
「面倒なので」
「面倒!?」
サチが吐き棄てるかのように言うとアルテミナはよよよとその場に崩れ落ちる。
少年神を持つ手は一切ぶれないのが凄いと思う。
「なんてことっ!この私が、折角あの冷酷鉄面皮女のサチナリアさんを気に留めてあげているというのにっ!」
どこからかハンカチを出して目元を拭いている。
何かいちいちオーバーリアクションだなこの人。
「なあサチ、どういう関係か説明してくれる?」
「アルテミナはライバルと称して私に何かと突っかかってくるのです」
「何かきっかけが?」
「うーん、ある事はあるのですが直接的には関係ないです」
間接的に何かあるのか。
何かアルテミナが悲劇のヒロインっぽいのを続けてるがそっちは無視して話を続ける。
「冷酷鉄面皮女とか言われてるけど」
「あぁいいです言わせておいてください。彼女はあぁやって他人を怒らせて罵詈雑言を言われたいド変態なので」
うへぇ、めんどくせぇ。
「ちょっと!そこの二人!私の事を無視したりド変態と言ったり失礼じゃありませんこと!」
アルテミナがこっちに文句を言ってくる。
だが、その顔は高潮して息が粗く、若干嬉しそうだ。
「そうだ、彼女に私の冷酷鉄面皮女に対する仕返しをしてください。ドラマチックに」
「えぇー・・・」
俺にだけ聞こえる声でサチが注文してくる。
完全に面白がってるだろお前。
しょうがねぇな。
始める前に少年神を手招きする。
「あの、おたくの従者にうちの従者が失礼な事を言われたんで言い返したいんだが、いい?」
「いいよー」
よし、許可が出たので少年神をサチに預け、アルテミナに向かって一歩前に出る。
「おい、アルテミナ!よくもうちの従者に対して冷酷鉄面皮女などと言ったな!」
多少棒読みなのは勘弁してくれ。
俺が威勢良く言ったので近くにいたほかの神々が気になってこちらに近づいてくる。
「な、なんですの!?」
アルテミナもオーバーリアクションで対応してくれる。
こいつの場合本気そうだが。
「いいか、うちの従者はあれで二人の時など腕を組んできたり可愛いところがあるんだぞ!」
「え?あのちょっと!?」
サチが慌て、野次馬の神達が生暖かい目になる。
フッフッフ、目立つのが嫌な俺にこんな事やらせた罰は惚気暴露の刑だ。
「そんなうちのに冷酷鉄面皮女なんて名付けたお前にはこの名をくれてやる!」
息を呑むアルテミナを指差す。
少し間をおいて。
「騒音ドリル女」
「・・・」
「・・・」
あたりが静寂に包まれる。滑ったか、恥ずかしいわ。
「ブフッ」
ん?
「そ、騒音、ドリル女っ!」
あ、サチにはうけた。
床を叩いてのた打ち回ってる。
「そ、騒音ドリル女ですって!?」
アルテミナが激昂して立ち上がる。
そして周囲から向けられている視線に気付く。
やり取りを見ていた人達からは、確かに騒音ドリル、上手い、やばいジワジワくる、といった声が聞こえてくる。
それに気付いたアルテミナの顔はますます赤くなって息も荒くなってる。
「くっ、この私がっ、な、何たる屈辱!ゆ、許しませんわ!」
うん、言ってることと顔が全く一致してない。
なんだよそのもっと言って見たいな顔。もうやらんぞ。
「おねーちゃん!」
「はっ!?」
いつの間にか手を掴んだ少年神を見てアルテミナが正気に戻る。
「おねえちゃん。せいざ」
「え?あ、は、はい」
少年神がアルテミナを正座させてる。
「まんぞくしたでしょ?わざとおこらせてひどいこといわれてまんぞくでしょ?」
「は、はぃ・・・」
子供が説教してる。
「じゃあごめんなさいして」
「え、でも」
「して」
なかなかいい迫力してるな。
アルテミナが震えてる。怖いのか嬉しいのかはわからんが。
「皆様、特にサチナリアさんとその神様、大変ご迷惑をおかけしました」
正座のまま頭を下げる見事な土下座だ。
「おにいちゃん、ゆるしてくれる?」
「あぁ、もちろんだ」
深く頷く。
このやり取りを見て野次馬達は離れていく。
「ごめんねおにいちゃん、つきあってもらって」
「いや、こっちの方こそ」
この少年神は見た目よりしっかりしているな。
「そっちのおねえちゃんも」
「いえいえ、大変楽しませて頂きました。ありがとうございました」
笑い泣きした涙を拭きながらサチが答える。
「さ、いくよ、おねえちゃん」
「はい」
少年神に手を引かれてアルテミナがしおらしくついて行く。
「あの、サチナリアさんの神様」
そのままいくのかと思ったらこっちを振り返ってきた。
「なんだ?」
「また次もお願いいたしますわ」
とてもツヤツヤした笑顔をされた。
勘弁してくれ!
アルテミナとのやり取りの後は顔見せ程度に軽い挨拶をしに来る人達ぐらいだった。
「がんばれよ」
「次の会合が楽しみになった」
「何か困ったことがあるなら協力する」
何故か同情的な眼差しが多かったのは気のせいだろうか。
変に悪い印象をもたれなかっただけよしとしよう。
多少変なのに気に入られた気もするが。
「そろそろお開きのようなので帰りましょうか」
「うん」
他の人達も帰り始めてた。
「キ」
来る時一緒にいた案内鳥が迎えに来てくれた。
「帰りもよろしくな」
「キキッ」
サチと手を繋ぐのを確認すると再び横に引っ張られる感覚。
「あーそういえば食関連の情報貰って来るのわすれた」
インパクトのある人達が次から次へと来たのですっかり忘れてた。
「大丈夫ですよ。ちゃんと頂いてきました」
「いつの間に」
「ソウが神様同士で話してる間に私も従者同士でやりとりしていましたから」
「そうか、よくやった」
「ありがとうございます」
これで更に食事関連が豊かになればいいな。
果たして俺の世界に米や小麦があるのかどうか。
せめて似たようなものさえあれば何とか出来るはずだからルミナには頑張って貰いたい。
「キ」
考え事してたらあっという間に到着した。
「送り迎えありがとな。また次の時も頼む」
「キキッ」
案内鳥に礼を言うとその場でくるくるっとまわった後、姿がぶれて消える。
「それでは帰りましょうか」
「あぁ、そうしよう」
今日はさすがに疲れた。
帰ったらゆっくりサチに癒してもらうとしよう。
猫の姿の神と犬の姿の神が来てどっち派かと揉め出したり。
足元に芽が生えたと思ったら、ジョウロを持ったエプロン三角巾のお姉さんが来て水をあげたら一気に木に育ち、その木が急に喋りだしたり枯れたり。
赤の火の玉と青の火の玉が小さい緑の火の玉を見せてうちの子可愛いでしょと自慢してきたり。
とにかく色んな神々が俺の元に来た。
ただ、総じて俺の事を歓迎してくれているようで嬉しかった。
俺も歓迎する側になる時は暖かく迎えてあげよう。
「ちょっと、サチナリアさん!」
ほっこりした気分になってたところに甲高い声で割り込みが入る。
ん?サチの知り合い?
サチを見ると心底面倒くさそうな顔をしている。
「いつもこちらにいらしたら私のところに挨拶に来なさいと言ってますでしょ!」
俺とサチの真正面に来たのはサチと同じ金髪で背に羽を生やした女性。
金髪は幾つも縦にロールしており、服装も豪華で長いスリットから綺麗な足が見えている。
そんな彼女の腕には少年が抱えられていた。
「サチ、彼女達は?」
「彼女はアルテミナ。彼女の腕にいらっしゃるのが彼女の神様です」
おおう、子持ちじゃなくて少年が神だったのか。
「オーーーッホッホッホ!」
「おーーーっほっほっほ!」
アルテミナに合わせるように少年神も高笑いする。
あーうるせぇ。
「はじめまして、サチナリアさんの神様。私アルテミナ。以後お見知りおきを」
少年神を地面に立たせると着ているドレスをつまんで挨拶をする。
うん、いかにも高貴って感じだね。
ん?少年神がこっちきた。
「よろしくね、おにいちゃん」
「あぁ、よろしくな」
小さい腕をこっちに向けてきたので膝を折って握手に応じる。
満足したのか少年神はアルテミナの元に戻っていき再び抱っこされる。
うん、子供は可愛い。
「さて、サチナリアさん。どうしていつもいつも私のところに来られないのか説明していただけますこと?」
片手で少年神を抱えて反対の手でサチをビシッと指差す。
「面倒なので」
「面倒!?」
サチが吐き棄てるかのように言うとアルテミナはよよよとその場に崩れ落ちる。
少年神を持つ手は一切ぶれないのが凄いと思う。
「なんてことっ!この私が、折角あの冷酷鉄面皮女のサチナリアさんを気に留めてあげているというのにっ!」
どこからかハンカチを出して目元を拭いている。
何かいちいちオーバーリアクションだなこの人。
「なあサチ、どういう関係か説明してくれる?」
「アルテミナはライバルと称して私に何かと突っかかってくるのです」
「何かきっかけが?」
「うーん、ある事はあるのですが直接的には関係ないです」
間接的に何かあるのか。
何かアルテミナが悲劇のヒロインっぽいのを続けてるがそっちは無視して話を続ける。
「冷酷鉄面皮女とか言われてるけど」
「あぁいいです言わせておいてください。彼女はあぁやって他人を怒らせて罵詈雑言を言われたいド変態なので」
うへぇ、めんどくせぇ。
「ちょっと!そこの二人!私の事を無視したりド変態と言ったり失礼じゃありませんこと!」
アルテミナがこっちに文句を言ってくる。
だが、その顔は高潮して息が粗く、若干嬉しそうだ。
「そうだ、彼女に私の冷酷鉄面皮女に対する仕返しをしてください。ドラマチックに」
「えぇー・・・」
俺にだけ聞こえる声でサチが注文してくる。
完全に面白がってるだろお前。
しょうがねぇな。
始める前に少年神を手招きする。
「あの、おたくの従者にうちの従者が失礼な事を言われたんで言い返したいんだが、いい?」
「いいよー」
よし、許可が出たので少年神をサチに預け、アルテミナに向かって一歩前に出る。
「おい、アルテミナ!よくもうちの従者に対して冷酷鉄面皮女などと言ったな!」
多少棒読みなのは勘弁してくれ。
俺が威勢良く言ったので近くにいたほかの神々が気になってこちらに近づいてくる。
「な、なんですの!?」
アルテミナもオーバーリアクションで対応してくれる。
こいつの場合本気そうだが。
「いいか、うちの従者はあれで二人の時など腕を組んできたり可愛いところがあるんだぞ!」
「え?あのちょっと!?」
サチが慌て、野次馬の神達が生暖かい目になる。
フッフッフ、目立つのが嫌な俺にこんな事やらせた罰は惚気暴露の刑だ。
「そんなうちのに冷酷鉄面皮女なんて名付けたお前にはこの名をくれてやる!」
息を呑むアルテミナを指差す。
少し間をおいて。
「騒音ドリル女」
「・・・」
「・・・」
あたりが静寂に包まれる。滑ったか、恥ずかしいわ。
「ブフッ」
ん?
「そ、騒音、ドリル女っ!」
あ、サチにはうけた。
床を叩いてのた打ち回ってる。
「そ、騒音ドリル女ですって!?」
アルテミナが激昂して立ち上がる。
そして周囲から向けられている視線に気付く。
やり取りを見ていた人達からは、確かに騒音ドリル、上手い、やばいジワジワくる、といった声が聞こえてくる。
それに気付いたアルテミナの顔はますます赤くなって息も荒くなってる。
「くっ、この私がっ、な、何たる屈辱!ゆ、許しませんわ!」
うん、言ってることと顔が全く一致してない。
なんだよそのもっと言って見たいな顔。もうやらんぞ。
「おねーちゃん!」
「はっ!?」
いつの間にか手を掴んだ少年神を見てアルテミナが正気に戻る。
「おねえちゃん。せいざ」
「え?あ、は、はい」
少年神がアルテミナを正座させてる。
「まんぞくしたでしょ?わざとおこらせてひどいこといわれてまんぞくでしょ?」
「は、はぃ・・・」
子供が説教してる。
「じゃあごめんなさいして」
「え、でも」
「して」
なかなかいい迫力してるな。
アルテミナが震えてる。怖いのか嬉しいのかはわからんが。
「皆様、特にサチナリアさんとその神様、大変ご迷惑をおかけしました」
正座のまま頭を下げる見事な土下座だ。
「おにいちゃん、ゆるしてくれる?」
「あぁ、もちろんだ」
深く頷く。
このやり取りを見て野次馬達は離れていく。
「ごめんねおにいちゃん、つきあってもらって」
「いや、こっちの方こそ」
この少年神は見た目よりしっかりしているな。
「そっちのおねえちゃんも」
「いえいえ、大変楽しませて頂きました。ありがとうございました」
笑い泣きした涙を拭きながらサチが答える。
「さ、いくよ、おねえちゃん」
「はい」
少年神に手を引かれてアルテミナがしおらしくついて行く。
「あの、サチナリアさんの神様」
そのままいくのかと思ったらこっちを振り返ってきた。
「なんだ?」
「また次もお願いいたしますわ」
とてもツヤツヤした笑顔をされた。
勘弁してくれ!
アルテミナとのやり取りの後は顔見せ程度に軽い挨拶をしに来る人達ぐらいだった。
「がんばれよ」
「次の会合が楽しみになった」
「何か困ったことがあるなら協力する」
何故か同情的な眼差しが多かったのは気のせいだろうか。
変に悪い印象をもたれなかっただけよしとしよう。
多少変なのに気に入られた気もするが。
「そろそろお開きのようなので帰りましょうか」
「うん」
他の人達も帰り始めてた。
「キ」
来る時一緒にいた案内鳥が迎えに来てくれた。
「帰りもよろしくな」
「キキッ」
サチと手を繋ぐのを確認すると再び横に引っ張られる感覚。
「あーそういえば食関連の情報貰って来るのわすれた」
インパクトのある人達が次から次へと来たのですっかり忘れてた。
「大丈夫ですよ。ちゃんと頂いてきました」
「いつの間に」
「ソウが神様同士で話してる間に私も従者同士でやりとりしていましたから」
「そうか、よくやった」
「ありがとうございます」
これで更に食事関連が豊かになればいいな。
果たして俺の世界に米や小麦があるのかどうか。
せめて似たようなものさえあれば何とか出来るはずだからルミナには頑張って貰いたい。
「キ」
考え事してたらあっという間に到着した。
「送り迎えありがとな。また次の時も頼む」
「キキッ」
案内鳥に礼を言うとその場でくるくるっとまわった後、姿がぶれて消える。
「それでは帰りましょうか」
「あぁ、そうしよう」
今日はさすがに疲れた。
帰ったらゆっくりサチに癒してもらうとしよう。
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