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74話 VSカエデ
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コンコン
医務室に行きドアをノックすると、ソルトがドアの隙間から顔を覗かせた。
「あ、ご主人!入っていいっすよ!」
ソルトがドアを全開まで開けてくれた。
「ありがとう」
中に入っていくと、屈伸運動をして身体を解すカエデと、隣でのんびりするシェミィが居た。
「あっ!ご主人様!」
カエデは屈伸を止めて俺の元へ駆け寄ってくる。
「どうだ?体調は」
「うんバッチリ!100%力を出して戦えるよ!」
「良かった、これで心置き無く戦えるな」
「だね!ご主人様が相手と言えど、負けないよっ!」
「俺だって負けてやるつもりはないからな」
俺達はグータッチをした、武闘会始まってからこれが習慣ついちゃったな。
「あれ、セシルさん?」
「先程ぶりだな、2回戦進出おめでとう」
「ありがとうございます!でも、どうしてここに?」
「それはだな……」
モニターより試合を見つつ、セシルは掻い摘んで先程の話をカエデとソルトに話をした。
「何それ……それでも父親なの……?我が子を放り出すなんて……」
「それもそうっすけど、クリスタって奴も相当クソ野郎っすね……」
2人も俺同様に怒りを覚えたようだ、誰だってそうだろう。
セシルにも非が全く無い訳ではないが、脅されていた以上悪いとは言えない。
「私としてもクリスタには怒りを覚えているが、今怒った所で何も始まらない……私は情けないながらも、コウガに助けを求めて奴隷になる事に決めたんだ」
「そうだったんだね……でも大丈夫!ご主人様なら、奴隷である私達を家族のように扱ってくれるし大事にしてくれるから!」
「あぁ、メイランやコウガ本人からも似たような事を聞いているから不安はないよ、呪いの件で迷惑掛けると思うが……」
全員がセシルを見つめる中、セシルは数歩後退し膝をついた。
「よろしく頼む、みんなの助けになれるようにこの身を持って尽くすと、この刀に誓おう」
腰に差してある刀を、自分の目の前に掲げた。
「あぁ、よろしくなセシル。でも、肩の力は抜いていいぞ、自然体でな」
「分かった、努力するよマスター」
こうして、契約はまだだが4人目の仲間が増えた。
全員でステージを映しているモニターを見ていると、エリスタが勝利を収めて1回戦が全て終了した。
今から15分の休憩後、2回戦第1試合が開始されるとの事。
俺とカエデは第2試合なので控え室へ向かう事にした。
「2人とも、悔いのないよう全力で行きなさいよ!特にカエデ!私が譲ってあげたんだから、情けない試合したら許さないわよ!?」
「大丈夫!私の全てを、ご主人様にぶつけるよ!」
「ご主人!カッコイイ所みせるっすよ!」
「あぁ!しっかり見てろよ!」
カエデはメイランから、俺はソルトから励ましの言葉を貰った。
「2人とも、力いっぱい戦って無事に帰ってくるのを待っているよ、行ってらっしゃい」
「あぁ!行ってくる!」
「うん!行ってきまーす!」
俺達は全員から見送られ、控え室へと向かっていく。
「ご主人様、私準備があるから……別の控え室に居るね」
「分かった、また後でな」
俺は控え室、カエデとシェミィは控え室2へ入る。
予測でしかないが、シェミィとカエデの間に何かあるんだと思っている、ただ魔力を借りているだけでは無いと。
シェミィの力を取り入れたカエデは、どう仕掛けてくるだろうか?
やはり、身体強化からアクセルブーストの速攻だろうか?
それとも……いきなりあの奥義を発動してくるだろうか?
考えれば考えるだけワクワクしてくる。
「……楽しみだ」
俺は来たるカエデとの試合に向け、イメトレを繰り返した。
暫くイメトレに耽っていたが、ふとモニターを見ると第1試合のゴリスターが勝利する場面だった。
遂に来た、カエデとの……真剣勝負だ。
控え室を出ると、控え室の前にカエデが仁王立ちしていた、例の魔力を纏って。
「来たね、ご主人様」
「出てくるのを待っててくれたのか」
「当たり前だよ、私達は試合上敵だけど、仲間で家族みたいなものだもん、置いていかないよ」
「……だな」
その言葉に泣きそうになるも堪える。
「ふふっ、泣きそうになったね?」
「し、仕方ないだろ……嬉しかったんだから」
「可愛い所もあるね、ご主人様は!さて、行こっかご主人様」
「あぁ、そうだな」
俺達は手を繋いでステージへと歩いていった。
「さぁ!2人仲良く手を繋いで登場しました、同じ狼人族のコウガ選手とカエデ選手!この大会大注目の選手で、白熱した戦いを見せてくれました!
2人は主人と奴隷の立場だそうですが、立場の壁を超えた関係性なのだと聞いています!その2人がどんな試合を見せてくれるのか!?」
司会のミーサーさん、何処で聞いたんだよそれ……今見たことを言っただけなんじゃないか?
「ふふ、照れちゃうね」
「そうだな」
俺達はステージの中央へやってきた。
「さぁ!2回戦第2試合を始めます!準備して構えてください!」
俺達は司会の構えてという言葉を聞きつつも、構えずに向かい合った。
「ご主人様、良い試合を」
「あぁ、良い試合を」
俺達は恒例のグータッチを会場全員に見せ付けて踵を返した。
「おーーっと!グータッチだ!互いに健闘を称えあったか!?」
俺はカエデと距離を取ってから、ナイフを鞘から引き抜き構える。
カエデも軽くジャンプ数回しながら首を回す、そしてファイティングポーズ。
「準備が整いました!さぁ行きますよ!レディーーーッGO!!!」
俺達の1番の大イベント……カエデとの真剣勝負が、今始まった。
「「身体強化!!アクセルブースト!!」」
やはりいつもので来たか!
「ふっ!」
「はーっ!!」
素早い移動で、一直線に俺達は走り拳とナイフをかち合わせる。
カエデの篭手は拳まで纏っているので刃は通らない。
やはり対面してよりよく分かる、この魔力を纏ったカエデは、今までのを比べるまでもなく速くなってる!
「速くなったな!カエデ!」
「当たり前!前とは違うよっ!」
カエデが反対の手で更に追撃を狙うが、俺はもう片手のナイフで防ぐ、30秒ほどこれを繰り返した。
「ご主人様、反射神経鋭くなったんじゃない!?」
「みんなに鍛えてもらったからな!そろそろ反撃させてもらうぞ!」
俺はナイフに風魔力を流していく、以前より魔力操作が上手くなったおかげで、瞬時に魔力を流す事に成功している。
風の纏ったナイフをカエデの拳に合わせてぶつけると、風魔力が弾けてる度に風の衝撃が発生する。
「な、なんて衝撃っ!こんなの相手にしてたの!?ジルさんやティナさん達は!?」
カエデは驚いているようだ、体験したのは初めてだからな。
カエデとの練習の時でも危なすぎて使わなかったしな。
「動きが鈍ってるぞ!」
俺は右利き手ナイフに先程まで流してた魔力以上の濃い魔力を流し、思いっきり魔力を炸裂させる。
「ぐっ!?あぁぁ!」
カエデが炸裂した風魔力により吹き飛ばされた。
いつも近場で見てきた俺の風魔力操作、カエデは近くで見てきたからこそ強さは分かってるし、対面した事ないからこそ、初めてそれを受けてみると新たな発見をするもんだ。
「まだまだ!風刃!」
吹き飛ばされたカエデに追撃の風刃を飛ばしていく。
「くっ、そのまま受けたらまずい!」
カエデは空中で体勢を整えて、風刃に合わせてシェミィの魔力を少し多めに拳に集めて風を発生させて風刃を受け流して着地した。
「よく見たそれが、こんなに強かったなんて……やっぱりご主人様は凄いね!」
「そりゃどうも!」
「次は私ね!アクセルブースト!」
カエデは再度加速して俺に迫る。
俺はアイスウォールを盾のように変化させて腕に設置、攻撃に備える。
盾を持てない俺みたいな二刀流が使える腕装備盾だ!自己流だけどな。
「獅子連打!」
カエデの拳がシェミィと良く似た、獅子の形を型取る。
獅子の拳をアイスウォールで受け止めると、一撃の衝撃により盾にヒビが入り仰け反りそうになる。
「なっ!?嘘だろ!?」
「はぁぁぁ!!」
2撃目が入るとアイスウォールが完全に破壊された。
2撃で破壊されるなんてティナ以来だ!厳密にはセシルの飛翔閃も、2撃喰らえば割れそうだったな。
「あ、アクセルブースト!」
俺は咄嗟にアクセルブーストで距離を取ろうとしたが……
「逃がさない!獅子!風連弾!」
カエデがその場で連続パンチを繰り出すと、パンチ毎に獅子の形をした風魔力球がこちらに飛んでくる。
「遠距離攻撃!?カエデに遠距離攻撃手段が!?」
俺はアクセルブーストを駆使して、風魔力弾を避けていく。
てかカエデの技増え過ぎだろ!?2日で覚える量じゃないぞ!?
避けながら対策を考える。
「やばい、どうする俺……」
今までのカエデなら、あれだけの魔力を使えばすぐに魔力切れを起こすはずだが倒れそうにもない、あの魔力はシェミィにより強化されているとみていい。
前の試合でカエデが魔力切れを起こしそうになった理由は、恐らく被ダメージ……もしくは事前のシェミィからの譲渡魔力量……この2つが考えられる。
「なら、カエデへのダメージを増やせば……というより、あの魔力自体にダメージを与えればいつかは……」
ならば、逃げてるだけでは埒が明かない、攻撃に転じなければ。
「アイスウォール!」
俺は背後から迫る魔力球を大きく展開したアイスウォールで防ぐ、俺の姿はアイスウォールにより隠された。
大きく展開したので、多少強度が薄いが……姿を隠すには丁度いい。
「隠れた!?何処からくる!?」
カエデはアイスウォールの上下左右から俺の姿を確認しようと視線を忙しなく動かす。
「……いや、何処から来るか分からないままより、突き破った方が速い!」
カエデはアイスウォールへ突っ込んだ。
「獅子連打!」
カエデは獅子連打の2連撃でアイスウォールを突き破る、すると……
「掛かったな」
「!?」
俺はカエデがまっすぐアイスウォールを突き破ると予測し、その隙を突くべく魔法を準備していた。
「グラビティプレス!」
「うあぁぁっ!!」
カエデが重力により地面へ叩き付けられて動けなくなる。
これで8秒程動けなくなる筈だ……この隙に。
「カエデを纏う魔力を消費させてもらうぞ!」
俺はカエデを纏う魔力をナイフで切り刻んでいく。
「やめっ!ぐぅぅぅ……」
カエデの魔力がどんどん削られていく。
2秒……3秒……4秒……
「私は……まだやられる訳にはいかない!!お願いシェミィ!力を貸して!!」
カエデが重力に抑えられながらも、地面に手を置いた所の次元が歪がむ。
「従魔召喚!シェミィィィィィ!!!」
「!?」
カエデの置いた手の歪んだ時空より、シェミィが飛び出してくる。
シェミィが召喚された際のエネルギーによりグラビティプレスが解除され、カエデはシェミィの背に乗せられ脱出。
「ありがとうシェミィ!また魔力借りるね……ごめん、これで最後にするからね……」
「にゃ!にゃにゃ!」
「ありがとうシェミィ、後でいっぱい構ってあげるからね」
カエデはシェミィ本人より魔力を借りて回復させて全快になった。
しかし、シェミィは魔力が少なくなって険しい顔をしているが、それでもカエデを信頼し、そして俺に戦う姿勢をみせる。
本来テイマーは従魔を引き連れて戦うスタイル、なので武闘会でもシェミィを引き連れて戦うのはOKなのだ。
これで振り出しへと戻った、第2ラウンドだ。
医務室に行きドアをノックすると、ソルトがドアの隙間から顔を覗かせた。
「あ、ご主人!入っていいっすよ!」
ソルトがドアを全開まで開けてくれた。
「ありがとう」
中に入っていくと、屈伸運動をして身体を解すカエデと、隣でのんびりするシェミィが居た。
「あっ!ご主人様!」
カエデは屈伸を止めて俺の元へ駆け寄ってくる。
「どうだ?体調は」
「うんバッチリ!100%力を出して戦えるよ!」
「良かった、これで心置き無く戦えるな」
「だね!ご主人様が相手と言えど、負けないよっ!」
「俺だって負けてやるつもりはないからな」
俺達はグータッチをした、武闘会始まってからこれが習慣ついちゃったな。
「あれ、セシルさん?」
「先程ぶりだな、2回戦進出おめでとう」
「ありがとうございます!でも、どうしてここに?」
「それはだな……」
モニターより試合を見つつ、セシルは掻い摘んで先程の話をカエデとソルトに話をした。
「何それ……それでも父親なの……?我が子を放り出すなんて……」
「それもそうっすけど、クリスタって奴も相当クソ野郎っすね……」
2人も俺同様に怒りを覚えたようだ、誰だってそうだろう。
セシルにも非が全く無い訳ではないが、脅されていた以上悪いとは言えない。
「私としてもクリスタには怒りを覚えているが、今怒った所で何も始まらない……私は情けないながらも、コウガに助けを求めて奴隷になる事に決めたんだ」
「そうだったんだね……でも大丈夫!ご主人様なら、奴隷である私達を家族のように扱ってくれるし大事にしてくれるから!」
「あぁ、メイランやコウガ本人からも似たような事を聞いているから不安はないよ、呪いの件で迷惑掛けると思うが……」
全員がセシルを見つめる中、セシルは数歩後退し膝をついた。
「よろしく頼む、みんなの助けになれるようにこの身を持って尽くすと、この刀に誓おう」
腰に差してある刀を、自分の目の前に掲げた。
「あぁ、よろしくなセシル。でも、肩の力は抜いていいぞ、自然体でな」
「分かった、努力するよマスター」
こうして、契約はまだだが4人目の仲間が増えた。
全員でステージを映しているモニターを見ていると、エリスタが勝利を収めて1回戦が全て終了した。
今から15分の休憩後、2回戦第1試合が開始されるとの事。
俺とカエデは第2試合なので控え室へ向かう事にした。
「2人とも、悔いのないよう全力で行きなさいよ!特にカエデ!私が譲ってあげたんだから、情けない試合したら許さないわよ!?」
「大丈夫!私の全てを、ご主人様にぶつけるよ!」
「ご主人!カッコイイ所みせるっすよ!」
「あぁ!しっかり見てろよ!」
カエデはメイランから、俺はソルトから励ましの言葉を貰った。
「2人とも、力いっぱい戦って無事に帰ってくるのを待っているよ、行ってらっしゃい」
「あぁ!行ってくる!」
「うん!行ってきまーす!」
俺達は全員から見送られ、控え室へと向かっていく。
「ご主人様、私準備があるから……別の控え室に居るね」
「分かった、また後でな」
俺は控え室、カエデとシェミィは控え室2へ入る。
予測でしかないが、シェミィとカエデの間に何かあるんだと思っている、ただ魔力を借りているだけでは無いと。
シェミィの力を取り入れたカエデは、どう仕掛けてくるだろうか?
やはり、身体強化からアクセルブーストの速攻だろうか?
それとも……いきなりあの奥義を発動してくるだろうか?
考えれば考えるだけワクワクしてくる。
「……楽しみだ」
俺は来たるカエデとの試合に向け、イメトレを繰り返した。
暫くイメトレに耽っていたが、ふとモニターを見ると第1試合のゴリスターが勝利する場面だった。
遂に来た、カエデとの……真剣勝負だ。
控え室を出ると、控え室の前にカエデが仁王立ちしていた、例の魔力を纏って。
「来たね、ご主人様」
「出てくるのを待っててくれたのか」
「当たり前だよ、私達は試合上敵だけど、仲間で家族みたいなものだもん、置いていかないよ」
「……だな」
その言葉に泣きそうになるも堪える。
「ふふっ、泣きそうになったね?」
「し、仕方ないだろ……嬉しかったんだから」
「可愛い所もあるね、ご主人様は!さて、行こっかご主人様」
「あぁ、そうだな」
俺達は手を繋いでステージへと歩いていった。
「さぁ!2人仲良く手を繋いで登場しました、同じ狼人族のコウガ選手とカエデ選手!この大会大注目の選手で、白熱した戦いを見せてくれました!
2人は主人と奴隷の立場だそうですが、立場の壁を超えた関係性なのだと聞いています!その2人がどんな試合を見せてくれるのか!?」
司会のミーサーさん、何処で聞いたんだよそれ……今見たことを言っただけなんじゃないか?
「ふふ、照れちゃうね」
「そうだな」
俺達はステージの中央へやってきた。
「さぁ!2回戦第2試合を始めます!準備して構えてください!」
俺達は司会の構えてという言葉を聞きつつも、構えずに向かい合った。
「ご主人様、良い試合を」
「あぁ、良い試合を」
俺達は恒例のグータッチを会場全員に見せ付けて踵を返した。
「おーーっと!グータッチだ!互いに健闘を称えあったか!?」
俺はカエデと距離を取ってから、ナイフを鞘から引き抜き構える。
カエデも軽くジャンプ数回しながら首を回す、そしてファイティングポーズ。
「準備が整いました!さぁ行きますよ!レディーーーッGO!!!」
俺達の1番の大イベント……カエデとの真剣勝負が、今始まった。
「「身体強化!!アクセルブースト!!」」
やはりいつもので来たか!
「ふっ!」
「はーっ!!」
素早い移動で、一直線に俺達は走り拳とナイフをかち合わせる。
カエデの篭手は拳まで纏っているので刃は通らない。
やはり対面してよりよく分かる、この魔力を纏ったカエデは、今までのを比べるまでもなく速くなってる!
「速くなったな!カエデ!」
「当たり前!前とは違うよっ!」
カエデが反対の手で更に追撃を狙うが、俺はもう片手のナイフで防ぐ、30秒ほどこれを繰り返した。
「ご主人様、反射神経鋭くなったんじゃない!?」
「みんなに鍛えてもらったからな!そろそろ反撃させてもらうぞ!」
俺はナイフに風魔力を流していく、以前より魔力操作が上手くなったおかげで、瞬時に魔力を流す事に成功している。
風の纏ったナイフをカエデの拳に合わせてぶつけると、風魔力が弾けてる度に風の衝撃が発生する。
「な、なんて衝撃っ!こんなの相手にしてたの!?ジルさんやティナさん達は!?」
カエデは驚いているようだ、体験したのは初めてだからな。
カエデとの練習の時でも危なすぎて使わなかったしな。
「動きが鈍ってるぞ!」
俺は右利き手ナイフに先程まで流してた魔力以上の濃い魔力を流し、思いっきり魔力を炸裂させる。
「ぐっ!?あぁぁ!」
カエデが炸裂した風魔力により吹き飛ばされた。
いつも近場で見てきた俺の風魔力操作、カエデは近くで見てきたからこそ強さは分かってるし、対面した事ないからこそ、初めてそれを受けてみると新たな発見をするもんだ。
「まだまだ!風刃!」
吹き飛ばされたカエデに追撃の風刃を飛ばしていく。
「くっ、そのまま受けたらまずい!」
カエデは空中で体勢を整えて、風刃に合わせてシェミィの魔力を少し多めに拳に集めて風を発生させて風刃を受け流して着地した。
「よく見たそれが、こんなに強かったなんて……やっぱりご主人様は凄いね!」
「そりゃどうも!」
「次は私ね!アクセルブースト!」
カエデは再度加速して俺に迫る。
俺はアイスウォールを盾のように変化させて腕に設置、攻撃に備える。
盾を持てない俺みたいな二刀流が使える腕装備盾だ!自己流だけどな。
「獅子連打!」
カエデの拳がシェミィと良く似た、獅子の形を型取る。
獅子の拳をアイスウォールで受け止めると、一撃の衝撃により盾にヒビが入り仰け反りそうになる。
「なっ!?嘘だろ!?」
「はぁぁぁ!!」
2撃目が入るとアイスウォールが完全に破壊された。
2撃で破壊されるなんてティナ以来だ!厳密にはセシルの飛翔閃も、2撃喰らえば割れそうだったな。
「あ、アクセルブースト!」
俺は咄嗟にアクセルブーストで距離を取ろうとしたが……
「逃がさない!獅子!風連弾!」
カエデがその場で連続パンチを繰り出すと、パンチ毎に獅子の形をした風魔力球がこちらに飛んでくる。
「遠距離攻撃!?カエデに遠距離攻撃手段が!?」
俺はアクセルブーストを駆使して、風魔力弾を避けていく。
てかカエデの技増え過ぎだろ!?2日で覚える量じゃないぞ!?
避けながら対策を考える。
「やばい、どうする俺……」
今までのカエデなら、あれだけの魔力を使えばすぐに魔力切れを起こすはずだが倒れそうにもない、あの魔力はシェミィにより強化されているとみていい。
前の試合でカエデが魔力切れを起こしそうになった理由は、恐らく被ダメージ……もしくは事前のシェミィからの譲渡魔力量……この2つが考えられる。
「なら、カエデへのダメージを増やせば……というより、あの魔力自体にダメージを与えればいつかは……」
ならば、逃げてるだけでは埒が明かない、攻撃に転じなければ。
「アイスウォール!」
俺は背後から迫る魔力球を大きく展開したアイスウォールで防ぐ、俺の姿はアイスウォールにより隠された。
大きく展開したので、多少強度が薄いが……姿を隠すには丁度いい。
「隠れた!?何処からくる!?」
カエデはアイスウォールの上下左右から俺の姿を確認しようと視線を忙しなく動かす。
「……いや、何処から来るか分からないままより、突き破った方が速い!」
カエデはアイスウォールへ突っ込んだ。
「獅子連打!」
カエデは獅子連打の2連撃でアイスウォールを突き破る、すると……
「掛かったな」
「!?」
俺はカエデがまっすぐアイスウォールを突き破ると予測し、その隙を突くべく魔法を準備していた。
「グラビティプレス!」
「うあぁぁっ!!」
カエデが重力により地面へ叩き付けられて動けなくなる。
これで8秒程動けなくなる筈だ……この隙に。
「カエデを纏う魔力を消費させてもらうぞ!」
俺はカエデを纏う魔力をナイフで切り刻んでいく。
「やめっ!ぐぅぅぅ……」
カエデの魔力がどんどん削られていく。
2秒……3秒……4秒……
「私は……まだやられる訳にはいかない!!お願いシェミィ!力を貸して!!」
カエデが重力に抑えられながらも、地面に手を置いた所の次元が歪がむ。
「従魔召喚!シェミィィィィィ!!!」
「!?」
カエデの置いた手の歪んだ時空より、シェミィが飛び出してくる。
シェミィが召喚された際のエネルギーによりグラビティプレスが解除され、カエデはシェミィの背に乗せられ脱出。
「ありがとうシェミィ!また魔力借りるね……ごめん、これで最後にするからね……」
「にゃ!にゃにゃ!」
「ありがとうシェミィ、後でいっぱい構ってあげるからね」
カエデはシェミィ本人より魔力を借りて回復させて全快になった。
しかし、シェミィは魔力が少なくなって険しい顔をしているが、それでもカエデを信頼し、そして俺に戦う姿勢をみせる。
本来テイマーは従魔を引き連れて戦うスタイル、なので武闘会でもシェミィを引き連れて戦うのはOKなのだ。
これで振り出しへと戻った、第2ラウンドだ。
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まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
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