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第2ボタンを握り締める右手を少しだけ開き、手の隙間からソレを見下ろす。
「増田財閥をぶっ壊せたら、その時は・・・その時は、一平が俺に渡すって約束したんだ・・・。」
小さな声で呟き、数時間前に聞いた一平の言葉をまた思い出す。
”俺は”望“のことが好きだよ、愛してる。
この気持ちは家族としての気持ちではなく1人の男としての気持ち。
俺は望のことを女の子として愛してる。
俺が増田財閥の分家の男として綺麗で正しく生きてきたのも、これからもそうやって生きていくのも、全ては望の為。
加藤の”家“に生まれた望が女の子として幸せになれるのなら、俺は増田財閥のことも小関の”家“のことも本当のところはどうでも良い。
俺の人生は望の為だけにある。
俺の”愛している“はそれくらいの”愛している“だよ、誰にも負けるつもりはない。
望が秘書生命を懸ける男にも望が結婚する男にも俺は絶対に負けない。
望と俺が結ばれる未来もなければ、俺のこの気持ちだけでも望に渡せる日なんて一生来ないけど、俺は生涯望のことを愛し抜く。
俺が誰と結婚したとしても、俺が誰よりも愛して誰よりも守りたいのは望だけだよ。“
一平はどんな気持ちで望にお年玉を渡そうとしていたのか・・・。
そしてどんな気持ちで、望にお年玉を渡すことをやめたのか・・・。
甘い物が好きなはずの一平が何故”甘い物が苦手だ"と望に言っていたのか。
望が試行錯誤し作っているクソ不味いケーキをどんな気持ちで”食べやすい"と言っていたのか。
望の片思いなんかではなく両想いなのだと知った俺が、”俺がつくる会社で増田財閥をぶっ壊す"と言った時、一平はどんな気持ちで・・・
”もしもそんなことが出来たとしたら、その時は流石の俺も観念して、青に俺の第2ボタンを渡すよ。"
そう、言っていたのか・・・。
「この前親父に”一平のことを何も知らないくせに"って言ったけど、俺も一平のことを何も知らなかった・・・。
俺・・・一平のことを何も・・・何も知らなかった・・・。
俺、あいつのことがめちゃくちゃ嫌いになった・・・。
めちゃくちゃ・・・めっっっっちゃ嫌いで・・・死ぬほど嫌いだから・・・」
言葉を切り、俺の第2ボタンをまた強く強く握り締めながら親父のことを見詰める。
「増田財閥の分家、小関の"家”に生まれた小関一平なんて、ぶっ殺す。」
そう続けて・・・
「だから親父、金貸して。
資本金、アイツに全額出させるのムカつくから。」
「・・・バイトで稼ぎまくってる金はどうしたんだよ。
俺の扶養まで抜けて働きまくってる金あるだろ。」
「そんなの彼女とのデート代やらプレゼント代やらホテル代に消えてる。」
本当のことを答えた俺に親父はガクッと肩を落とした。
やっと声を出してきた親父から何を言われるのかと思っていたら・・・
「俺の家は死ぬほど貧乏だったからな、そんな俺と付き合ってくれたママなんて、金のかからない女だったぞ?」
そんなことを言って、俺の横を通って玄関に入った。
「ママは、"会えるならプレゼントなんていらない”って、"一緒にいるだけでこんなに楽しくて幸せ”って、本気で言う女だった。」
親父の後ろに続き、俺も玄関に入る。
俺が起業することについて今日は反対も賛成もしない親父の背中を眺め続けながらローファーを脱ぐと・・・
「俺がママに初めてモノをプレゼントしたのは、高校の卒業式の時に渡した第2ボタンだったくらいだぞ?」
親父が、そう言って・・・
「あんなボタンを嬉しそうに受け取ったママのことを見て、"この子にもっと良いモノをプレゼント出来る男になりたい”って思って、死ぬ気で俺は頑張りまくった。」
そんな、初めて聞く話をしてきた。
「増田財閥をぶっ壊せたら、その時は・・・その時は、一平が俺に渡すって約束したんだ・・・。」
小さな声で呟き、数時間前に聞いた一平の言葉をまた思い出す。
”俺は”望“のことが好きだよ、愛してる。
この気持ちは家族としての気持ちではなく1人の男としての気持ち。
俺は望のことを女の子として愛してる。
俺が増田財閥の分家の男として綺麗で正しく生きてきたのも、これからもそうやって生きていくのも、全ては望の為。
加藤の”家“に生まれた望が女の子として幸せになれるのなら、俺は増田財閥のことも小関の”家“のことも本当のところはどうでも良い。
俺の人生は望の為だけにある。
俺の”愛している“はそれくらいの”愛している“だよ、誰にも負けるつもりはない。
望が秘書生命を懸ける男にも望が結婚する男にも俺は絶対に負けない。
望と俺が結ばれる未来もなければ、俺のこの気持ちだけでも望に渡せる日なんて一生来ないけど、俺は生涯望のことを愛し抜く。
俺が誰と結婚したとしても、俺が誰よりも愛して誰よりも守りたいのは望だけだよ。“
一平はどんな気持ちで望にお年玉を渡そうとしていたのか・・・。
そしてどんな気持ちで、望にお年玉を渡すことをやめたのか・・・。
甘い物が好きなはずの一平が何故”甘い物が苦手だ"と望に言っていたのか。
望が試行錯誤し作っているクソ不味いケーキをどんな気持ちで”食べやすい"と言っていたのか。
望の片思いなんかではなく両想いなのだと知った俺が、”俺がつくる会社で増田財閥をぶっ壊す"と言った時、一平はどんな気持ちで・・・
”もしもそんなことが出来たとしたら、その時は流石の俺も観念して、青に俺の第2ボタンを渡すよ。"
そう、言っていたのか・・・。
「この前親父に”一平のことを何も知らないくせに"って言ったけど、俺も一平のことを何も知らなかった・・・。
俺・・・一平のことを何も・・・何も知らなかった・・・。
俺、あいつのことがめちゃくちゃ嫌いになった・・・。
めちゃくちゃ・・・めっっっっちゃ嫌いで・・・死ぬほど嫌いだから・・・」
言葉を切り、俺の第2ボタンをまた強く強く握り締めながら親父のことを見詰める。
「増田財閥の分家、小関の"家”に生まれた小関一平なんて、ぶっ殺す。」
そう続けて・・・
「だから親父、金貸して。
資本金、アイツに全額出させるのムカつくから。」
「・・・バイトで稼ぎまくってる金はどうしたんだよ。
俺の扶養まで抜けて働きまくってる金あるだろ。」
「そんなの彼女とのデート代やらプレゼント代やらホテル代に消えてる。」
本当のことを答えた俺に親父はガクッと肩を落とした。
やっと声を出してきた親父から何を言われるのかと思っていたら・・・
「俺の家は死ぬほど貧乏だったからな、そんな俺と付き合ってくれたママなんて、金のかからない女だったぞ?」
そんなことを言って、俺の横を通って玄関に入った。
「ママは、"会えるならプレゼントなんていらない”って、"一緒にいるだけでこんなに楽しくて幸せ”って、本気で言う女だった。」
親父の後ろに続き、俺も玄関に入る。
俺が起業することについて今日は反対も賛成もしない親父の背中を眺め続けながらローファーを脱ぐと・・・
「俺がママに初めてモノをプレゼントしたのは、高校の卒業式の時に渡した第2ボタンだったくらいだぞ?」
親父が、そう言って・・・
「あんなボタンを嬉しそうに受け取ったママのことを見て、"この子にもっと良いモノをプレゼント出来る男になりたい”って思って、死ぬ気で俺は頑張りまくった。」
そんな、初めて聞く話をしてきた。
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