【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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そしたら・・・



「また青君がホラー話してるの~??」



列の向こう側からお姉さん達が歩いてきて・・・



「ノンノン!ほらコレ買ってきたよ!!
めっっっちゃ美味しいから食べてみて!!!
あ、食べる前に写真撮ってあげる。」



2つ前に乗ったアトラクションの列で仲良くなったお姉さん方が、その時に話していたハンバーガーを持って来てくれた。



「え・・・でも、私貰えなくて・・・。」



「だから望!!!
此処は夢の国なんだって!!!
此処ではお前はマジでノンノンなの!!!
・・・え、いや、俺はちょっと。
いや、金は払うけど俺の分誰か食う?
俺知らない奴が渡してきた食べ物とかちょっと。」



「知らない奴とか青君酷いんだけど!!
さっきまで青君のくだらないホラー話を長々と聞かされてたのに!!」



「俺が望に話してたのを勝手に聞いてきたんだろ?
・・・あ、お前食う?うん、食え食え。」



3組後ろに並んでいる大学生の男の子に青さんが自分のハンバーガーを渡した。



そしたら・・・



「あ、いた!!!!
ノンノン、コレ青さんが言ってたキャラクターのカチューシャ!!!」



20代の若い女の子達がネコのカチューシャを私に渡してきた。



「え!!!?買ってきちゃったの!!?」



「だって、ネコだっていうのに謎の被り物被ってるんだもん。
電話して今何処にいるか聞こうとした時に異様な盛り上がりの列があって、見てみたらやっぱり青さんだった~!!!」



「青さんがま~た怖い話してくる。
・・・あとごめんね、私貰えなくて・・・。」



無理矢理押し付けられたハンバーガーを見下ろしながらそう言うと・・・



「その怖い話の全てのオチが全然怖い話でも何でもないくだらないやつだって分かってるのに、途中までめちゃくちゃ怖くしてくるんだよね~!!」



女の子はそう言いながら、私にネコのカチューシャを押し付けてくる。



「次こそは本当に怖い話かもしれないと思っちゃってね!!
勝手に買ってきただけだからお金とかいらないから!!
うちらもコレ並ぼ~?」



「あ!!!ちょっと待って・・・!!!!」



列から身を乗り出して女の子達のことを止めようとしたけれど、女の子達は楽しそうに笑いながら列の最後尾へと歩いていく。



此処は本当に夢の国なのかもしれない。



さっきからこんなのことばっかり起きていて・・・。



基本的には何も受け取れないはずの私が、受け取ってはいけないはずの私が、今日まで全然知らない人だった人達から沢山の物を受け取っている。



小関の“家”の秘書、加藤の“家”に生まれた加藤望としてではなく“ノンノン”として・・・



「ノンノンさん!!!
このハンバーガーめっっっちゃ美味いっすよ!!!!」



大学生の男の子達が美味しそうに頬張るハンバーガーを眺めながら、私もハンバーガーを一口ソッと食べた。



そして・・・



「・・・ごめん、期待しすぎた。
思ってたより普通で逆にビックリした。」



本当の感想を普通に言った。



でも此処は本当に夢の国だからか・・・



私のそんな言葉にも大きな大きな笑い声が青い空へ広がっていった。
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