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翌朝
「朝から饅頭を2つも食っちまった。
やっぱり晃孝堂の饅頭は美味いな!
旅行でも食いまくったし流石に腹出た。」
お腹を擦っている青さんの隣に立ち、いつもよりも早い電車に揺られる。
「私なんて3つも食べちゃった。
今日のお昼にも食べよ~。」
「わざわざ持ってきたのか!」
「うん、会社の人達へのお土産♪」
「それを自分でも食うのかよ!」
「え、普通は食べないの?」
「まあ、いいんじゃねーの。
いつも頑張ってるから饅頭くらい沢山食えよ。」
電車の窓ガラスに映る青さんがゆっくりと私のことを見下ろした姿が見えた。
「2月も今日で終わるし、今日でその案件を終わらせて良いからな。
銀には俺から言っておく。」
私も青さんのことを見上げると、少し怒った青さんの顔があった。
「本当の銀さんの孫とお前を会わせるっていうチロの案件はもう終わってるからな。」
それには小さく頷きながらまた電車の窓ガラスへと視線を戻す。
そして自分の姿を眺めながら口を開いた。
「少し引っ掛かるような感じもするけど、青さんがそう言うなら。
今の私は青さんの会社の掃除屋だしね。」
窓ガラスに映る30歳の私は今日も"Hatori”のダッフルコートを着ていて結構可愛かった。
この顔は青さんのタイプの顔ではないけれど、自分で見ても"可愛い顔だよな”と思うくらいの顔で。
「この顔でもあのロングコートは似合わなかったのにはウケるよね。」
「電車で思い出させるなよ・・・・っっ」
肩を揺らしながら笑いを堪えている青さんには笑いながら、窓ガラスに映る自分を見詰め続ける。
"銀さんの孫娘と一緒に自主退職を~って言われていた女の子って、"Hatori”のピーコートを着てるんだぁ。”
青さんにそう言おうとした時、窓ガラスに最上さんが持っているピーコートが私の姿に重なった。
その、瞬間・・・
次の駅のホームに到着し、"Hatori”のピーコート姿の私は一瞬で消えてしまった。
ロングコートは全然似合わなかった私だけど、一瞬だけ見えたピーコート姿の私はやっぱり可愛かった。
"Hatori”のピーコートはやっぱり可愛かった。
"最後に、最上さんのピーコートを貸して貰いたいなぁ・・・。”
そんな望みを胸に、大好きな晃孝堂の饅頭を持ってカトウ・キサラギシステムズの最後の出勤をした。
「朝から饅頭を2つも食っちまった。
やっぱり晃孝堂の饅頭は美味いな!
旅行でも食いまくったし流石に腹出た。」
お腹を擦っている青さんの隣に立ち、いつもよりも早い電車に揺られる。
「私なんて3つも食べちゃった。
今日のお昼にも食べよ~。」
「わざわざ持ってきたのか!」
「うん、会社の人達へのお土産♪」
「それを自分でも食うのかよ!」
「え、普通は食べないの?」
「まあ、いいんじゃねーの。
いつも頑張ってるから饅頭くらい沢山食えよ。」
電車の窓ガラスに映る青さんがゆっくりと私のことを見下ろした姿が見えた。
「2月も今日で終わるし、今日でその案件を終わらせて良いからな。
銀には俺から言っておく。」
私も青さんのことを見上げると、少し怒った青さんの顔があった。
「本当の銀さんの孫とお前を会わせるっていうチロの案件はもう終わってるからな。」
それには小さく頷きながらまた電車の窓ガラスへと視線を戻す。
そして自分の姿を眺めながら口を開いた。
「少し引っ掛かるような感じもするけど、青さんがそう言うなら。
今の私は青さんの会社の掃除屋だしね。」
窓ガラスに映る30歳の私は今日も"Hatori”のダッフルコートを着ていて結構可愛かった。
この顔は青さんのタイプの顔ではないけれど、自分で見ても"可愛い顔だよな”と思うくらいの顔で。
「この顔でもあのロングコートは似合わなかったのにはウケるよね。」
「電車で思い出させるなよ・・・・っっ」
肩を揺らしながら笑いを堪えている青さんには笑いながら、窓ガラスに映る自分を見詰め続ける。
"銀さんの孫娘と一緒に自主退職を~って言われていた女の子って、"Hatori”のピーコートを着てるんだぁ。”
青さんにそう言おうとした時、窓ガラスに最上さんが持っているピーコートが私の姿に重なった。
その、瞬間・・・
次の駅のホームに到着し、"Hatori”のピーコート姿の私は一瞬で消えてしまった。
ロングコートは全然似合わなかった私だけど、一瞬だけ見えたピーコート姿の私はやっぱり可愛かった。
"Hatori”のピーコートはやっぱり可愛かった。
"最後に、最上さんのピーコートを貸して貰いたいなぁ・・・。”
そんな望みを胸に、大好きな晃孝堂の饅頭を持ってカトウ・キサラギシステムズの最後の出勤をした。
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