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お昼休み
「そう、アナタ今日で辞めるのね。」
今日はお弁当箱だけではなくお土産の箱も持ちながら休憩スペースまで歩く私に、木下さんが全然寂しそうではない顔で言ってきた。
「ちょっとは寂しがってよ~。」
「なんでよ、普通にまた会えば良いでしょ。
定時後や土日も暇してるんでしょ?」
「えぇ~っ!嬉し~い!!
絶対連絡するね~!!」
「気持ち悪いからいつもみたいな感じにしててよ。」
「うん、ごめん。
自分でも途中で”キモッ"て思ってた。」
木下さんと一緒に笑いながら、カトウ・キサラギシステムズでの最後のお昼休みを過ごす為に休憩スペースへと入った。
”此処の女の子達と過ごすお昼休みは結構楽しかったな"と思いながら。
「お疲れ様で~す、これお土産のお饅頭。
今時の若い女の子もお饅頭とか食べるのかな。
食べなかったら私が食べるから頂戴ね。」
何個か私が貰えるだろうと期待をし、晃孝堂の包装紙をテキトーにみんなの前で破いていったら・・・
「あれ、もしかして晃孝堂のお饅頭ですか?」
コンビニで買ったであろう美味しそうなスイーツを目の前に置いている加治さんがそう聞いてきて。
その瞬間、休憩スペースがウワッッッッと盛り上がった。
「晃孝堂のお饅頭~!?嬉し~い!!」
「ここのお饅頭ほんっっっとに美味しいよね!!」
「何個入ってます?
2つ貰ってもいいですか?
うちのお母さんも晃孝堂のお饅頭が大好きで、お土産で貰って私だけ食べたって言うとめっちゃ怒られる!」
「えぇ~!それなら私も2個欲しい!!」
「1人2個いけますかね?
・・・あ、いけそう、木下さんも2ついりますよね?」
「そのお饅頭そんなに有名なの?
それなら私も2つ貰おうかな。」
「知る人ぞ知るってお饅頭ですかね。
あ、でもお金持ちの人は知ってる人が多いかも。
本店が高級ホテルにあってそこは包装も凝ってて見る人が見ればそこのお土産だって分かるらしいですし。」
「加藤さんが持ってきてくれた包装紙は普通のやつですね、向こうの地域に用事があったんですか?」
私が旅行など出来ないと分かっているような加治さんにそう聞かれ、空っぽになってしまった箱を見下ろし、空っぽになり嬉しいような残念なような、複雑な気持ちになりながら蓋を閉めた。
「旅行に行ってきたんだ、初めて。」
加治さんのことだけを見て、自然と笑った。
「初めて旅行に行ったんだ。
家族旅行も修学旅行も行けない”家"に生まれた私が、きっと最初で最後になる旅行に行ったんだ。」
「修学旅行も行けなかったんですね・・・。
でも、1度でも旅行に行けて良かったです。
楽しめましたか?」
加治さんが優しい顔でそう聞いてくれて・・・。
「うん、楽しかった・・・。」
何でか分からないけれど、私の目からはポロッと涙が流れた。
「そう、アナタ今日で辞めるのね。」
今日はお弁当箱だけではなくお土産の箱も持ちながら休憩スペースまで歩く私に、木下さんが全然寂しそうではない顔で言ってきた。
「ちょっとは寂しがってよ~。」
「なんでよ、普通にまた会えば良いでしょ。
定時後や土日も暇してるんでしょ?」
「えぇ~っ!嬉し~い!!
絶対連絡するね~!!」
「気持ち悪いからいつもみたいな感じにしててよ。」
「うん、ごめん。
自分でも途中で”キモッ"て思ってた。」
木下さんと一緒に笑いながら、カトウ・キサラギシステムズでの最後のお昼休みを過ごす為に休憩スペースへと入った。
”此処の女の子達と過ごすお昼休みは結構楽しかったな"と思いながら。
「お疲れ様で~す、これお土産のお饅頭。
今時の若い女の子もお饅頭とか食べるのかな。
食べなかったら私が食べるから頂戴ね。」
何個か私が貰えるだろうと期待をし、晃孝堂の包装紙をテキトーにみんなの前で破いていったら・・・
「あれ、もしかして晃孝堂のお饅頭ですか?」
コンビニで買ったであろう美味しそうなスイーツを目の前に置いている加治さんがそう聞いてきて。
その瞬間、休憩スペースがウワッッッッと盛り上がった。
「晃孝堂のお饅頭~!?嬉し~い!!」
「ここのお饅頭ほんっっっとに美味しいよね!!」
「何個入ってます?
2つ貰ってもいいですか?
うちのお母さんも晃孝堂のお饅頭が大好きで、お土産で貰って私だけ食べたって言うとめっちゃ怒られる!」
「えぇ~!それなら私も2個欲しい!!」
「1人2個いけますかね?
・・・あ、いけそう、木下さんも2ついりますよね?」
「そのお饅頭そんなに有名なの?
それなら私も2つ貰おうかな。」
「知る人ぞ知るってお饅頭ですかね。
あ、でもお金持ちの人は知ってる人が多いかも。
本店が高級ホテルにあってそこは包装も凝ってて見る人が見ればそこのお土産だって分かるらしいですし。」
「加藤さんが持ってきてくれた包装紙は普通のやつですね、向こうの地域に用事があったんですか?」
私が旅行など出来ないと分かっているような加治さんにそう聞かれ、空っぽになってしまった箱を見下ろし、空っぽになり嬉しいような残念なような、複雑な気持ちになりながら蓋を閉めた。
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「初めて旅行に行ったんだ。
家族旅行も修学旅行も行けない”家"に生まれた私が、きっと最初で最後になる旅行に行ったんだ。」
「修学旅行も行けなかったんですね・・・。
でも、1度でも旅行に行けて良かったです。
楽しめましたか?」
加治さんが優しい顔でそう聞いてくれて・・・。
「うん、楽しかった・・・。」
何でか分からないけれど、私の目からはポロッと涙が流れた。
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