【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました！

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"鎌田さんにそう言われたのかな？”
そう思いながら、一美さんが"普通”の声でそう聞いてきたことには少しだけ嬉しくなった。
昔は弱い弱い声で私に吐き出してきていたから。



「私は理解してますよ。
私だけじゃなくて私の親もお兄ちゃんも理解してます。」



"世間一般"の話は無視し、私はそう返した。



「でも、好きじゃない・・・？
うちの家族の優しさを望さんは好きじゃない？」



一美さんのことを私達が大好きなことなんて一美さんは知っているはずなのに、そんな質問までしてきたことには少しだけ首を傾げる。



「好きですよ？」



”青さん、鎌田さんに何て言うようにお願いしたんだろう。"
ちゃんと聞いておけば良かったとも思うけれど、そしたらきっと不自然な動きになり一美さんには私が演技をしていることがバレてしまいそうで。



だからこれで良いのだと、これ”が"良いのだと自分自身に言い聞かせながら、久しぶりにここまでダメージを負っている一美さんを少しでも私が強くする為に頑張ろうとする。



頑張ろうとしていたら・・・



「青さんの優しさよりも？」



急に青さんの名前が出てきてそれにはドキッとしたけれど、めちゃくちゃ気合いを入れながら”普通"を演じる。



「青さん？青さんは引くほど意地悪ですけど。」



そう答えた私に、一美さんはもっと泣きそうな顔をしながらも少しだけ安心した顔をした。



「お兄ちゃんからすすめられた美容院、そこはお兄ちゃんのお友達の美容院だった。
鎌田さんって知ってるかな？」



”知ってますよ、一平さんから口止めされていたので言えませんでしたけど。
”小関一美"から”羽鳥一美"になった一美さんの”普通"の幸せを願った一平さんが、一美さんのお相手として鎌田さんはどうかと思い一美さんにも鎌田さんにも秘密にして2人のことを出会わせていました。"



心の中だけでそう答え、口では全然違う言葉を出していく。



「鎌田さんですね、今もたまに青さんから話は聞いています。
一平さんと青さんと同じ高校だった人です。
実家の美容院のお手伝いもしていたので小関の家には本当にたまにしかいらっしゃいませんでしたけど、昔はお会いしたこともあります。」



ついこの前には鎌田さんと愛姉さんのことを”清掃"したばかりなのにそのことは言わず、でも本当のことは伝えていく。
私の嘘なんて一美さんにはきっとすぐにバレてしまうだろうから、嘘はつかないように黙っておくだけにしていく。



「一平さんが一美さんに鎌田さんの美容院をすすめてくださったんですね！
あの美容院、最近私の高校からの”友達"にも紹介をして、私の友達今鎌田さんの美容院で働いてるんですよ！」



「美容師さんといったら・・・マナリーかな？」



「はい！マナリーです！」



「この前は“純”・・・じゃなくて、“ソっちゃん”と田代君にもたまたまお会いしたよ？
ソっちゃん、今はうちの会社の経理部に出向になってる。」



「そうなんですか？
それは知りませんでした！
私結構忙しくしてるので、連絡は最小限になっちゃってて！」



「忙しいのにごめんね、望さんの顔が見たくなっちゃって。」



「私の顔でよければいつでも見せますよ！」



パッと大きく笑って見せると、一美さんの顔がやっと自然な笑顔を少しだけ見せた。



そして・・・



「うちの財閥の分家の人間として生まれたこと、それを本当の意味で理解してくれるのは今はもう加藤家のみんなしかいないから。」



今にもないてしまいそうな顔で、そう言った。