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1月1日 お正月



「ミコちゃん、明けましておめでと~!
破魔矢1本とこのお守りね。」



うちの小さな小さな神社、この時期だけは沢山の参拝者が集まってくる。
授与所でカヤと並び、2人で破魔矢やお守りなどをお渡ししていく。



顔見知りになっているゆきのうえ商店街の人達は私の方に並ぶ人ばかりで、寒い中でも明るく新年の挨拶をしていってくれる。



そして・・・



「ミコちゃん、明けましておめでとう。」



結子さんが綺麗な着物を着て私の前に現れた。
思わず息が止まるほどの美しさで、もはや同じ人間とは思えないくらいだった。



でも、もっともっと驚いたのは・・・



「え、隣の方はどなたですか?」



結子さんの隣にいたのは元気さんではなかった。
優しい顔をした格好良い男の人で・・・。



結子さんは驚いた顔をしながらその人のことを見上げていて、その男の人は大笑いをしながら私に口を開いた。



「結子の夫です!!」



そんなことを言ってきて、私は何とも言えない気持ちになった。
でも、これだけは伝えた。



「おじいさんとおばあさんになっても幸せな夫婦仲だと思います。」



「マジか、新年早々天使からありがたいお言葉!!」



男の人が凄く喜んだ顔でそう言ってくるので、それには聞き返した。



「天使ですか?」



「神様の子どもだから、それは本物の天使だよな!!」



「家の手伝いで巫女ですけど。」



本当のことを言うと男の人は大笑いしながら破魔矢やお守りを買って、結子さんの右手を優しく握りながら去っていった。



最後に「今年もよろしくな!!」と言われたけれど、今まで1度も会ったことはないはずで。



「元気さん、上手くいかなかったんだ・・・。」



私が“あの日”結子さんに会ってしまったからかもしれない。
元気さんが私のことを何て言っていたのかは分からないけれど、まだ繋がっていると勘違いさせてしまったのかもしれない。



実際はたまたま入社をした会社に元気さんがいただけで。
私のことも約束のこともなかったことにしていた元気さんと再会してしまっただけで。



連続先も知らない相手。
繋がっていたのは約束だけ。



たったそれだけ・・・。



たったそれだけ、小指だけの繋がりだった。
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