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私が泣き止むまで、一成が何も言わず抱き締めてくれて・・・片手でお腹を何度も擦ってくれていた・・・。
涙が止まってからも、私はしばらく動けなくて・・・喋れなくて・・・。
一成の大きな手が、私のお腹を撫でてくれるのをずっと眺めていた。
そして、その手を眺めながら・・・やっと口を動かした。
震えてはいなかった。
無理矢理動かしてもいない。
口を、普通に動かした。
「私は、ずっと自分が変なんだと思ってたの。」
「変って?」
「一成と出会った時、私は中学1年生だったんだよ?」
「うん。」
「それなのに・・・あの日、プールで・・・。
“すぐ、追い付くから。俺のお母さんになって。”って言った小学生1年生の“一成君”のことを、格好良いなと思っちゃった。」
「いいじゃん!」
「“お母さん”って言われたのに、私には格好良いと思っちゃった。」
「よかったよ!」
「それに、一成君が3年生になって選手コースで初めて泳いだ日は・・・もう、“男の子”としても思えなくて・・・。」
「・・・何に見えたの?」
一成を見上げながら、言う。
「分からない・・・。
プールの中を泳ぐ、プールの水の中を泳ぐ・・・“何か”。」
涙が止まってからも、私はしばらく動けなくて・・・喋れなくて・・・。
一成の大きな手が、私のお腹を撫でてくれるのをずっと眺めていた。
そして、その手を眺めながら・・・やっと口を動かした。
震えてはいなかった。
無理矢理動かしてもいない。
口を、普通に動かした。
「私は、ずっと自分が変なんだと思ってたの。」
「変って?」
「一成と出会った時、私は中学1年生だったんだよ?」
「うん。」
「それなのに・・・あの日、プールで・・・。
“すぐ、追い付くから。俺のお母さんになって。”って言った小学生1年生の“一成君”のことを、格好良いなと思っちゃった。」
「いいじゃん!」
「“お母さん”って言われたのに、私には格好良いと思っちゃった。」
「よかったよ!」
「それに、一成君が3年生になって選手コースで初めて泳いだ日は・・・もう、“男の子”としても思えなくて・・・。」
「・・・何に見えたの?」
一成を見上げながら、言う。
「分からない・・・。
プールの中を泳ぐ、プールの水の中を泳ぐ・・・“何か”。」
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