【完】秋の夜長に見る恋の夢

Bu-cha

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「それ、あそこのお嬢様高校の制服だよね~?」



今日は日直がありいつもよりも早めに駅に向かっていると、どこかの制服を着た男子が話し掛けてきた。
朝から面倒なので無視をする。



「君のことよく見掛けるんだよね!
友達に話したら、君あの大きな屋敷の子なんだってね!!」



「・・・・」



「俺いつもと違う時間に出たのにそれでも君に会えて、結構運命感じちゃってるんだけど!!
電車でよく一緒になってて隣に立ってたりするけど、知ってるかな!?」



「・・・・」



「これ、俺の連絡先なんだけど!!」



視界の片隅に紙を渡されたのは気付いたけど、それでも無視をして歩き続ける。



そしたら・・・



肩に掛けていた私の鞄の持ち手を強引に引かれた。



思わず立ち止まると、その男子が笑いながらも怖い雰囲気になっている。
酷く、怖い雰囲気になっている。



「俺、学校で結構人気あるんだよね。
俺と友達だと鼻が高いと思うけど。
君の高校の女の子達からもたまに声掛けられるよ。」



「それは・・・元生徒会長としてお詫び申し上げます。
遅れてしまうので、放していただけますか?」



その男子をしっかりと見て、言う。



「私は親が決めた相手と結婚することになります。
だから誰ともお付き合いをしないと決めていて。
誰にも恋はしないと決めていて。
お付き合いをして恋をするのは、親が決めた相手とだけと決めているので。」



私の言葉にその男子が少し驚いた顔をした後、バカにしたような顔で私を見た。



「そんな人生可哀想だよ。
俺が彼氏彼女の楽しさ教えてあげたいんだけど。」



違う・・・。
そういうことじゃない・・・。
そういうことじゃないのに・・・。



可哀想じゃない・・・。
私は可哀想じゃない・・・。



私は私が可哀想にならない為に、そう決めている・・・。



私は私が可哀想な人生にならない為に・・・



いつものようにそう思って、でも、不思議と泣きそうにもなって・・・



少しだけ、視界が滲んできた時・・・



「それは最強の戦法だよね、女子高生。」



と、後ろから話し掛けられた。
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