【完】好き好き大好きの嘘

Bu-cha

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そう伝えた俺に“結子”は静かに笑った。



「そっか、ありがとう。」



きっとこの言葉の意味を分かってくれていると今は信じるしかない。
これ以上何かを言うと“何か”を言ってしまいそうで。



まだ“その時”ではないのに、俺は“何か”を言ってしまいそうで。



俺は結子の気持ちが“信之君”に向かってしまわないように気を張っていた。
自分を理解して大切にしてくれていると信じている“信之君”の方に、結子の気持ちが向かってしまわないように。



だからたまに結子に対して“何か”を少ししていたけれど、その“何か”はどんどん増していってしまいそうで。



この前は危なくて・・・。



和の初恋の岩渕さんをドラッグストアで見掛けた時、あの時は本当に危なくて・・・。



咄嗟に引いた結子の右手。
それで結子が俺の胸に入った瞬間、実際にこの胸に入った瞬間、死ぬんじゃないかと思うくらいにこの胸が震えた。



とっくに岩渕さんはいなくなっていたのにしばらく離せなかった程、それくらいだった。



それくらいだった。



“浮気も不倫もご法度”



今日もそれを頭の中で何度も何度も繰り返し、これ以上“何か”を伝えるのはやめておく。



早く大人になりたかった。



まだ高校生なのがもどかしくて仕方なかった。



早く上にいきたかった。



早く・・・



早く・・・。



早く明日になって、俺は“結子”に会いたかった・・・。



明日になったらきっといつもの“結子”に戻っている。



そう思いながら、そう願いながら歩いていた時・・・



「増田君。」



恐らく翔子である結子が俺を呼んだ。



そして、どこをどう見ても結子にしか見えないような結子が顔を真っ赤にして俺を見上げ・・・



「ずっと好きだったんだよ・・・。」



そう言った・・・。
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