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「え・・・?」
固まっている早川の右手首をクイッと引っ張る。
その小さな勢いで、トンっと早川の右半身が俺にくっつく。
「行くぞ。」
通された個室で、俺は早川の顔を改めて見る。
強引だったろうか?
早川は嫌がっているだろうか?
今まで、言い寄ってきた女に手を出してきたばかりで、自分から誰かを欲しいと思い行動したことはなかった。
29歳にもなって、初めてのことで戸惑う。
「愛実から、吉岡先生と学さんは飲みなおすって聞いてたんですけど、大丈夫ですか?」
そう早川に聞かれ、何の話かよく分からなかったが、学が勝手にテキトーに言ったんだろうなと思った。
「大丈夫。
それよりさ、もう先生はやめろよ。
こんな場面で言われてるの聞かれると、変に疑ってくるヤツいるからさ。」
早川に「学さん」と言われる学に、今日は何度も嫉妬していた。
「えっと・・・吉岡・・・さん??」
「ハハッ!なんだよそれ!
綾瀬と同じく、“創さん”でもなんでもいいよ。」
予想外の「吉岡さん」呼びに、俺は思わず吹き出す。
「“創さん”って・・・、本当にわたしが“創さん”って呼んでいいんですか??」
「吉岡さんって呼ばれるなら、創さんの方が何倍もいいよ!
創一でもいいけど?」
「あ、いや、それは・・・、“創さん”でお願いします。」
「創さん」・・・
早川に初めて名前で呼ばれ、にやけるのが我慢出来ない。
昨日までは考えられなかったこと。
こうして早川の目を見て喋って、名前を呼ばれる。
俺の気持ちは昂るばかりだった。
固まっている早川の右手首をクイッと引っ張る。
その小さな勢いで、トンっと早川の右半身が俺にくっつく。
「行くぞ。」
通された個室で、俺は早川の顔を改めて見る。
強引だったろうか?
早川は嫌がっているだろうか?
今まで、言い寄ってきた女に手を出してきたばかりで、自分から誰かを欲しいと思い行動したことはなかった。
29歳にもなって、初めてのことで戸惑う。
「愛実から、吉岡先生と学さんは飲みなおすって聞いてたんですけど、大丈夫ですか?」
そう早川に聞かれ、何の話かよく分からなかったが、学が勝手にテキトーに言ったんだろうなと思った。
「大丈夫。
それよりさ、もう先生はやめろよ。
こんな場面で言われてるの聞かれると、変に疑ってくるヤツいるからさ。」
早川に「学さん」と言われる学に、今日は何度も嫉妬していた。
「えっと・・・吉岡・・・さん??」
「ハハッ!なんだよそれ!
綾瀬と同じく、“創さん”でもなんでもいいよ。」
予想外の「吉岡さん」呼びに、俺は思わず吹き出す。
「“創さん”って・・・、本当にわたしが“創さん”って呼んでいいんですか??」
「吉岡さんって呼ばれるなら、創さんの方が何倍もいいよ!
創一でもいいけど?」
「あ、いや、それは・・・、“創さん”でお願いします。」
「創さん」・・・
早川に初めて名前で呼ばれ、にやけるのが我慢出来ない。
昨日までは考えられなかったこと。
こうして早川の目を見て喋って、名前を呼ばれる。
俺の気持ちは昂るばかりだった。
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