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軽い気持ちでわたしの部屋に創さんを招待してしまったけど、よく考えたらすごく緊張してきて・・・




部屋のローテーブルに中学の頃の写真を広げ、緊張していることに気付かれないよう創さんに写真の説明をする。




「これは・・・すっげーな。
滅茶苦茶可愛いな・・・。」




サラッとそう言ってくれ、恥ずかしくて視線を反らす。




「あ!あとこれ!
この前の内定者懇親会で撮ってくれた集合写真で。」




その場ですぐに現像してくれ、皆に渡してくれた写真を創さんに渡す。





「ふ~ん・・・。
新卒だけじゃなくて社員も結構いたの?」



「社員の人も何人か来てたみたいですね。」



「誰か・・・話した?」



「え?」



「男と、話した?」



創さんは怖いくらい真剣な顔で、わたしを見詰める。



「男の人とは・・・ずっと内定者の女の子達と話していたし・・・。
あっ、でも1人だけ話しましたね。」




写真の中でも爽やかに笑う藤澤さんを指差した。




「この男の人、なんだか色々と気遣ってくださって。」




「ふ~ん・・・。」




創さんは少し怖い顔をしながら、写真を見た後・・・





「はぁーーー・・・っ」と、大きなため息を吐いた。





「ダメだ、俺カッコ悪いな。
お前のこととなると、余裕も何もなくなる。」




そう言って、少し照れた顔でわたしを見た。





「お前、会社でも絶対モテるだろうなーーー・・・。」




創さんが胡座をかきながら項垂れている姿がなんだか可愛くて、クスクスと笑ってしまった。





「なんだよ?」



「だって、創さんがわたしにそんなになってくれるなんて、嬉しい。」



「なるだろ・・・。
心の中では、ずっと、ずっと、なってたよ・・・。」




隣に座るわたしの右手に、創さんの大きな左手が重なる。





「友里・・・」





創さんの低い声で久しぶりに名前を呼ばれ、わたしの心がキュンッとなる。




創さんが膝で立ち、ゆっくりわたしに覆い被さる。




後ろにあるベッドに両手をつき、わたしの逃げ場はなくなる。





熱い瞳の創さんに見詰められ、久しぶりのその瞳に思わず目を反らしてしまう。





「俺を見ろよ・・・」
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